a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

“桜”を見る、体感する。

2013-08-23 17:09:57 | 東京公演


公演そのものもさることながら、
ほんとにこの芝居は、
仕込みがたいへん。

しかも、
会場条件が……。

しかし!!
ブレヒトの芝居小屋では、
ハイクオリティなステージワークをお見せします。
そちらも、期待してください。


女房1=上條珠理(かみじょうじゅり)



モルドヴァは、国についての情報がほとんどなく、
ヨーロッパで一番貧乏な国だということくらいしか分かっていなかったので不安を抱えての出発だった。
夜中着で空港やホテルがとても寂しく寒々しく思えたのだが、
朝起きてみると、明るい日差しの中で広い道の木々や歩道に植えてある花がカラフルで、開放的な国だと感じられた。
イヨネスコ劇場の皆さんには手作り感のある親切な歓迎をして頂き、
あまり海外公演と気負うことなく仕事が始められたと思う。
本番では、日本よりも反応が素早いんじゃないか、と思うほど芝居に対するリアクションが大きく明るく、
最後には熱い拍手も頂き、良いスタートとなった。
初日に皆で行った店は殺風景で店員さんも無愛想(でもめちゃくちゃ安い!)だったけれど、
その手前のカフェでは内装や小物、制服等々メルヘンチックに凝っていた。ホテルやワイナリーも含め、
行く場所ごとに印象が違い過ぎて戸惑うけれど何だか居心地は良さそうで、
これからこの国はどんどん変化していきそうだと感じた。
そして美女がとても多かった!!



シビウに着いた時は、まだフェスティバルが始まる前だったので、街中で準備が整っていく様子を見ることができた。
メインストリートに大きな横断幕がつき、
大広場には機材がどんどん運びこまれ、セットされていく。
人々は毎年のフェスティバルにすっかり慣れている様子で、
街の経済や整備にもかなりの効果を与えているのだろうなと思った。
本番では、意外にもどう反応すればいいのか困っている様子で客席が静かだなと感じていたので、
最後に大きな拍手を頂いてちょっと安心した。
その後観劇では3本の芝居とフラメンコのショーを観たのだけど、
フラメンコは満席で立ち見も大勢いて1曲終わる毎に割れんばかりの拍手、
終演後もスタンディングオベーションが続き、身体表現だけで伝わるダンスはとても人気があるようだ。
他の演劇も含めて、言葉が分からない外国でも伝わる、楽しめる表現を工夫しているように感じた。
それにしてもラドゥ・スタンカ劇場はフェスティバルの中だけでも全く異なるタイプの芝居を何演目も上演している訳で、
何においてもレベルの高い劇団だし、それを観る力のある観客が沢山いて、
正にシビウは演劇と共に発展してきた街なのだと実感じた。
ところで私は、海外公演の時はなるべく英語ではなくその国の言葉を使おうと思っているので、
出来る限りルーマニア語で挨拶や注文などしてみたのだけれど、
割合読みやすく伝わりやすいと思ったので、もう少し勉強してみたいと思います。



女房2=富山小枝(とみやまさえ)



モルドバで公演後、交流会で日本語学校の先生とお話をした。
途中まではすごく面白くみていたんだけど、女房が殺されるところくらいから怖くなってきて夢にみそうと言っていた。
そのまま帰るのが嫌で交流会に残ったとの事。
またみたいと言ってくれた。
なかなかモルドバで日本の演劇をみることが出来ないのでうれしいと言っていた。
日本語学校の生徒たちも結構来てくれたみたい。
生徒たちは先生が知る前に公演の事をしっていて自分たちで申し込んできたといっていてたいへんうれしかった。
たくさんのお客さんが見に来てくれてモルドバで公演することが出来てよかったと思う。



