灰 夜 (光文社文庫)大沢 在昌光文社このアイテムの詳細を見る |
新宿鮫7 灰 夜を読んだ。
個人的にこのシリーズは、間は空くのだが、長年読み続けていた。
このシリーズ7巻目も結構前に出ていたのだが、折を見て読もうと思い、ここまで
引っ張ってしまった。
このシリーズの魅力は、主人公の鮫島の孤独な捜査とその葛藤。
日本の作品でありながら、ストーリーの展開が結構ダイナミックで、映像にする
と生えそうな感じがするが映画には、もう15年以上前に1本あったような気がする。
今回は、東京を離れ、九州のある都市での麻薬取引を上辺にした北朝鮮への
兵器部品の密輸だ。キャリア時代の同僚宮本の法事へ鮫島が出で、宮本の親友
古山と親交を深めたことが、主犯に誤解を招き、それが元で複数の殺人事件へ
と広がっていく。鮫島は、地方に来ている為、管轄外の場所で一般市民と同じ
権限しかないなか、古山の周辺の協力を得ながら捜査を進めていく。
捜査は、ほとんどが個人プレーであるが、事件の局面、局面での行動力と判断力
がこの小説の肝であるように思える。読み進めていくなかで、この部分の描写が
一番面白い。外部組織、自分の周辺の組織的なプレッシャーに押されることなく
法の遵守が自らの法という鮫島のスタイルや媚びない姿勢は、一般社会人として
も魅力的なところでもあるのではないかと思ったりする。
次のシリーズをまた読めることを期待したい。