a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

幸福は義務の中に

2008-09-14 12:08:49 | 東京公演
現在上演中の『夜の空を翔ける』は、
副題に『-サン=テグジュペリの生涯』とあります。
実在した武蔵関にある共同経営のパン屋の若者たちの話なのですが、
その彼らが、『星の王子さま』のお芝居の準備をしている。
その中には、作者の時代の話が交錯してくる。
そんな感じで話が展開していきます。

自らが実際に飛行士であった作家サン=テグジュペリは、
未知の航路を開きながら、
郵便航空事業に携わっていた。
まだ、飛行機が木造に帆布と言う時代。
今回の公演では、
その飛行機の20分の1のモデルを、
ほぼ当時のものと同じ形で再現しています。

写真

こんな木造のものが、
空を飛んでいたとは・・・。
いかに危険をはらみ、
性能に頼ることなく、
飛行士の技術と経験が必要とされていたのだろうかということは、
想像に難くない。

写真

今回の上演のためのパンフレットには、
「同時代を生きる」の特集として、
現代の小集団や、生活の場所で、
闘っている人たち、
地に足をつけて生きている人たちから、
文章を寄せてもらった。
呑み屋のお兄ちさんから、
学校の先生まで、
さまざまな人たちから文章を寄せてもらった。
日本だけでなく、
アイルランドの友人からも文章を寄せてもらった。
パンフレットの「同時代を生きる」特集のトップなので、
ぜひ、読んでもらいたいと思っています。
今、コークでドクターとなっている彼女が書き付けた言葉。
「幸福は義務の中に」
サン=テグジュペリの書いた『夜間飛行』に出てくる言葉。
彼女の仕事もまた、
まさにその言葉とおりの仕事だと思う。

僕らもそう言える演劇でありたいと思う。
僕らにしかできない、
僕らがやるべき演劇。
それができる時、
幸福であり、やはりそれもまた、芸術家の義務なのだと。
ブレヒトの言葉を借りれば、
「世界の再現」かもしれないし、
ウェスカーの言葉を借りれば、
「命をかけた行為は、命をかけた行為を生む」ということかもしれない。
いや、タリさんの言う、
「あたらしい言葉を生み出す」ということが、
そうかもしれない。
答えはない行為。
それを続けること・・・そう思うのです。

「幸福は義務の中に」
そう言える仕事を、
やはり見つけ出したいと思う。

今回のパンフレットも、
読み応えのあるものができました。
ご来場いただけるみなさま、
まずは、手にとってみてくださいね。
今回は、珍しく、
劇団員同士の「他己紹介」もあったりします。
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