寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
(過去掲載分は「付録」の「話・話」を開いて下さい)

(第3566話) 道草の数々

2023年10月08日 | 意見

1..道草の数々
 “幼いときから「時間は借しんで使いなさい」と言われて育った私は、昨今のどこかせわしなく追い立てられるような世情についていけない。小・中学生の息子3人はいずれもテレビで録画した映画などの番組を見る際、「時間がないから」と倍速で再生するのが常で、そこまでして本当に見る必要があるのだろうか。1分の長さは昔も今も変わらないはずなのに・・・。
 ふと思い起こすのは二十余年前、私が営業の仕事でよく京都を車で巡ったことだ。事前に地図で場所を確認しておいたはずなのに道に迷ってしまい、思いがけず有名な歴史的建造物や記念碑を見つけたことは一度や二度じゃない。あんな出合いの数々をくれた道草が妙に懐かしい今日この頃だ。”(9月16日付け中日新聞)

 岐阜県各務原市の会社員・成瀬さん(男・54)の投稿文です。「時は金なり」、「時間は借しんで使いなさい」、「今という時間は2度とない」、事実でしょう。歳を取ると本当に1年の暮れのは早い。
 さて倍速でビデオを見るのは本当に時間を大切に使っていることであろうか。同じものを半分の時間で見る、確かに効率的である。今やこれが一般化していると聞いて驚いた。そして、成瀬さんの息子さんはいつもそうしていると聞いて、そうなのだと知った。こうなると時間感覚が違ってしまう。知識を得るだけならそれで良いかもしれない。でも本物と印象は違うであろう。いつも偽物を見ていることにはならないだろうか。人の行動はとんでもないものになっていくものだと思う。そしてそうして得た時間を何に使うのであろうか。まさかゲームに熱中するのではなかろう。
 成瀬さんは道草で得た出合いを喜ばれている。道草によって思いがけない出合いがあった。尊いのは何も計算尽くで生まれるものばかりではない。偶然の方が多いかも知れない。


(第3565話) 女声コーラス

2023年10月06日 | 活動

 “歌が好きで、童謡を歌う女声コーラスの一員になって15年。現在は50~80代の30人余が地元の公民館で月2回練習に励んでいる。童謡だけでなく、講師からはNHK連続テレビ小説の主題歌、演歌の楽譜を渡されることもある。しばらくは音符とにらめっこしながら声を出すが、気付けば二部合唱もできるようになっている。「すてきに奇麗に歌えましたね」と褒められれば、うれしくて童心に返る。
 新型コロナウイルスの影響でコーラスの練習は度重なる中断を余儀なくされ、気の晴れない日々が続いた。それだけに今、思う存分歌える幸せが身に染みる。10月には他のグループとの合同発表会が控えている。少しでもうまく歌えるようにと私たちは日々の練習に余念がない。”(9月16日付け中日新聞)

 愛知県岡崎市の主婦・安藤さん(77)の投稿文です。歌を歌うことは非常に健康にいい、長寿に繋がると聞きました。腹から声を出し、ストレスも発散されるでしょう。頭も巡らせねばなりません。当然認知症予防になります。いいことずくめだと思います。
 ボクの町内に似たような会があります。「童謡を歌う会」と言いますが、老人会会員で平成27年頃にできたようですから、もう10年近くになるでしょう。聞くといろいろな変遷がありますが、今でも60人くらいの会員があり、2部に分けて月2回の練習をしているようです。
 ボクが老人クラブ連合会長をしているときに、世代間交流事業として「皆で童謡を歌おう」という事業を企画し、協力してもらったことがあります。当然この会を頭に置いて企画しました。皆さんにも発表する場ができて非常に喜んでもらいました。ボクにもいい思い出です。ボクも歌う機会と出合えないかな、密かに思っています。


(第3564話) 生きている

2023年10月04日 | 意見

 “生まれたばかりの赤ちゃんが捨てられたという報道が最近多い気がします。なぜそんなことができるのでしょう。他人の夢や希望を簡単に奪っていいの?人の命に大小はなく、たった一つしかないゆえ尊いのです。
 人間は生まれたときから平等で、1日の長さは皆同じです。その命が尽きるまで一度しかない人生を歩むのです。命そのものはその存在が見えにくい側面はありますが、かけがえのないものに違いはありません。私も、あなたもこの世で生きていることは奇跡でもあるのです。
 私は声を大にして言いたいです。「たった一つの命がこの世でどれほど重いものなのか」って。そして「今こうして生きていることは奇跡でもあるんだ」と。私は、こうして生きていられることに日々感謝しながら人生の旅路を歩み続け、与えられた寿命を全うしたいと考えています。”(9月13日付け中日新聞)

 岐阜県関市の高校生・橋本さん(女・16)の投稿文です。若いのに、いや若いからか、素晴らしい文だと思います。素直に自分の人生を、尊いものとして見つめている。「今こうして生きていることは奇跡でもあるんだ」とも言われる。生まれてこなければよかった、と言う思う人があるかも知れないが、でも生まれてきてしまったのです。自分が生まれるのは両親があり、その先祖があり、そのまたまた先祖があってのことです。それが自分なのは奇跡なのです。そし「日々感謝しながら人生の旅路を歩み続け、与えられた寿命を全うしたい」と考えられるのです。特に若いときは反抗期もあります。いろいろ疑問を持つこともあります。何とか理解できても、なかなかこのようには言えません。橋本さんは素晴らしい。
 80歳近くなったボクが今思うのは、少しでも長生きしたいと言うことです。人間は何歳になっても、どんな境遇になっても死にたくないものです。それなら長く生きたものが勝ちです。非常に不遜な言い方ですが、誰々よりも勝つことは長生きすることだ、と思うことにしました。こうして自分を鼓舞しています。


(第3563話) 優しい演奏

2023年10月02日 | 出来事

 “勤務する障害者施設でボランティアの男性2人によるオカリナとギターの演奏会があった。オカリナの素朴な音色、ギターの優しい音が重なって映画やジブリの音楽をはじめ、誰もが一度は聞いたことがある曲が次々と奏でられた。施設利用者に交じって音楽が好きな施設卒業生も会場にやって来た。卒業生は就職先での人間関係に悩み、ストレスを抱えることもあるというが、施設を訪ねる時間が癒やしとなり、後輩の顔も見られたことで「また頑張ろう」と前向きになってくれればうれしいと思った。
 しぱらくして私は楽器店でオカリナを購入した。少しずつ練習を重ね、いつか皆の前で腕前を披露できるまでになり、皆に喜んでもらえることを目標としている。”(9月12日付け中日新聞)

 愛知県豊田市の障害者施設職員・朝倉さん(男・68)の投稿文です。障害者施設でボランティアによるオカリナとギターの演奏である。卒業生もやってきて、楽しまれた。こうした催し物が久しぶりのことなのか、余程良かったのか、朝倉さんは投稿された。そして驚いたのはその朝倉さんが、オカリナを購入し、練習を始められたと言うことである。それ程にオカリナに興味を持たれたのか、何が縁となるか分からぬものである。
 実はこの9月、私が会長をしているサロンでオカリナの演奏をしてもらった。11人もの演奏者にはビックリした。そして、その中の男性が時折マンドリンを合奏された。いろいろ趣向もあり、楽しい時間が持てた。先日テレビを見ていたら、楽器の演奏が認知症予防に非常にいいと言うことを言っていた。手を動かし、息を大きく使い、皆と合わせようと頭も使う。確かに良いと思える。あの11人の方もそうであろう。朝倉さんはそんな思いもなく始められたと思う。いろいろ良い結果を及ぼすであろう。