巨匠 ~小杉匠の作家生活~

売れない小説家上がりの詩人気取り
さて、次は何を綴ろうか
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不要物

2013-06-05 11:08:04 | 日記
僕は役者だ

自分が存在しない社会を演出してみる

そして ただの演出のつもりが

何も変わらない日常があることに気付く


この世界のお荷物

そんな風に感じる

そう ならばいっそ「不要物」と呼んでもらおう

そのほうが気楽というものだ


疲れもあるのだろう

偽りの毎日を送るために

偽りの自分を演じ

日々与えられた時間と心の空白を埋め合わせる


嗚呼 世の中の森羅万象が煌めいていた頃が懐かしい

あの頃 僕は若かった そして馬鹿だった


生きているフリをして生き続ける自分に

限界を感じ始めたこの頃


目を瞑り

耳を塞ぎ

一切の感情や思考を遮断して

僕は一個の物体となる


それが今の僕のすべて

受容

2013-06-05 10:39:27 | 日記
歩く道がないとき
歩かず立ち止まればよい

立つ場所がないとき
そこに座ればよい

発したい言葉がないとき
黙して微笑んでいればよい

信じられる友人がいないとき
まずは自分を信じればよい


世の中の不条理を 自らの悲運を 呪うのは簡単だ

しかし

世の中とはそもそも生き物の集合体

バランスよく 自分の都合に合わせて できている訳がない

歪みがあるもの それもまた世の中というものなのだ


不適合 閉塞 焦燥 虚無 孤独 自己矛盾


受け入れよ そのすべてを

それが君であり それが君達がつくる世の中なのだ

諦める訳ではない あるがままを受け入れるのだ

最期

2013-06-05 10:33:15 | 日記
郷里を離れたのはいつのことだったか

気が付けば 倍の歳月が流れた

街は変わり 人々は散り

生活の場所も移った

残ったのは年老いた両親と古ぼけた田舎屋敷

そして今 この田舎の原風景をなぜか愛でる自分

幼き頃には ここが自分の終の住処になることを怯えていた

今となっては滑稽な有様

この大自然に囲まれた地で

私は残りの人生をどう生きていくのだろう

多くのものを得 多くのものを失い

最後に残ったのが ここでの生活

さあ 人生の最終章が始まる

2013-06-05 10:10:50 | 日記
君に会いに来たのさ

近くて遠い君に

一年ぶりになるのか

変わりはないようだね


待ち合わせの場所で

僕を見付け はにかんだ君

そして僕も君と同じだった


待ち焦がれた邂逅は思いのほか時間がゆるりと流れ

僕は束の間の幸せに身を委ねた


君に奏でたかったあの曲

君に聴いてほしかったあの歌

君に届けたかったあの言葉


すべて次に置いておくよ

あるかないかさえ分からない次を夢見て

彷徨

2013-06-05 00:33:23 | 日記
あてどなく歩を進める夜の街

街の灯は僕の道をほの暗く照らし出す

とても静かだ

僕以外に人っ子一人いない


足許で音がした


グシャリ


靴の裏で粉々に崩れる落ち葉

僕はその脆さに身震いをする

俺はこんなに弱くない

そう心の中で強く叫ぶ


握りしめた拳は

地面に強く突き出したまま

指の骨を折らんばかりに

力を込める


これまで受けてきた数々の辱めを呪い

己の社会的価値はこんなものじゃないと

より一層力を込めるのだ


グシャリ


僕の手指も脚も背も胸も

いつかは脆く朽ち果てるのだろうか

それとも葉が落ちようと屹立する幹や枝のように

立ち続けるのだろうか