公務員の給与水準はどうやって決めている
調査対象は企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の企業
ではなく100人以上の資本金10億円規模の会社を基準にしている。
公務員の給与が高くなってしまったのは田中角栄が日教組のポチになり公立の教職員給与を一般公務員より引き上げる「人材確保法案」を施行してしまった為だ。
橋下徹大阪市長、現業職員約1万2000人の給料を来年度から民間水準に合わせて引き下げる方針を発表――。
こんなニュースが流れたのは昨年12月のこと。「高い」と言われる公務員給与減額の是非はともかく、そもそも公務員の給与って民間企業に合わせて決められているんじゃなかったっけ?
「そうです。原則は民間の水準に合わせる『民間準拠』ですね。しかし...」と言うのは、賃金コンサルタントで『公務員の給与はなぜ民間より4割高いのか』(幻冬舎)など多数の著作を持つ北見昌朗さん。
「国家公務員の給与は人事院が、地方公務員の場合は地方人事委員会が、民間企業の給与を調査して決めています。しかし、調査対象は企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の企業で、職種は事務・技術職のみ。非正規雇用は含めません。つまり、いわゆる民間のエリート層だけが対象になっているのです」
しかも、実際に調査した企業名は公表されていないのだとか。
「公務員にとって、都合のいい企業だけを調査対象にして、『給料は民間企業と同じ水準にしています』と言っているようなもの。これでは、官民格差が生まれるのは当たり前ですよね。こんな感覚ですから、50歳を過ぎても昇給が続くという、民間企業の実態とはかけ離れた事態も発生しています」
官民格差が大きいのは給与だけではありません。むしろ、賞与(ボーナス)や退職金の格差が大きいというのだ。それっていったいどういうことですか?
「期末・勤勉手当と呼ばれる賞与に関しても、調査対象は給与の場合と同じなのです。その上、賞与ゼロの企業は調査対象外としているので、賞与は給与以上に官民格差が生まれています」
さらに、「退職金(公務員の場合、退職手当という)の算出にもカラクリがある」と北見さんは説明してくれました。民間準拠のための調査対象を、勤続年数20年以上の人のみに絞っているのだとか。
「転職者の多い中小企業では、企業20年未満で退職を迎える人の割合も高いもの。『勤続年数20年以上』という制約を設けることによって、調査対象がほとんど大手企業に絞られます。賃金コンサルタントという業務を通じて、公務員の退職手当+共済年金の合計額は、民間企業の人がもらえる退職金+企業年金よりも3000万円近く多いだろうと実感しています」
うーん、民間準拠といわれても、実質的には大企業準拠なのですね。橋下徹大阪市長が現職職員の給与カットに意欲を見せるのも、こういった実態を踏まえると分かる気がします。
ちなみに、北見さんは「そもそも公務員はリストラや倒産の恐れがない分、一般企業よりも給与は低くあるべし」という考えだとか。みなさんはどう思いますか?
北見昌朗(きたみ・まさお)賃金コンサルタント、社会保険労務士。(株)北見式賃金研究所
GDP比の公務員人件費は日本は低いが一人当たりの分配は高い
名目GDPに対しての公務員人件費比率 ÷ 労働人口に対しての公務員比率
日本 1.2%
アメリカ 0.72%
フランス 0.56%
ノルウェー 0.42%
イギリス 0.73%
ギリシャ 0.78%
イタリア 0.76%
ポルトガル 0.95%
ドイツ 0.62%
主要国は公務員の人数は多い分給料は低い。これが世界の常識。
国家公務員給料の平均が約637万円となる。では民間企業の規模ではどれくらいか?
://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2010/pdf/11.pdf
株式会社の資本金階級で見ると、合計で見ると最上位の10億円以上の資本金企業の規模が近いことが分かる。
50人以上の事業所と言っておきながら、実際100人以上の事業所を参考にし、
更に平成16年度基準では100人以上の事業所の給料を更に約30万円も上乗せするということが妥当なのか?
〈平成21年経済センサス‐基礎調査より 〉
資本金10億円以上の企業は全体の0.32%しかない。
国家公務員の給料が全体の0.32%を基準にすべきなのか?