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ヘタレ創作ヤログ~人生これでいいのだ!!

原点に立ち返った、創作ヤロウのブログ!
「負け組プータログ!!」からタイトル再変更。でも、今まで通り幅広くいきます~

昔のシナリオを英語化しているわけだが…

2006年04月22日 22時44分52秒 | シナリオライティング
日本語で100枚のシナリオでも、英語フォーマットにすると60枚程度にしかならない。
何故か?
説明すると長くなるけど、ト書きの扱いが全然違うのね。日本のフォーマットなら10行のト書きが、英語フォーマットでは3行くらいで収まってしまう。「3マス空けて」というフォーマットじゃないからさ、英語のシナリオは。
あと、文化の違いもあるかもしれないけど、一見無駄な台詞もキャラクターを活かす為にガンガン書くんだよね、向こうは。
だから同じ内容でも枚数が違ってきちゃう。
でも尺のカウントの仕方は同じなので、60枚では映画のシナリオにはならない。
従って、登場人物の追加やシークエンスの追加作業を今行っているところなんだけど、やはり痛感したのが「ハコ」だねぇ。
昔のシナリオだから、ハコは残ってない。
ハコがない状態で、人物やシーンを追加するには、いちいちシナリオを確認しながら追加していかないと、つじつまが合わなくなっちゃう。

昔のものをリメイクやリライトする場合でも、ハコは役に立つんだなぁ。
やっぱ先人は余計なことは残してないよ。
まさに温故知新だね。

ハコは、俺の場合毎回作っているけど、昔のものに関してはワープロで作成したものだったり、PCを変更したり、ソフトを変えたりで、シナリオ本体しかデータが残ってないのね。
これはイカンと思ったね。

というわけで、シナリオライター志望の皆さんは、どんな些細なデータも残しておきましょう。

故・新井 一先生に学ぶ

2006年03月10日 18時17分34秒 | シナリオライティング
往年の名作映画を数多く手がけたシナリオライター故・新井先生の講話を編纂した「目からウロコのシナリオ虎の巻」を買って読んだ。
何事も初心を忘れるべからず、という思いもあったが、自信を失うことも多い駆け出し身分の俺にとっては、必要な本だった。

新井先生の話はとっつきやすく、わかりやすい。
同じことを何度も繰り返し書いてあるのは、編集者の意図もあるだろうが、新井先生の「シナリオを書く」ことへのこだわりであり、時代が変わっても不変なのだということ。
作劇術、テーマ、キャラクター、そして最も重視しているのが「原稿の書き方」。
原稿の書き方=シナリオフォーマットに関してはかなり厳しく書いている。
「プロの中でもフォーマットを軽んじているライターが多い」と指摘しながら、シナリオフォーマットがある意味を、初心者にわかりやすく説明している。
つまり、映像=絵を文字にして、「書く」のではなく「描く」のがシナリオなのだ、というのが新井先生の持論である。
ト書きと台詞の表現や、シーン割にも厳しい。
初心に戻るには適切な本だと思ったね。

新井先生の面白いところは、プロットについてはまったくふれないこと。
昔シナセンの8週間コースにいた頃も、プロットの書き方の講義はまったくなかった。
新井先生は、作品の良し悪しはシナリオを読まなければ決められない、とお考えだったようだが、かといってプロット不要とは言っていない。
昔の映画黄金期のプロデューサーのようにゆとりがない現在、プロットは企画を進めるかボツにするかを決める基準になっているのも事実だ。
だが、ボツにならない企画は見所があるからボツにならないわけで、その場合は通常監督とライターで話し合いながらシナリオ一稿に入るのが普通である。
だから、プロットを直すことは、普通しない。
直さなければならないプロットは、企画としてはボツにならなければならないからだ。
プロットを必要以上に要求するプロデューサーもいるみたいだが、日本映画界の大御所、新藤兼人監督も「プロットは、シナリオを読めないプロデューサーに出すのが慣例化されたもので、悪しき慣例だ」ときってすてている。
プロットは単なるあらすじであって、シチュエーションや細かいシーンは普通書かないから、それだけでいい作品になるかどうかを判断するのは不可能。
シナリオを描いて、それを読んでからプロデューサーが直しを要求してくるのが通常のパターン。
その直しも話や台詞の補正といった修正だけではなく、制作上の都合(キャストが変わったとか、予算が減ったとか)で直しをする場合も多い。
新井先生は、そういうシナリオの直しには屈してはいけないとおっしゃっておられる。それはライターに能力がないから直しを要求されているのではないからだ、と。そこであきらめてしまうのは惜しいとおっしゃっている。
直し=推敲はシナリオライターにとっては当たり前のことだからね。

