メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

ペイン アンド グローリー

2020年06月21日 | 映画
ペイン アンド グローリー
を観ました。


脊椎の痛みから生きがいを見出せなくなった世界的映画監督サルバドール(アントニオ・バンデラス)は、心身ともに疲れ、引退同然の生活を余儀なくされていた。
そんななか、昔の自分をよく回想するようになる。
子供時代と母親、その頃移り住んだバレンシアの村での出来事、マドリッドでの恋と破局。
その痛みは今も消えることなく残っていた。
そんなとき32年前に撮った作品の上映依頼が届く。
思わぬ再会が心を閉ざしていた彼を過去へと翻らせる。そして記憶のたどり着いた先には・・・。


ペドロ・アルモドバル監督・脚本です。

久々にガッツリのスペイン映画って感じでした。
非常に静かで淡々とした叙情的な演出で人間味の塊みたいなストーリーでした。
ちょっと眠気との戦いも強めでした。

主人公の子供時代の母との暮らしを描きつつ。
大人になって偉大な映画監督になってその後落ちぶれたという状態の設定。
健康的にもボロボロでメンタルもボロボロの状態の主人公。
ちょっとメンタルが幼稚で仕事の依頼もまともにこなさず観てると歯がゆくて。
過去に軋轢を抱いた主演俳優との関係性も非常に複雑で。
仲直りしそうでしないような、お互い根が深い苦悩を抱えていて。
挙げ句にその歳からドラッグにハマって更に転落していくような印象。

ただこういう状況なのに周りの人々の支えで少しずつ前向きになっていく主人公は好感持てました。

読み書きできない青年にスペイン語を教えるシーンが結構好きで。
自分もスペイン語はずっと勉強してるのでとても共感できました。
その青年と子供時代の主人公の絡みのシーンが好きで。
意外と時を経た交差のようなものもあり。
全然わかりやすい説明が無いのですが言葉にし難い不思議な絆がある感じで。
ああ、こういう感じの人って誰の人生にも居るよな、と思いました。

非常に静かで絵力が強いシーンが多くて、自分が抱くスペイン映画のイメージそのものみたいな演出でした。
R15ですが、まあ恐らくワンシーンだけ日本だと駄目なシーンがあったのでそこでしょうが。
内容的には全然美しい映画だと思います。

どんでん返しってほどじゃないですが、ほんのり仕掛けがあって作品をまるごと包み込むような、
それまでの感情全部を回収するような見事なクライマックスでした。

アントニオ・バンデラスが主演です。
コテコテの娯楽作品からこういう作家性の強い作品まで上質にこなすのは素晴らしいですね。
まさにをスペイン代表するトップ俳優だと思います。
今作は非常に深みのある渋い役どころでカッコよかったですね。
共感しやすい人間味を見事に演じていました。

ペネロペ・クルスは未だに美しいですね。
いっときは見た目が売りみたいな印象もありましたがしっかりと実力派の中堅になってますね。
特別感が無いごくごく一般的な母親像で。
なのに存在感強くて素晴らしかったです。

友人役のアシエル・エチェアンディアも渋くて人間味あふれてて素晴らしかったです。

単純な予定調和的に進まない、大人の成長物語としていい映画でした。


そんなわけで8点。
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