きらく堂日記

鍼灸師の喜楽堂が日々の出来事、過去の思い出、趣味にまつわる話などを綴った日記帳(=雑記帳)です

美容鍼灸から悪夢へ

2007年11月26日 | 日々の暮らし
 中国では80年代から社会的に“健美”(健康で美しく!)の要求が高まり、「中医美容」として発展してきました。最近では様々な国際会議も開かれるようになっています。美容鍼灸のカリスマがアメリカ人だったりします。
そもそも現在、鍼治療が盛んなのは米国やヨーロッパの国々で、中国人や韓国人の鍼灸師も活躍していますが、日本人の鍼灸師は語学力の所為か、島国根性の所為かまだまだの様です。美容分野への鍼灸の進出を図るため、スパやエステとのコラボレーションを志向している鍼灸師もいますが、時々TVで取り上げられたりするものの、まだまだ認知度は低いようです。今後が期待されますね。

ところで、規制緩和によって、ここ5年ほどの間に鍼灸の国家資格取得のための専門学校は3倍程に増加しています。学校経営者は儲かっているのでしょうが、ものすごい勢いで増加した卒業生はいったいどうするのでしょうか。鍼灸師(国家資格をもっている)の数が増加しても、既存の治療院の数ではこれを吸収できなくなっているのが現状で、資格は取得したものの・・・・有資格難民といえる若い人たちが増えているのです。

タクシー会社の規制緩和と同じように東洋医療系学校の規制緩和はどう考えても悪法としか思えません。資本主義社会における、競争による自然淘汰は当然と言えば当然なのですが、資本家の弱肉強食の原理を労働者まで拡大しないで欲しいものです。収益拡大→顧客獲得→運賃値下げ→コストカット→人件費削減→賃金削減の結果、低賃金・長時間労働で疲弊しきっているドライバーさんたち。強者どうしの戦いの結果で弱者が更にムチ打たれるようなことの無い様に、結果として何が起きて来るかを充分検討し、旨くコントロールしていくのが国の仕事なのですが、国は全く無策ですね。

 需要と供給の観点からすれば鍼灸師よりもマッサージ師(これも国家資格が必要なのです)の方が必要なのですが、マッサージ師の資格をとるための学校の数は規制されており(視覚障害者の職業が健常者によって圧迫されないように・・・)、現在急増しているのはあくまで鍼灸の資格をとるための学校なので、つまり卒業生は鍼灸の資格しか持っていない訳で、そのことで仕事の幅(治療の幅)は狭められてしまうのです。おそらくこの人たちの多くは按摩・指圧・マッサージ的施術も付加して治療することになるのでしょうが、その場合は勿論無資格診療(法律違反)となってしまいます。一方、FTAの交渉も問題ですね、整体・カイロなど無資格者が氾濫しているマッサージ業界の現状で更にタイ人のマッサージ師(タイ古式マッサージ)の受け入れを自由化しようというのですから・・・何のための国家資格(あんまマッサージ指圧師)なのでしょうね。なし崩し的にマッサージ師の国家資格を無くそうとしているとしか思えません。

 マッサージ師の国家資格を取得するための学校を増やして、有資格者を増やし、勿論外国のマッサージ師にも日本の国家資格取得を義務付ける(看護師やヘルパーさんの外国人労働者受け入れでは義務化されている)、かわりに無資格者の取り締まりをキチンと行っていった方がすっきりすると思うのだが。無免許運転の取り締まりだけでなく無免許施術者の取締りをしっかりやって欲しいものだ・・・。
 まったく役人のすることはチグハグで分からない。監督官庁間の縄張り争いや連携したくない体質があるのだろうが、昔も今も変わらないお役所仕事のなせる業か、その場しのぎ、無責任、○○の品格なんておこがましい。武道を義務教育に入れれば礼儀正しい良い子が育つなどのバカを言う。C型肝炎、諫早湾干拓、グリーンピア、年金、守屋、額賀、恥を知れ・・・・

・・・・・・と何がなんだか分からず怒り心頭に達したところで目が覚めたのでした。ああ今日も嫌な夢をみてしまったな。




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