その推敲を、今の若い人は中々しない。
オンラインシナリオ講座でも締め切りぎりぎりになってとりあえず書いて送る、みたいな現状で、正直ちょっと困っている。
「受け手への思いやりが大切」と新井先生は言っている。
受け手とは、観客のことだが、脚本を読むスタッフも含まれている。
読み直しすらしていない物を送りつけるというのは、読む相手への思いやりが全く無いというわけで、失礼だ。

まあ、何はともあれプロの役に立つ本とは言いがたいが、初心に返れる脚本家必携の本といえよう。

シナリオと「愛」

2006年02月09日 22時58分55秒 | シナリオライティング
今日は学校でシナリオ講義をやってきたが、一人の生徒さんから質問を受けた。

彼のプロットの内容は、ファンタジーな世界設定で、「兄が、溺愛する弟の病気を治すために、唯一の治療薬である薬草を、危険な山までとってくる」という話なのだが、別のシナリオ講義をとっている生徒から「危険を冒してまで弟を助けようなんてするはずない。設定に無理がある」と指摘を受けたんだけど、どうしましょう?というのがその生徒さんの相談だった。

つまるところ、その生徒さんのプロットで描かれているのは兄と弟の「肉親愛」なわけだが、実際に弟を持っている兄の立場だったら、人によっては確かに設定に疑問を感じるかもしれない。
仲の悪い兄弟なんてざらだからね。
俺だって、姉貴がいるが、「命をかけて姉を助ける弟」の話なんて書こうとは思わない。
でも、世の中は広いんだよ。
まったく恋愛感情に近いくらい「肉親愛」を持った兄弟・姉妹だってたくさんいる。
彼は、そういった兄弟を描きたかったわけだし、兄弟愛の薄い俺でもそういう作品に涙することだってある。
受け手は自分と同じような兄弟を見せられて、必ずしも共感するとは限らない。

要は、人生観や価値観の違いなんだよね。
作家は、「自分の価値観」に基づいて物を書くわけだから、正反対の意見があってもいい。
ただ、意見は意見として聞くべきだが、それに惑わされてはいかんよ。
「なるほど」という意見は取り入れた方がいいに決まってるし、「それはちょっと」という意見は斬って捨てるべきだ、と俺は思っている。

ただひとつ言えることは、ドラマ作家というのは結局人間同士の愛を描くのが主な仕事だし、それは恋愛だけじゃない。肉親愛、友情、仲間愛など様々な「愛」を描けるのがドラマ作家だと思っている。

恋愛しか描けない人は、少なくともシナリオライターには向かないと思うね。
恋愛すら書けない人は、物を書くことをあきらめた方がいい。

気恥ずかしいが、物語作りの基本は「愛情」だと思いますよ。

オンラインシナリオ講座のプロフィールページ

2006年01月25日 00時01分33秒 | シナリオライティング
結構、このページで逃げてる人が多いな(笑)。
いや、解析ツール使ってるので、よくわかるのですよ。

「何だ、たいしたことやってないじゃん?そんなやつに教わっても意味ないし」
ということだろう。
別に、金儲けしようと思ってやってるわけじゃないから、そう思う人は申込みする必要はないし、逆にこちらからお断り。
本気で「脚本家になりたい」という人の背中を押してあげたいから開いてる講座だからね。そういう人達に安価で講座を提供しようというのが趣旨なんだ。

