きらく堂日記

鍼灸師の喜楽堂が日々の出来事、過去の思い出、趣味にまつわる話などを綴った日記帳(=雑記帳)です

思い出探し(33)・ベッドスクールを退院

2010年10月03日 | 思い出探し
昭和39年8月 退院の日、病院の入り口にて。
1年間共に学び、遊び、お世話になった国立療養所西多賀ベッドスクールの仲間達の見送りを受ける・・・右から3人目が私、14歳。

腰椎カリエスの手術後、歩行訓練などを経て、8月中旬に退院する予定となった。
退院前にコルセットを作ることになった。「亀の甲羅ギプス」を作ったときと同じように身体の型を取ってしばらくして出来上がったコルセットは、上は胸から下は骨盤に被る形で臍下までを覆う、金物とプラスチックと皮でできた、ちょうどローマ時代の甲冑のような代物。

肩上のベルトで吊って胸前のヒモをしめると、上体はがっちり固定されて、全く前屈ができなくなってしまう。これを少なくとも2年間は着けていなければならないと聞いて、かなり憂鬱になった。

コルセットはあちこち擦れて最初は痛かったが、すぐに慣れて、筋力の衰えた身体にはかえって安定感があって着け心地はそんなに悪いものではなかったが、暑さだけには参った。
まるまる1年間寝たきりだったので兎に角外に出たくて、東北学院大学セツルメント会の学生さんが造った裏山の遊歩道を、夏の盛りの日を浴びながらよく散歩した記憶がある。

退院の日は担当医や看護婦さん、学校の先生などに挨拶して回り、同級生からは寄せ書きをした立派なアルバムを贈られた。気持ちはすでに帰る家に飛んでいたが、病院に残る同級生達にはなにか悪い気がして、あまりはしゃぐ気分にもなれず、今思えばやけに静かに、サラリとした別れだったように思う。

もらったアルバムは大事に保管してあるが、書かれた寄せ書きの住所に連絡を取ることも無く、あっという間に46年間が過ぎてしまった。

みんな私を覚えていますか・・・。
私は何とか元気でいます・・・。
みんなはお元気ですか・・・。

写真を見ながら何時もそんなことをつぶやいてしまいます。

<鍼灸マッサージサロン・セラピット>

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