【ファッションに否定的な声もある『混乱を極め問題を抱えた社会で、ファッションが何の役に立つ?事態は深刻だ』と。だが要するにファッションは鎧なんだ、日々を生き抜くための。手放せば文明を捨てたも同然だ。僕は そう思う。】
ビル・カニンガム84歳、現役のカメラマン。自由より価値があるものなんかないと、毎日 自転車でニューヨークの街角へ出かけ、ストリートスナップを撮り続けている。彼に撮られることは、ファッションを愛する人にとっての名誉なんだ。どんなに綺麗で、どんなに有名な女優でも、ファッショナブルでなければ、彼はシャッターを押さない。
私がファッションに目覚めたのは、ずいぶんと遅かったと思う。子供の頃は ずっと入院してたから、病院の白いパジャマで毎日暮らしていましたしね。ただ、入院する以前の記憶に、オーダーメイドの服を着ていたという記憶が…。好きで好きで たまらなかった、リンゴの形のアップリケのポケットがついた、オーダーメイドのワンピース。誰にでも子供の頃 大好きで忘れられない洋服が、1枚は あるもの。私の想い出は、赤いリンゴのアップリケのポケットがついた、グレーのウールのワンピースだ。
初めて自分で選んで洋服を買ったのは、小学校の修学旅行に着て行く洋服を買いに行った時だった。それから中学生になり、同級生の女の子にファッションに詳しい子がいて、その子に ずいぶん刺激された。彼女は中学2年生でモデルになり、高校からは東京へ移り、モデルから女優へ。美やファッションに関して幼い頃から興味があった彼女に対し、私は『ファッションばかり追い求めている人は、馬鹿なんだ』と、どこかで思っていた。だから、ファッションと関わることを避けていた。高校生になり、折しも日本はバブル期に突入。デザイナーズ・ブランドの服が世の中に溢れかえり、洋服の値段がバカ高かったのも手伝って、やはり私の中にある『ファッションを追い求めると、馬鹿になる』という意識は消えなかった。付き合いでDCブランドの洋服を買ったりもしたけれど、『無駄使い』という気持ちが自分の中に山積するだけだった。
そんな私がファッションに寛容に なった きっかけは、30代でドラマ《セックス・アンド・ザ・シティ(SATC)》にハマったことにある。主人公のキャリーは、靴が大好き。それも高級な靴ばかり買っているため、貯金は ほぼ0。洋服も好きで、その日の気分をファッションで表現してしまう天才。好きな人に会う日のために また靴を買い、ヒマがあったらアウトレットで洋服を あさっている。高いピンヒールを履いた日は、「歩ける靴なんか、履いてない」とタクシーを使い、アメックスにはハサミを入れられ、自宅には請求書の山…。どうして そんなにファッションに命を賭けるのか、最初は理解できませんでしたが、キャリーの その魅力的な姿に、いつしか私の女心にも火がついたのです。『ファッションを追求して、何が悪い!?』『頭の悪い人に、ファッションの足し算、引き算なんて、できるわけない』いつしか そう思うように。そしてビル・カニンガムの この言葉にも、今は納得できるようになりました。
『ファッションは鎧なんだ、日々を生き抜くための。』
ビルは、こうも言っています。
『誰でもセンスはある。ただ、勇気がないんだ。』
センスというものは、磨けば必ず光ります。しかしまた、磨かなければ、みるみるうちに色褪せて くすんでくるものです。勇気を持ってチャレンジすることが、ファッションの勉強。嬉しいことに、現在はファストファッション全盛期。気軽に いろんなスタイルに挑戦できますよね?!
折しも昨日から あちこちのショップで、本格的にsummer saleが始まりました。さぁ、皆さん、街へ出ましょう。今年の夏のスタイルは、もう決まりましたか?ファッションは自分を表現する1つの手段です。自分を大好きになって、周りの人達もHAPPYにできる、ファッションは魔法です。
ニューヨークにいたら、ビルにシャッターを押してもらうるように、お気に入りの服を着て、毎日を楽しみましょう!
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