夕庵にて

スマホでパチリ・・・
ときどき写真と短歌を

漂泊の日本画家 「不染・鉄」

2024年03月09日 | お出かけ
馴染みのない画家であったが、友人のお誘いで、奈良県立美術館へ
「不染 鉄」        3/10 迄

大正から明治にかけて活躍した。僧侶の息子として生まれ後、
継ぐことなく絵の道に進み、独自の境地を開いてゆく。

今までの日本画のイメージとは違う手法の、茅葺きの絵は
彼にとって心の故郷なのだろう。
葉書には必ず小さな文字で丁寧に文が綴られている。



夕暮れの茅葺きの家の人々の暮らしは、日本人の原風景を見る思い。
実に細やかな人の暮らしが描かれている。

説明文として
「母に逢いたい、好きな人に逢いたい、この灯は母に似ているねぇ 
母ちゃんの柔らかい手や肌や乳房に似ているねぇ 
そうだこの灯は母の心が映っている」
なんだか胸につ~んとくる彼の優しさと共に寂しさまで伝わってくる。
細かい描写はサインペンやボールペンを使ったとある。
日本画には見られない独自の表現に驚くばかり。

富士山の麓の家の細やかさ、手前の海の岩や波


銀杏の大木、黄金に敷き詰められた落ち葉、
あぁ~木の根元に小さな小さな観音様が描かれている。
やはり独自の表現に目を奪われる。

また一時奈良に居を構えた彼は、上村松篁との合作を残す。
枯れた林を不染が、白鷺を上村が扇面に描かれたのが目を引く
今日は最近になく感動した絵の鑑賞だった。
誘ってくれた友人に感謝。
絵はnetより拝借

美術館を出て飛び火野へ向かう途中の春日原始林
皆は参道を歩くが二人は森の中に入り、大樹と向き合うことしばし。

鬱蒼と茂る大木





この樹に後ろの竹藪の根が幹の中から生えている珍しい合体樹
京都御苑では見られない原生林
この樹の前に座って描いてみたいね。
しかし、この迫力には負ける~

奈良はこれからお水取りの行事が始まる
二月堂の塔頭の僧侶たちがお籠もりをしている
その印に寺の入り口にこの飾りが釣ってある

いよいよ752年から休まず続く修二会、1273回が始まる
コメント (4)
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