a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

『桜の森の満開の下』2013公演2日目です。

2013-08-28 17:11:02 | 東京公演

写真は、昨日の公演初日、
開演直前の舞台。
見たことある3人組ですが……。


公演初日、評判も上々。
2日目も、張り切っていきましょうー。



生首1=井上みな(いのうえみな)



この度、初めて劇団の方々に加わって舞台に立つことになりました。
その上、初公演がモルドバ、ルーマニアというなんとも贅沢な旅公演!!
大きな期待と少しの不安を抱えて出発しましたが、
劇団の皆さんに温かく迎えいれていただけて、とても有意義に過ごせた二週間でした。
まず初めに驚いたことといえば、舞台・照明ともに、一から自分たちの手で創りあげているということ。
出演者が自ら軍手にナグリを持って舞台にあがっている姿を間近で見てびっくりしました。
深夜まで続く地道な舞台づくりに撤収作業。
一つの作品を上演するまでに、どれだけのスタッフの力が必要なのか……今まで用意された舞台上で照明を浴び、
自らの演目を披露するだけだった私にとって、桜の舞台は新鮮かつ、
日々舞台を支えてくれるスタッフへの感謝の気持ちを改めて考えさせられるものでした。



シビウ演劇祭では、様々な作品を鑑賞かる機会もあり、普段観ることのできないモノ、
感じられないモノを直に観て吸収することがすごく勉強になったと同時に、
“日本でこんなにたくさんの舞台をいっぺんに観たら、
いったいいくらかかるだろう?”なんて考えてしまいました。
それだけ充実した、贅沢極まりないフェスティバルでした。
生活面では思っていたよりも食事や空気が肌に合い、困ることもなく、
何より時間の流れがゆっくりで、日本で時間に追われてせかせか動きまわっていた自分を思いっきりリフレッシュ!!
今回、他国の芸術における水準の高さを知ると共に、
異国の地で、その土地の風に触れ、匂いを感じ、人々と接して、
だからこそ、いつも当たり前のように気にも止めていなかった日本の良さを再度認識することができた、そんな旅でした。
この貴重な経験は私の大きな財産となり、旅に参加できたわたしは幸せモノだな! と思っています。
ありがとうございました。





女房5=洪美玉(ほんみお)



思い出深い海外公演数々あれど、今回も強烈に記憶に残る旅となりました。
日本の場合80日以内ならヴィザなしで入国できるモルドヴァ、
韓国籍はそうでなかったことが成田で発覚。
ま、まさか……冷汗が出ました。
通訳の志賀さん、イオネスコ劇場のペトルさん、太田さん、
ブカレストでの通訳のアンドレア、そして謎の運転手、
たくさんの人の働きで、一日遅れではありますが合流できました。
みんなの顔と冷たいシャンパンで、カッカしていた脳がやっと落ち着きました。
劇団員にも心配をかけました。
仕込の一番大変な段階にいられず、負担をかけたと思います。
さて、やっと入国できたモルドヴァ。
劇場の方々があたたかく私たちを迎えてくれていることが伝わってきました。
経済的には決して豊かではない国。
でも人と触れ合うたびに、みんな気持ちが豊かで、好奇心旺盛、とにかく明るい。
ある日イオネスコ劇場の劇団員にクラブに連れて行ってもらったのだが、
大勢の若者がクラブの外にたむろして、しゃべるしゃべる。
踊りに来ているというより、しゃべりに来ている。
そこでイオネスコ劇場の劇団員アリーナのいとこと出会ったのだが、
彼は日本への憧れを熱く語っていて、私は複雑な心境だった。
経済的豊かさと、精神的豊かさは比例しない、と言うと、それは分かっている、
でも僕たちは毎日がスノーボードのようなもので、いつ転げ落ちるのか分からない、
先行きの不安をかかえている、と語った。
そういえば、イオネスコの劇団員たちも国外にアルバイトしに行くと言っていた。
短い期間でかいま見えたモルドヴァの現実でした。
仕込では若いヴィターリエの気迫に満ちた仕事ぶりが、女性陣のハートをがっちりつかまえました。
あなたがいて本当に助かった!!
と感謝すると、
照れながら「君たちのグループの仕事がすごい。たくさんのことを学べてうれしい、こちらがお礼を言いたい」
という言葉が返ってきた。
なんてナイスガイなんだ!!



ルーマニア、シビウでは私が降らせている桜かごが斜めに傾き、
目詰まりを起こしてほとんど機能しなかった。
一回目と二回目の間にロープの角度を変えたり、改善をはかったが、
スムーズにはいかず、裏方の役割の大きいこの芝居で、とても悔しい思いが残りました。
未知の国だったモルドヴァとルーマニアで実際人に出会い、得難い経験をしました。
何年もかけてわたしたちを連れて行こうと架け橋になってくださった七字さんに感謝します。






女房6=正木ひかり(まさきひかり)



初めて『桜の森の満開の下』のキャストにつき、そして、初めての海外公演。
日本での稽古は、仮設の舞台で行いました。
一体どんな舞台なのか?
わたしは映像で見たイメージを頼りに想像するしかできませんでした。
そのことで不安に思うこともあったけれど、
それよりも、早く桜吹雪の舞う舞台を見てみたい気持ちでいっぱいでした。
そうして迎えたモルドバでの私にとっての初日の公演。
皆で切った桜を籠に詰めて、いざ降らせてみると……一枚一枚はとても軽い紙が、
集まると凄く重くて、そのことを話に聞いてはいたけれど、それでも驚きました。
そんな汗だくの裏側と反して、舞台上では照明に当たって桜がキラキラと舞っている。
やっと見ることができた桜の降る舞台は想像していたより、もっと、ずっと綺麗でした。
そして、その降り積もった桜が風で舞い上がる中に自分が立ってみると、
何がなんだか分からなくなるような、不思議な感じでした。
その分からなくなっていく中で、相手の存在を必死に捉えて、そして逃げる。
感覚から体の動作への繋がりが、リアルに感じた瞬間でした。



この舞台を海外で公演することができたのは、現地のスタッフの方の大きな協力と、
心づかいがあったからこそだと思い、とても感謝しています。
現地スタッフの方との交流で、特に私が印象に残っている出来事は、モルドバでのパーティーです!!
仕込やバラシの合間でしたが、机の上に日本ではなかなか食べることのできないような色鮮やかなフルーツがどっさり。
そしてお酒もたくさん用意されていて……。
仕事中だったけれど、せっかくのパーティー楽しまなくちゃってことで、美味しくいただきました♪
他にも、こうして少しハメを外して思いきり楽しんだ思い出がたくさん詰まった海外公演でした!!





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東京演劇アンサンブル公演
桜の森の満開の下

作=坂口安吾
脚本・演出=広渡常敏
音楽=池辺晋一郎
演出補=志賀澤子
照明=大鷲良一
効果=田村悳
衣裳=小木節子
舞台監督=浅井純彦
制作=小森明子・太田昭

前売一般3800円
前売学生3000円
当日4500円

全席自由
上演時間1時間(遅れると入場できません)

8/27(火)19:30
8/28(水)19:30
8/29(木)19:30
8/30(金)休演
8/31(土)14:00
9/1(日)14:00

ブレヒトの芝居小屋
(西武新宿線・武蔵関駅より徒歩7分)

公演詳細HP

東京演劇アンサンブルウwebチケットサービス
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