寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
(過去掲載分は「付録」の「話・話」を開いて下さい)

(第3542話) 食がつなげる

2023年08月19日 | 行動

 “私には障害のある娘がいます。外食や外出するにも細かなスケジュール調整がいるので「家でおいしい料理が食べられるといいね」と、主人が二十年ほど前から料理を始めました。経費をあまり考えない食材や新鮮な野菜を使用するので、夫婦バトルは尽きません。
 しかし、先日結婚した甥っ子のお嫁さんから「付き合いだして間もない頃、お店よりおいしい料理を作れる叔父がいるから遊びに行こうと言われたことがある」と聞きました。いつでも誰でも遊びに来られる、開放的な家を目指してきた私たちにとって、これほど嬉しいことはなく、二人で涙しました。まだ見ぬ甥っ子の子ども、その子どもにもそう思ってもらえたらどんなに幸せか。
 立て続けに、息子からも「彼女に父の料理を提供したい」とリクエストが入りました。あまり多く話さない親子ですが「食がつなげてくれている」と、主人は満足げです。
 これも娘がつくってくれた環境だと思っています。家族や親戚、そしてつながっているみんなに、改めてありがとうという気持ちになりました。新メニュー、期待しています!これからもよろしくお願いします。”(7月27日付け中日新聞)

 三重県津市の主婦・池端さん(50)の投稿文です。障害のある娘さんのために、父親が料理に励む。そしてその料理がプロ並みとなり、甥や息子さんから評価を受ける。食が関係をつなげてくれた、と喜ぶご夫婦。池端さんはこれを娘が作ってくれた環境と考えられている。いろいろな努力、考え方があるものと思う。
 男性がここまで料理に励むことは少なかろう。障害のある娘さんに対する愛である。そして、この環境を娘さんお陰と言われる。障害のある子供さんを持つと、やはりそれだけの努力がいる。その努力がいい環境を作る。よく障害のあるお子さんを持つ親の話に、この子のお陰という言葉が出てくる。これはその努力の分、家族関係を密にするのであろう。努力は様々効果を生むのである。


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