寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
(過去掲載分は「付録」の「話・話」を開いて下さい)

(第3641話) 鳳来山

2024年03月11日 | 行動

 “冬晴れの朝、こたつで背を丸めている私に夫が「運動不足だから散歩に行こう」と言う。コートとマフラーを抱えて気楽に車に乗った。行き先は愛知県新城市にある鳳来寺山。2時間ほどで着いた。参道からは見渡す限り、樹齢何百年の巨木、整備された石段がずっと続いていた。傘杉、若山牧水の歌碑、松尾芭蕉の句碑を見ながら、一段一段上っていった。
 参拝を終えた若者が「こんにちは」と足取り軽く下りてくる。次第に夫との会話が途切れ、900段目あたりで足が止まった。石段がにわかに急勾配になり崖のように見える。「あそこ上るの?」と弱音を吐いた。夫が林から杖代わりの杉の枝を拾回ってきた。85歳と81歳の2人は、まるで仙人と家来に見える。すれ違う男女が「あともう少し!」と励ましてくれ、西尾市からの3人組がうなぎの話をして元気づけてくれる。必死の思いで1425段を上り切り、山頂にたどり着いた。山並みの彼方に三河湾、豊川、豊橋の街が、冬の日差しに輝いて見える。帰りの石段は、もっと緊張した。滑らないよう石垣にもたれながらの下山となった。
 入り口の山門で杖に深々と頭を下げ「散歩がよんぼになったね」と夫が笑顔を向けた。家に着くと夜空に三日月が昇っていた。”(2月15日付け中日新聞)

 愛知県豊田市の林さん(女・81)の投稿文です。80歳超えの夫婦が、1425段の階段を上り鳳来寺山に登られた。そして鳳来寺に参拝された。立派なものである。ボクも近年鳳来寺山へ行ったので、鳳来寺山を紹介する機会と思って取り上げた。調べてみたら2019年11月16日であった。近年と思っていたが、もう4年半も前のことであった。中学の女性同級生3人と一緒であった。鳳来寺山へ行きたいというので、調べてみたら毎年11月の土日だけ、山頂までバスが出ていることが分かった。この女性らに上ることはとても無理である。降るだけである。これなら行けると言うことで決行となった。それでも家を出てから帰るまで1日がかりとなった。良い思い出となった。これがなかったら、ボクも鳳来寺山は、何十年も前の若いときの1、2回で終わったであろう。機会はありそうでないのである。来たチャンスは生かす、これはこれからますます大切なことになるであろう。


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