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スノーデン

2017年01月28日 | 映画
スノーデン
を観ました。


2013年6月3日、大勢の市民でにぎわう香港の街なかに、青白い顔にメガネをかけ、ルービックキューブを手にしたひとりの青年が現れた。
ドキュメンタリー作家ローラ・ポイトラス(メリッサ・レオ)、イギリス・ガーディアン紙のコラムニスト、グレン・グリーンウォルド(ザカリー・クイント)と合言葉を交わし、彼らを自分が宿泊するホテルの一室に招き入れた彼は、ポイトラスが回すカメラの前でエドワード・スノーデン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)と名乗る。
そしてアメリカ政府による恐るべき諜報活動の実態を証明するトップシークレットを携えたスノーデンは、自らが歩んできたCIAとNSAでのキャリアを語り始めた。
2004年、ジョージア州、9.11の同時多発テロに危機感を抱き、国家の役に立ちたいと考えたスノーデンは軍に志願入隊した。
しかし特殊部隊の訓練は想像を絶するほど過酷で、足に大怪我を負ったスノーデンは除隊を余儀なくされてしまう。
2006年、バージニア州、CIAの採用試験に合格したスノーデンは、“ザ・ヒル”と呼ばれるCIA訓練センターでサイバー・セキュリティのノウハウを学んだ。
そこで持ち前のコンピュータの知識を発揮したスノーデンは、厳格な指導教官コービン・オブライアン(リス・エヴァンス)に一目置かれる存在となり、オタク風のエンジニアで教官でもあるハンク・フォレスター(ニコラス・ケイジ)とも親しくなった。
またプライベートでは、交流サイトで知り合ったリンゼイ・ミルズ(シャイリーン・ウッドリー)と、ワシントンD.C.のカフェで初めて対面。愛国者のスノーデンと快活で権力に批判的なリンゼイは、性格も思想もまったく違っていたが不思議とウマが合い、ふたりは交際をスタートさせた。
2007年、ジュネーヴ、“ザ・ヒル”でトップクラスの成績を叩き出したスノーデンは、ジュネーヴにあるアメリカの国連代表部に派遣された。
現地で彼が目の当たりにしたのは、一般市民のメール、チャット、SNSからあらゆる情報を収集するNSAの極秘検索システムの存在と、それを利用してテロ活動とは無関係の人物をスパイとして抱き込むCIAの汚い手口だった。
自宅に戻ったスノーデンは、民主党の大統領候補バラク・オバマの躍進を喜ぶリンゼイに、CIAを辞職したことを打ち明ける・・・。


巨匠・オリバー・ストーン監督作品です。
アメリカ政府に反抗するような衝撃作を作るイメージがありますが、今作は過去最大級にその手の作品でした。

前情報無しで観に行きましたが、相当な衝撃作でした。

ノンフィクションを強調していますが、
本当にノンフィクションなのでしょうか?

自分も主人公と似た分野のITエンジニアなので描写のリアリティさや実現可能か?否か?はある程度判断できますが、
殆どが真実なのではないか?と思いました。

とにかくアメリカは国家ぐるみでネットでの盗聴、盗撮、情報収集をしていて、
元はライバル国のサイバー攻撃対応でしたが、その延長として国内の人物も監視していて、
その違法性に良心の呵責に耐えかねたスノーデンさんが内部リークするお話です。

自分も長いことウェブ系のプログラマーとして活動していますが、
自分でさえネット上で触れてはいけない情報にアクセスできる状況に居たことはあります。
情報は次々と蓄積していくので、ある程度は個人個人の倫理に委ねられている部分はありますね。
数年前の外部のエンジニアが情報を持ち出した事件もわからなくは無いのです。
その国家規模バージョンですね。