ただ、ひとつ言っておきたいことがある。
シナリオを書くのと、教えるのでは、必要とされる知識は同じでも技術は違う。

世の中自分で脚本を書くことはできるけど、人のものを批評したりアドバイスしたりできないという脚本家の人達はたくさんいる。
「こんなのつまらん。書き直せ」じゃ、どうしていいのか生徒さんはわからないじゃない?
俺は、脚本家連盟理事の方に、書く能力はともかく、「シナリオを読む能力」は高いと評価された。
彼はつまるところ「君は眼高手低(読む能力は高いが、書く能力は低いという意味)だ」と言ったわけで、そのときは大きく傷ついたもんだが、シナリオを教えるということは、つまり「シナリオを読む能力」が必要とされるわけよ。

「シナリオの書き方」なんて基礎的なことは、売れてようが売れてなかろうが、シナリオライターなら誰でも知っているし、それ自体は誰に習ったってかわらない。
特に、みんなが知ってるような売れっ子の脚本家がわざわざネットで講座なんか開くだろうか?
まずないよね?
「売れっ子」ということは、「人に教えてる暇なんかない」ってことだもん。

自分の講座では、添削を中心とした講義を行っている。
つまり、「シナリオを読む能力が高い」とされた俺が、皆様のシナリオを読んで批評したりアドバイスするわけだ。
定員に達すれば、MSNチャットで生徒さん同士で批評しあってもらう機会も設けようと思っている。
これについては、本気でやっている。
物を書くのはもちろん好きだが、人に教えるのも好きなんでね。

シナリオ学校に行ったって、そこでプロにしてくれるわけじゃないし、「なんとかセンター」ってところは講師がシナリオライターじゃないということで、業界では問題になっているらしい。
そんなところに10万以上払って、教科書にそって教えてもらうくらいなら、俺の講座の方が、値段が安い分だけまだ罪が軽いってこと。。。
大体、各種学校の講義なんて詐欺みたいなもんなんだからさ。

どこのシナリオ講義を受けようが、プロになるかなれないかは、本人次第。
これはどこの学校でもそう謳っているはずだ。

「この学校なら有名な脚本家が教えてるから、紹介してくれるかもしれない」という考えで学校に通うんなら、それは単なる金の浪費だよ。
そう易々と紹介なんかしないよ、誰も。
紹介する側にだって、責任ってものがあるんだから。

要は「才能のある人は放っておいても、いずれ世に出る。」ってことなんだ。
シナリオ学校や、俺のオンラインシナリオ講座も、そういう才能ある人の背中を押してあげることくらいしか出来ないけど、でも背中を押すことで本人がより早く世に出ることが出来るようになるだろう、と信じている。
他の学校も多分そういう趣旨で講座を開いているはずだ。

オンラインシナリオ講座の定員はあと3名。
あらゆるメディアに対応できるシナリオライターになってもらうのが目的、という点では、他のシナリオ講座とは内容が大きく異なっている。
ゲームのシナリオの書き方とか漫画原作の書き方、またそれらの違いについて教えているシナリオ学校は、俺の知る限り今のところない。
だから、この講座の生徒さんは圧倒的に「ゲーム、漫画」志望の人が多いわけだが、「映画・テレビの脚本家になりたい」という人も大歓迎。
大体基礎科から本科までは、映画・テレビフォーマットのシナリオの書き方を教えているからね。
現在の多くのゲームシナリオライターさんに欠けているのが物語り作りの基礎。
だから、ゲームオンリーのライターさんよりは、物語作りについてはよく知っているし、徹底的に指導している。
志望メディア別に教えるのは研修科のみ。

講師のプロフィールも参考にするのはいいと思うけど、それよりも講義内容を見て決めていただければ、と思っておりますです、ハイ。
俺の講座における信念は、「映画・テレビの面白さを知らない人に脚本は書けない」、「ゲームの面白さを知らない人にゲームシナリオは書けない」、「漫画の面白さを知らない人に漫画原作は書けない」、「すべての面白さを知っている脚本家はあらゆるメディアに対応できる」ということ。

オンラインシナリオ講座の意義はこれにつきる!

