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海よりもまだ深く

2016年05月25日 | 映画
海よりもまだ深く
を観ました。


笑ってしまうほどのダメ人生を更新中の中年男、良多(阿部寛)。15年前に文学賞を1度とったきりの自称作家で、今は探偵事務所に勤めているが、周囲にも自分にも「小説のための取材」だと言い訳している。元妻の響子(真木よう子)には愛想を尽かされ、息子・真悟の養育費も満足に払えないくせに、彼女に新恋人ができたことにショックを受けている。そんな良多の頼みの綱は、団地で気楽な独り暮らしを送る母の淑子(樹木希林)だ。ある日、たまたま淑子の家に集まった良多と響子と真悟は、台風のため翌朝まで帰れなくなる。こうして、偶然取り戻した、一夜かぎりの家族の時間が始まるが―。


大好物な是枝裕和監督作品です。

昨年大きな話題になった海街diaryから早くも次作です。
海街diaryが派手な企画だったので結構ひっそりな作品に感じますね。

しかし勿論クオリティは相変わらずの最高品質です。

出演者も非常に高品質でいつもどおりなアドリブ感がかなり漂う演出です。
ナチュラルなアドリブみたいな掛け合いですが、それがそのままちょっとしたカメラワークやちょっとした物語の一つに繋がったり。
掛け合いをさせてシナリオを作ってるのかしら?と疑うくらいのナチュラルさでした。

実にリアリティたっぷりにさして特別ではない日本の一家を描いています。
こういう状況の日本の家族は沢山あるでしょう。
決して上手くいってはいない、それでもおばあちゃんちに家族が集まるってのは何か素敵ですね。

クライマックスが台風の一夜を描いているのもいい感じでしたね。
台風によってバラバラだった一家が同じ家で一夜を過ごすことになってしまいますが。
たった一夜で色んなことが起きて。
樹木希林の「私台風大好き」とつぶやくシーンが非常に印象的でした。

そして台風が去った後の台風一過の残骸だらけの晴れた朝の雰囲気。
もう最高にジーンとしてしまうやつですね。

今回の主人公はとことんなダメ男で、そのせいかそこそこのコメディ感もありました。
そんなダメ男を阿部寛が演じていましたがなかなかでした。
自称小説家な興信所勤めで。
仕事をごまかして調査対象から賄賂をもらったり、高校生をゆすったり。
それでも家族を愛する気持ちは強くて元嫁に未練たっぷりで。
50歳なのに言動が非常に子供っぽいのが妙にリアルでとても親近感を抱きました。
元嫁が新しい恋人ともうエッチをしたのかどうか?をやたら気にする感じとか素晴らしいですね。

是枝作品常連の樹木希林は相変わらずのスーパー女優で。
完璧過ぎる演技がもはやドキュメンタリーの次元で、ドキュメンタリー作家の作品として最適です。
本来ならば毎年この人が助演女優賞なんですけどね。

小林聡美が是枝監督作品に出てるのは珍しい気がしますが、ハイレベル同士なので問題なくマッチしていました。
元来ナチュラル系な演技なのでかなりハマりますね。
もしも是枝ワールドが続くならばポスト樹木希林も有りではないでしょうか?

すっかりスーパー女優になった真木よう子ですが、今作も素晴らしいです。
非常に美人で夫が未練たっぷり抱くのに最適なキャスティングだったと思います。
声質もいいし、間もいいし、かなり実力のある女優さんですね。

僕の好きな池松壮亮も他所でナチュラル系演技で磨いてきているので問題なくハマりますね。
最近ちょっと役作りが過ぎるかな?というほんのり感じてる部分がありましたが、今作でその感じもすっかり取れました。
普通の男の子を違和感なく見事に演じていました。

そしていつの間にかの大御所ハイセンス俳優なリリー・フランキー。
今作はモテキの時みたいな嫌味な男の役どころでしたが、らしさ前回でした。

何においてもとにかくレベル高い是枝作品ですね。
なぜにこんな才能が誕生したのか?とふと悩ましくもなります。

ちょっと台風が恋しくなりました。

「みんながなりたかった大人になれるわけじゃない!」
胸に響きました。


そんなわけで9点です。

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