シビウの街は本当にきれいで、私はすごく好きだった。
演劇祭も活気があって、日本だったらこんなこと出来ないだろうなぁと思ってうらやましく思った。
最終日にカフェでお茶をしてたらいきなり日本人のおばさんに劇場はどこですか? と話し掛けられてびっくりした。
初めてシビウの演劇祭に来て迷子とのこと。
劇場の場所を教えてあげて少し話しをしたら、
日本だと情報が本当になくてうちの桜もみたかったけど、もう終わってしまって残念といっていた。
他にも見たかったものがあったけど、その前に帰らなくてはならないからみられないと言っていた。
たしかにシビウの演劇祭について私もあまり知らなかったので、
あんなに大きい演劇祭なのに日本では知られてないんだなと思った。



モルドバもルーマニアも仕込みはやはり大変だったけど、
浅ちゃんが下見にいっていてその情報が行く前から分かっていたのはやっぱり助かった。
下見は大切だなぁと改めて思った。照明のトラブルも多かったけれど、
通訳をしてくださった志賀さんが舞台のことや照明のこともわかったので大変助かり、
通訳の志賀さんには本当にお世話になって大感謝でした。
いつも海外に行くと思うけど英語がまるっきり分からないのは辛い……。
私が少しでも英語が分かったらもっとスムーズにいくのに……なんて。
海外はいつも大変だけど、違う国の空気を吸い、ものを食べ、人と出会い。
刺激になることがたくさんありました。大変だったけど楽しかったです。みんなおつかれさまでした。



女房3=小山えみ(こやまえみ)



初海外でした。
前日まではやっぱり多少不安があったんですが、
実際行ってみると、現地の人はとても暖かくフレンドリーで、
接すれば接するほど楽しくて、気づけば不安なんて微塵もなくなってました。
モルドバもルーマニアも、土地柄、といいますか、
気候や風土が地元・北海道を彷彿とさせ、思わず「ただいま!」と叫びたくなりました。
広い大地に、小麦、ジャガイモ、とうもろこし、馬、羊、牛…まさしく北の大地です(笑)
心配していた料理も、合わないということが全くなく、どれも本当に美味しかったです。
ちなみに私は今回の旅で、ご飯を食べに行った店の「レモネード」を制覇しました。
どの店もお店で手作りしていて、店ごとに味も見た目も様々な個性があって、
それを味わうのがちょっとした楽しみでした。
旅前半のモルドバ公演は、吊り物の仕込みがとにかく大変だったんですが、
そんな大変な仕込みの中や本番後に劇場の人が手作りのものを用意して飲み会を開いてくれました。
料理はもちろん、自家製のお酒やジュースもおいしいし、
まるで家族のようなアットホームな雰囲気にとても癒されました。
そんな交流の中、
公演後に現地の方に「今まで観た芝居の中で一番素晴らしかった!」という言葉をもらえたことが何より嬉しかったです。



後半のシビウ公演は、演劇祭の初日公演のひとつとして上演しましたが、
桜かご問題に悩まされた公演でした。
今回人数がマイナスということもあり、後半の桜降らしを一人でやることになったのですが、
モルドバの時とは違い左右のバランスが取りづらく、
降らし終えたかごを見ると、かなり桜が片寄っていました。
真ん中の前後二つのかごはそれどころではなく、
降らすことすらままならないほど傾いてしまっていました。
改めて仕込みの難しさを痛感した公演でした。
どちらの公演も、それぞれにトラブルはあったものの、
スタンディングオベーションの中、無事に終了。
異国の地で見事に散ることが出来たのではないかと思っています。
今度は母国日本で、8月・夏、見事に咲き乱れ、散りたいと思います。



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東京演劇アンサンブル公演
桜の森の満開の下

作=坂口安吾
脚本・演出=広渡常敏
音楽=池辺晋一郎
演出補=志賀澤子
照明=大鷲良一
効果=田村悳
衣裳=小木節子
舞台監督=浅井純彦
制作=小森明子・太田昭

前売一般3800円
前売学生3000円
当日4500円

全席自由
上演時間1時間(遅れると入場できません)

8/27(火)19:30
8/28(水)19:30
8/29(木)19:30
8/30(金)休演
8/31(土)14:00
9/1(日)14:00

ブレヒトの芝居小屋
(西武新宿線・武蔵関駅より徒歩7分)

公演詳細HP

東京演劇アンサンブルウwebチケットサービス
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