メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

ノクターナル・アニマルズ

2017年11月13日 | 映画
ノクターナル・アニマルズ
を観ました。


スーザン(エイミー・アダムス)はアートギャラリーのオーナー。夫ハットン(アーミー・ハマー)とともに経済的には恵まれながらも心は満たされない生活を送っていた。
ある週末、20年前に離婚した元夫のエドワード(ジェイク・ギレンホール)から、彼が書いた小説「夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)」が送られてくる。
夜のハイウェイの運転中に、レイ(アーロン・テイラー=ジョンソン)らに襲われるトニー(ジェイク・ギレンホール二役)とその妻(アイラ・フィッシャー)と娘(エリー・バンバー)。
家族を見失ったトニーはボビー・アンディーズ警部補(マイケル・シャノン)と共に行方を探すのだが……。
彼女に捧げられたその小説は暴力的で衝撃的な内容だった。
精神的弱さを軽蔑していたはずの元夫の送ってきた小説の中に、それまで触れたことのない非凡な才能を読み取り、再会を望むようになるスーザン。
彼はなぜ小説を送ってきたのか。それはまだ残る愛なのか、それとも復讐なのか――。


トム・フォード監督・脚本・製作の映画です。
前作は観ていませんが気になっていました。

この作品は予告からかなり気になっていたのでいきり立って見に行きました。
いやはや、面白い映画ですね。
いかにも僕が好きなタイプの映画でした。

意味深で意味不明といえばそんな感じで。
起承転結の結がないパターンのやつですね。
登場人物の心情を察する事によって物語が補完されるタイプの映画です。

作り手のエゴがモロに出るほど意味不明なタイプではないだけに、
最期の1ピースくらいが観客に委ねられる感じです。

冒頭、太ったおばさんたちのストリップなアートがかなりの尺で幻想的に表現されます。
それは正直不快感すら感じるようなアートですが、何か鬼気迫る様な迫力もあります。
最初のセリフまで結構時間がかかるタイプで、その時点でアーティスティックな映画なのだと伝わります。

予告を観る限りはかなりサスペンスフルな映画と思っていたのですが、
こんなにセリフ少ないってことは違うのか?と疑心暗鬼でした。
このペースでサスペンスを成立させると4時間くらい必要なのでは?
コレ前後編とかだっけ?と真剣に疑いました。
終盤でようやく、そういうきれいな娯楽映画では無いと納得しました。

結構疲れた状態で見に行き、眠くなるかも、と不安もありましたが全然そんなことなかったです。
とにかくものすごく引き込まれる迫力がありました。
元夫から送られて来た小説を読むとその世界が実写で描かれる手法で、
主人公はその内容に真剣に驚き怯えたりします。
映画という手法を利用して現実と小説の世界の境界がない感じに描かれます。

その小説が実に嫌な気分になる物語なのです。
こんなタイプの映画見たことあるなぁ、と思いつつも例が浮かびませんが。
かろうじて近いと思うのはノーカントリーみたいな。

些細な揉め事から最悪の展開に。
ややこしい輩に絡まれ、そのやり取りも実に嫌な感じで。
分かり合えるのか?逃げるチャンスはありそうなのに、相手をなだめられそうなのに。
とにかく無計画な犯罪なのに無計画に逃亡され無計画に隠蔽され。
犯人が逮捕されないので小説の主人公も徐々に道を踏み外していくような。

エイミー・アダムスは非常に評価している女優ですが、今作もらしさ全開で非常に素晴らしかったです。
問書く暗く影のあるキャラで感情を表に出さない感じで。
クライマックスは個人的に衝撃的で妙に悲しかったです。

元夫役、小説内の主人公も演じたジェイク・ギレンホールもかなり好みの役者です。
非常に人間味溢れる役どころで、表面的な弱さと芯の強さと均等に持ち合わせているようで。
そして小説を送ってくる究極的な意味不明さ、それが物語の核でもあるのですが。

ジェイク・ギレンホールの訴えを聞く警察役をマイケル・シャノンが演じていました。
この役が非常に素晴らしかったですね。
やんだ警察で、警察というより保安官と言うような感じで。
真面目なのか?不真面目なのか?正義感があるのか?ないのか?
このキャラが物語の不安定さに大きな役割を果たしていました。

アーロン・テイラー=ジョンソンが犯人役でした。
最近良く見かけますが、今作のぶっ飛び感はなかなかです。
同じく物語を不安定にする、平和の中に強烈に入り込む悪の感じが素晴らしかったです。
恐れ知らず過ぎて犯行のずさんさが逆に怖かったです。

心理的に難解で、「ああ、この終わり方するパターンかー・・・」となりました。
できれば考えないで済むオチの方がありがたかったですが逆に記憶に残りそうです。

物語がとても綺麗なブルジョアな舞台と、
社会の底辺みたいな荒野の廃墟的な舞台とのコントラストが強烈でした。
コレは忘れられない映画になりそうです。


そんなわけで8点。

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