雪合戦

もう真冬だね
とうとう雪が降ってきたよ
昔は雪合戦なんてやってたね
いつ頃からだろう
雪合戦も日向ぼっこもハイキングも
なーんにもしなくなった俺達
たまには雪化粧してる外に繰り出さないか

お前もあっという間に年頃になった
雪合戦なんて言っても
「寒いし、面倒臭い」
「手が荒れる」
「一人でやれば」
なんて言われることは百も承知
それでも俺はお前と雪合戦をやりたい

ホットカーペットに寝転ぶお前
ファッション誌のページをめくってばかり
「あ、これほしいな」
「どれ、見せてみなよ」
また俺の悪い癖だ
暴走気味の俺に、したり顔のお前
ただ俺は、お前の関心が向く先を
知っておきたいだけなのに

それがお前の作戦なのは百も承知
お前と少しでも長く接し続けるために
わざとお前が仕掛けたトラップにかかり
理解ある父親と少し格好付けてただけ
父親としての威厳を示せぬ俺の
せめてもの抵抗と笑うがいい

幼き者といることは純粋に触れること
お前の幼さもあと僅かと知りながらも
俺はこの薄汚れた社会の空気を纏わず
お前達と一緒に暮らしていきたい

明日も雪が降るよ
天気予報がそう言っている
暖かい我が家にばかり閉じ籠らず
街のイルミネーションを見るでもなく
外に出て、みんなで雪合戦をやろうよ