プログラミングシーンもそこそこリアルでしたね。
何の言語を使っているかをあまり見せないのは映画としてのセキュリティ対策な気さえしました。

同棲している恋人に仕事内容を伝えられないが故にやたらと衝突します。
そこまでチープでは無いとは言えやっていることは
「仕事と私、どっちが大事なの!」
的なやつで、それがなかなかの繰り返しでちょっと萎えましたが。
ノンフィクションならば仕方がないのでしょうか。

時代的にはブッシュ政権からオバマ政権への移行期、
オバマ政権下の時代を描いています。
主要な人物はもちろん役者が演じていますが、ニュース映像等は本物が使われており、
半分ドキュメンタリーの様な生々しさがありました。
アメリカだとこういうふうに映像を使用してもいいのですね、素晴らしいと思います。

主人公の彼女は元々は大のオバマ応援者だったのに、数年後に彼氏がオバマにハッカーとして指名手配されてしまう数奇な運命は悩ましかったです。
スノーデンを正として描いているのでオバマ元大統領はなかなかの悪に見えてしまいます。
ただそれはさほど極端な描写ではなく実際のオバマの発言が使われているので仕方無でしょう。
編集に悪意があるかも知れませんが。

政府機関においてエンジニア達は倫理感に満ちていて、暗黙で協力し合える賢さ、察しの良さがあります。
この部分にかなりのリアリティを感じました。
エンジニアって内心は結構賢いのに現場ではエンジニアとして兵隊的なポジションになりがちです。
しかし実は組織的に上にいる人より賢い人が多いのは確かだと思っています。
なのでこういう感じで言葉以上に多くを伝えあってる描写はリアルだと思います。

そこそこプログラミングをしてきた自分の人生経験として、
上級プログラマーはもれなく賢い人だと思います。
なのでスノーデンさんも非常に賢い人だと思います、多分大抵の政治家より賢いと思います。
多少コミュニケーション力が弱い人が多いですが、社会的にも知識を張り巡らせている人が多いです。

テロを防ぐためのこれらの行為が正しいのか?倫理違反なのか?
スノーデンさんは自分では判断出来ないから暴露することでそれぞれが考えて欲しいと言っています。
事実を知らなければ議論も出来なので自分が暴露すると言って実行しています。
実にスマートでした。

スノーデンさんは日本でも勤務していた時期があり、やっぱり情報を搾取していたと言っています。
そしてマルウェアを仕込んだと言っています。
日本が同盟国じゃ無くなったら日本の機関は機能停止にする予定だと語っていました。
個人的には非常に怖かったですよ。
エンジニアとして言わせてもらいますが、日本ってサイバーテロ対策が非常に弱いと思っているので。
アメリカが既に、密かに日本に対してもコレだけ準備をしていると思うと将来的に敵わないと思います。

最近すっかり売れっ子なジョセフ・ゴードン=レヴィットがスノーデンを演じていましたが、
バリバリの現在の人物を演じるのは難しいとは思いますが、結構上々ななりきりだと思います。
主役として重要な存在感は十分でした、ナイスキャストと思います。
ちなみに終盤はスノーデン本人が演じていました、と言うかインタビューシーンだったので半分ドキュメンタリーでした。

恋人役はシャイリーン・ウッドリーが演じていました。
彼女もすっかり主演級として売れっ子ですが、やはり存在感十分ですね。
キャラとして面倒くさい女でしたが、まあノンフィクションなのでしょうがないでしょうか。
彼女にしてはなかなかセクシーなシーンもあってちょっと嬉しかったです。

チョイ役ですがニコラス・ケイジが出ていました。
久々な気がしました。

ITエンジニアとして、今後訪れるIoT時代へ非常に恐怖を感じる作品でした。
「準備は出来ているので今後それを扱うリーダーが変わったらとんでもない時代になってしまうかもしれない」
と警鐘を鳴らしていますが、その懸念まんまにトランプ大統領になりましたからね。
個人的にはすごくビビっています。
今後、日本で深刻なサイバー事件が起きると思います。

来るべき世界への強烈なメッセージに満ちた素晴らしい映画だと思いました。


そんなわけで9点。
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