オンラインシナリオ講座、あと3名!

2006年01月19日 22時51分39秒 | シナリオライティング
おかげさまで、生徒さんも増えつつあります。
少数精鋭が「オンラインシナリオ講座」の運営方針なので、定員はあと3名。
それ以上申込みが仮にあった場合は、卒業もしくは退会する生徒さん待ちということにしようと思ってる。大体6ヶ月の講座だから、続ける人は続けるだろうけど、6ヶ月で卒業しちゃう人がいたら、一人分席が空くので、申込み順に確認をとって、受講意思があれば受講スタートということにします。

正直ン十人も一度に教えたって、十分なケアが出来ないからね。

ま、今年は順調に進むものは進んでおります。
でも、俺が本格的に活動するのは下半期だろうね。

ま、がんまりまっさ

「古畑任三郎 FINAL」

2006年01月05日 23時48分54秒 | シナリオライティング
三谷幸喜さんの代表作だってことは言わなくてもわかると思う。
自分も三谷さんの作品の中では一番好きなシリーズだ。

一昨年の「新撰組」は賛否両論だったが、才能のある脚本家というのはすべての作品が認められるわけじゃない(才能のない脚本家はすべての作品が認められないわけだが)。

三谷さんは様々な作品を本職の舞台やテレビ、映画で発表しているが、むしろ大絶賛された作品は少ないかもしれない。
その中にあって、この「古畑任三郎」シリーズだけは大絶賛されている。
あの人が書いたテレビ番組で、こんなに長く作り続けられた作品は他にない。

大作家ではないけど、優秀な職人さん、というのが俺の三谷さん評。
個人的には「総理と呼ばないで」は、当時の政治をパロッた良作だと思っている。

さて、この「FINAL」だが、ひとつだけ脚本家を目指す方々への断りをいれておきます。
最後の松島奈々子のエピソードに出てくる脚本家像は「嘘」です。
もちろん、確信犯。
ドラマを面白くするためには、実際の職業をクソリアルに書くこともあれば、大嘘をつくこともありなんです。
どのへんが嘘か、というとまず当たり前のことなんだけど、1、2本のヒットを飛ばしたくらいの若手脚本家が「先生」と呼ばれP等からVIP扱いをされることはまずありません。
橋田壽賀子クラスまでいかないと、ああはなりませんね。
そして、あの話では双子の姉がシナリオを書き、妹がストーリー(プロット)を作るという分担を基本的にしている共作ライターを描いていて、妹の方が表面に出ていて、古畑に「脚本家にはストーリーがうまくても台詞が書けない人、台詞はうまいのに構成が下手な人がいます」というようなことを言っているシーンがありましたが、ストーリーがうまくても台詞が書けないシナリオライターというのは、つまりストーリーも下手なんですね。
なぜかって、ストーリー作りで一番基本にあるのは登場人物で、台詞はその登場人物たちの個性を表現するわけだから、台詞が下手だったら、ストーリー作りもうまくできないってことですよ。
台詞がうまいのに構成が下手な脚本家はいます
でも、そういう人は一般の人たちに知れ渡るような脚本家にはなれません。
だから、あの姉妹が売れっ子脚本家というのは、「大嘘」なんですね。
でも、これはドラマ上ついていい「大嘘」です。
ただ、脚本家を志望している人たちは、この「大嘘」を鵜呑みにしてはいけない、とまあそんなことを言いたかったわけです。

三谷さんには、また新しい連ドラをやってほしいな。

再び「大奥」!

