
太陽
灰色の雲の切れ目から
降り注ぐ光はすべてを照らすけれど
分厚い雲にはばまれては手出し無用
気づけばすっかり雨雲に覆われた夕空
季節
もうすぐ雨降りの日々がふえて
あじさいにかたつむりが現れる
はいつくばっていきてきた半生
うすのろだってゆるされますか
ねばりづよく、あなたのように
回想
もしも真っ暗な夜空が晴れたなら
あなたは一番星の名乗りをあげて
わたしの視界にぽっと灯るだろう
やり直すことなどできないけれど
あの頃と同じ夢をみていたいのだ
夢みる若者を応援していたいのだ
あなたはいつまでもあなた
やすらかな笑顔を
たやさなかったあなたの勝ち
やせほそった身体を
みせなかったあなたの勝ち
かなしみは海よりも深く
そして
おもいでだけが記憶を彩る
星が消えたのはいつ?
子どもたちは行き場を失った
あなたは今どこを泳ぐのですか
わたしは葉の上を這うかたつむり