『風味絶佳』 山田詠美 文春文庫
書店へ行くのも控えて書棚の本を読み返している。山田詠美の文章は切り口が簡潔で的を得て心地よい。素人なりにそう感じた。たしか山田の小説に黒人を描いた本を読んだような記憶があるが探してみよう。私にとって好ましい作者のひとりである。
『高橋源一郎の解説によれば現代最高の(言葉の)シェフが、秘蔵のレシピで作り上げた、6篇の小皿料理だ。もったいなくて、一度で読めない、(食べられない)だから僕は毎日一編づつ読んだ(食べた)。』
とび職、清掃作業員、ガソリンスタンドのアルバイト、引っ越し作業員、火葬場の職員、など肉体労働者が主人公。彼らの流す汗は美しい。
私はボデイビルで鍛えたムキムキマンは敬遠するけど汗水流して働く姿には尊いものを感じる。
毎晩寝る前の楽しみに一篇づつ読んでいるが、終わってしまうのが心残りでさえある。
今日もどこかで仕事に汗を流す人たちへエールをおくる。