2005年12月31日 00時03分03秒 | シナリオライティング
今日、「大奥 華の乱スペシャル」をやっていたのでついつい見てしまった。

う~ん…柳沢吉保のキャラのつじつまが、連ドラの方と合ってない。
彼にああいうバックグラウンドがあったなら、連ドラでの吉保はもっと違ったキャラになっていたはずだし、話の展開も違ったものになっていたはず。

通常脚本家が人物を設定する場合は、企画書にはストーリー中の役割しか書かないけど、自分の中では詳細な履歴書を作っている。
どんなところで生まれて、どこで育って、どんな恋をして、どんな困難にあって…という風に、人物を「人間」として作っていくわけだ。

これを脚本家の浅野妙子さんがしなかった、とは思えない。
したがって、このスペシャルは、連ドラの企画が出たときにはなかった企画なんじゃないかな?
連ドラの評判よかったんで、馬鹿なPが浅野さんに「柳沢吉保でスペシャルやって。内山理名を二役にしてさ」みたいなことを言って、無理矢理書かせたっぽい。
喜んで書いたんなら、ちょっと浅野さんにはガッカリ。
話運びのうまさを買っていただけに、残念!

と、いうように、連ドラはもちろんのこと、同じ作品をスペシャルでやるような場合でもキャラクター性が変わってしまうようなネタは避けるべき。
脚本家目指してる人は、ここは十分注意しましょう。

オンラインシナリオ講座の生徒さん

2005年12月29日 19時00分23秒 | シナリオライティング
オンラインシナリオ講座、実は「1月開講」とか謳っておきながら、すでに始めてたりしてます。

で、生徒さんですが、結構センスがいい。
学校でも教えてるけど、オンライン講座の生徒さんはネタのセンスが違う。
学校のカリキュラムで仕方なく取った生徒さんと、自分で習いたくて申し込みした生徒さんでは、やっぱり違うもんだね。

やっぱり時代性というか、ゲームや漫画志望が多いけど、オンラインシナリオ講座の生徒さんは、シナリオの書き方さえちゃんとモノにすれば、すぐにでもテレビ・映画のプロで通用するんじゃないか、そんな気さえする。
ゲームや漫画志望でもいいから、書いて書いて書きまくって、シナリオコンクールとかに応募するのがいいかもしれない。
入選すれば、ゲームだって漫画原作だってなんだって書けちゃうからね。

技術は教えれば誰でもそれなりに上達するけど、ネタのセンスだけは天性のものだからね。
着眼点とか、そういうのはどのシナリオスクール行っても教えてくれない。センスばかりは「自分持ち」だから。

だから、これから半年は週末が楽しみだね。

まあ、学校の方でも出来る子は確実に上達してきてるんで、それはそれでやっぱり嬉しい。
教えるって楽しいな。
偉そうなこという必要ないんだよ。
ただノウハウを説明するだけで、あとは生徒さんひとりひとりが書くか書かないかだから。

とにかく、オンラインシナリオ講座は開いてよかった。

「オンラインシナリオ講座」を受講してみようという方へ

2005年12月15日 21時07分56秒 | シナリオライティング
現在、フォームを通して受付してますが、アクセス解析をした限り、フォームに記入して送信してくださった方もいるみたいなのですが、届いてません。
自分でテストしたときは問題なく届いたので、原因は不明です。
なので、「受講してみるか」という人は、フォームに書いてある項目をそのままメールに書いて送ってください。
「お申込み」が届けば、即返信しているので「フォームを出したけど、まったく返事がない」という方は、実際にはこちらに届いてません。
メールで送ってもらったほうが、セキュリティ面を考えてもベターだと思うので、お願いしますね。

尚、個人情報は厳重に管理し、受講が終われば、基本的に破棄しますので、情報漏洩の心配は無用です。

ということで、興味のある方はオンラインシナリオ講座のTOPページで「こちら」リンクをクリックしてメールください。

以上、宜しくお願いいたします。

ドラマの基本

2005年12月06日 14時39分25秒 | シナリオライティング
「終わりに見た街」の記事に5つもTBがついた。
記事を読ませてもらった中には、このドラマの趣旨を誤解されているのでは、という方もいらっしゃったし、確かに誤解を生んでも仕方ない部分もあったので、今回は、プロはどうやってドラマ作りをするか、をつらつら~と書いていこうと思う。
「何故おまえに山田さんの考えがわかる?」
それは、自分も一応駆け出しシナリオライターなので、ドラマ作りの基礎を知っているからだ。

