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孤高のメス 第6巻 最後までブレない人徳ある医師

2017年10月03日 21時34分01秒 | 読書評

 

孤高のメス―外科医当麻鉄彦〈第6巻〉 (幻冬舎文庫)
大鐘 稔彦
幻冬舎

孤高のメス、第6巻を読み終えました。

満足感で満たされるシリーズでした。

脳死間肝移植を成功させた当麻医師。完璧な手術で

患者とドナーの親から感謝され、この上ない成功の時を

迎えてもおかしくない状況であるが、周辺に悪い影響を

出さない為に、極秘で進めたことが、よく思わない連中から

バッシングを浴びる。

合理的に考えると、成功と感謝の気運が高まるべきところであるが

そうで無い苦境の状況に陥る。

日本人が大好きな権威、利害、名誉というものが、成立しないと

成功者を敵視し、純粋な進歩を止める流れに誘導する。

この巻は、そういう人間の浅はかさを描写し、本質的に必要な

命を救う行為を是としない、実際にも起こりそうな現実を如実に

描いている。その向かい風の中、主人公の医師は、最後まで目指す

医療行為と信念にブレがなく、その凜とした姿が己もそうあるべき、

そうありたいと、切に思わせる。

 

日本で、その功績を認めないという状況とは、相反し合理的に判断し

良いことは、良いこととして認め、どんどん進められる環境にある台湾。

 

当麻医師の親へ恩を返すため、自分の所へ招聘する王氏。

存分に当麻医師が活躍できる局面が多発しそうな

病院。ここを次の場所として選ぶ当麻医師。

本質的に命救う行為を、数多くこなしてきて

その技量と救命という本来の医者の持つべき

魂を当麻医師を通し表現している。

 

人が持つ、強さと弱さというものを考えさせられる

良書でしす。


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