 作者は、自分の人間性やテーマ、メッセージを主人公に投影しなければならない。主人公が作者のメッセージを体現しなければ、主人公としての役割をこなせないからだ。
「終わりに見た街」で言うならば、中井貴一さん演じる清水である。
 彼の主張や行動が、山田太一さんのメッセージなのだ。
 彼の娘達が軍国主義に染まり、中井さんを罵倒するシークエンスがあるが、これは現在の小泉総理大好き国民や自民党の小泉チルドレンを投影している。
 山田さんが、彼らの意見を尊重しているか、というとそれはまったくない。尊重していたら、ああいうラストにはならない。
 清水が子供たちの台詞に言葉を詰まらせるのは、山田さんの「言葉でいくら言っても無駄」というスタンスの上に成り立っているシーンなのだ。
 それはこのシーンの直後にあるはずのない爆撃があり、200X年の東京が壊滅している画に展開していくことで明白である。
「日本に愛国心を持つこと。国民が一丸となって、敵と戦うことが何故悪い?」
という傲慢な政治を続ければ、結果はこうだぞ、という山田さんなりのアンチテーゼなのだ。
 その証拠に、エンディングには様々な実際の映像が流れ、その中に満面の笑みを浮かべる小泉首相の映像があるではないか。
 主人公の意見に対して、反駁を用意することで、より作者のメッセージ性を高める、というテクニックを使っているわけだが、どうやら今回は山田さんの踏み込みがちょっと甘かったように思う。
 反戦というテーマが伝わっていない。

 仮に自分がこの作品を書くとしたら(原作から書かないとならないが)、舞台は現代に設定する。自衛隊のイラク派遣を問う総選挙で圧勝し、衆参両院で2/3を制した与党が、憲法を改正して、自衛のためなら武力行使もできる、という改正案を出そうとする。野党党首の主人公は、国民に訴えかけたり、テレビで討論したりするが、世論の支持を得られず、自分の家族たちにも見放され、党首を辞任する。その後、国民投票で、憲法改正案が可決される。
 そんな折、日本海域で、中国の潜水艦が発見され、自衛隊が攻撃してしまったため、中国との軍事緊張が一気に高まる。
 この期に及んで国民は動揺するが、一部のネオコン集団はこぞって自衛隊に入隊する。その中には主人公の子供もいた。ここらへんで、主人公と息子たちの葛藤を入れてもいい。
 総理大臣の、緊急記者会見が開かれ、中国との戦争も辞さないという言葉が流れたまさにその時、核搭載弾道ミサイルが東京を中心とした大都市に次々に打ち込まれ、日本は一夜にして国そのものがなくなってしまう。
 その後を描くとするなら、中国とアメリカが協議の末、日本領土は米中で二分されることになる。
 他宗教への猜疑心が強いとされるイスラム教国家のひとつであったパレスチナのように、他国への猜疑心の塊となった日本もまた世界地図から消滅するというラスト。
 ストーリーは、まったく違うが、言わんとしていることは「終わりに見た街」とほぼ同じである。

 逆もまたしかりで、「日本に愛国心を持つこと。国民が一丸となって、敵と戦うことが何故悪い?」をテーマにするなら、主人公を今の若者にする。タイムスリップして昭和19年に行くのもいい。そこで苦労しながらも、当時の日本の軍国主義に染まり、タイムスリップした主人公とヒロインは、結婚を約束し、ラストで軍事的緊張の高まった某国に先制攻撃を加える空軍パイロットとして主人公は出撃する。
 いつのまにか、ゼロ戦がF-16へと姿を変え、海上自衛隊のイージス艦とともに、某国に攻撃をしかける。
「国を守るために、俺は戦うんだぁぁぁあ!!」とでも最後に言わせるか。そんな彼らを、メディア規制された報道番組で見て歓声をあげる国民を描いたり…。
 こんなバカ脚本、山田さんが書くはずないが

 とにかく、主人公のスタンスが作者のメッセージでなければ、ドラマはなりたたない。
 クソストーリーを2つ例に挙げて説明したつもりだが、一般の受け手にはなかなか理解してもらえないだろうか?
 これでも一応シナリオ講師でもあるんだけど…。
 もっと精進します