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a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

TEEリレートークVol.9 『♪かがやけ冬のー?』 冨山小枝

2018-11-24 09:22:02 | 劇団員リレートーク


愛理からバトンを渡されました〜。
愛理との出会いは愛理が劇団に入る前でしたが、その時はもう少し大人だと思ってました(笑)
その愛理が劇団に入ってきて、思ったより若かったのにびっくりしたのを、覚えています。
私は研究生の係をずっとやってるのですが、
いままで色んな人たちが研究生から劇団員に成長して行くのを見て感動してきましたが、愛理もその1人です。
今ではえりとはくだらないことも(同盟仲間?)真面目な話も一緒にする仲間になりました。
これからの活躍に期待してます!



さて、わたしくは『銀河鉄道の夜』の小道具係の冨山小枝です。
銀河の小道具をやって、21年目になります。
どんどん変態的になってきました。
私がメンテナンスをした小道具たちも私がやり始めて成人を迎えてしまいました。
(実際は初演からの子たちもいるからもっと年上だけど)
ホントに可愛いのです。😆
旅公演では電池もそんなに替えることは出来ないので、
暗くなってきた子から順番で電池を替えるのですが…。
電池を替えると〜!





明るくなる! って当たり前の事ですが、それがかわいい〜のです。
明るく光る子たちをみると、可愛すぎて毎回涙が出そうになる(笑)
以前ある劇団員の先輩に小道具の為に芝居やってるなら辞めろといわれた事があります。
好きな芝居の小道具じゃなければこんなに一生懸命やらねえよ! と今も小道具も芝居も一生懸命やってます。
21年小道具を、やっているということは銀河の芝居について、21年目ということになります。
色々な事を経験してきたなかで、銀河は、共に歩んできた私の芝居人生そのものです。
まだまだ先があると思う『銀河鉄道の夜』、見たこともない世界へ踏み込みたい。
そんな想いと共に歩んでいます。
小道具だけが明るく光ってもダメなのだ。
最後の旅公演からの最後のクリスマス公演。
大好きで大切な芝居小屋での私たちの宝物の『銀河鉄道の夜』の公演。
この命の空間を味わいにきて、芝居も、可愛い小道具たちも、是非見にきてください。





さて、次は私よりもっともっと銀河を長くやっていると思われる竹ちゃんでーす。
竹口さんはとにかく良く働く!
どうしたら仕事が、効率良く進むのか、早く終わるのか?
常にそれを考えていると思われる竹口さん。
よろしくお願いしまーす。


TEEリレートークVol.8 『出発点』 永野愛理

2018-11-17 22:16:20 | 劇団員リレートーク


奈須さんからバトンタッチ!!
こんにちは、永野愛理です。
奈須さんも書いてくれましたが、3年前まで『銀河鉄道の夜』にて、たあちゃんを演じておりました。
銀河の旅で奈須さんとツイン部屋になるとおしゃべりが止まらず、
2人して「わあこんな時間だ、寝よ!」と電気を消してベットに入ったにも関わらずベットの中でもまだおしゃべりが続く、
ということがしばしばあったことを思い出します。笑

思えば、私がブレヒトの芝居小屋で初めて観た東京演劇アンサンブルの公演も『銀河鉄道の夜』でした。
天井から鳥が飛んでくるわ、
人が瞬間移動するわ、
この小屋どうなってんの!?
地下通路とかあるんじゃないの!?
とまんまと魅了されておりました。

2011年に入団した私の劇団での最初のお仕事はなんと大道具倉庫を作ること!
芝居より先に水平器とインパクトの使い方を教わりました!笑
劇場もロビーも先輩方が一枚一枚床板を貼ったんだよ、と言われ、
ひえ~家まで作っちゃうのかこの劇団は!
とびっくりしてはいましたが、
それまで演劇経験のなかった私にとって『自前の劇場を持っている』という贅沢さにいまいちピンと来ていなかったりもしました。
それが今となっては、ここブレヒトの芝居小屋がなくなるという実感が全く持てないほどには、なくてはならない生活の場となっています。
公演するのも、
稽古するのも、
大道具作るのも、
衣裳ちくちく縫うのも、
勉強会開くのも、
憲法集会やるのも、
名物の手描き看板を描くのも、
打ち上げするのも、
旅に出発するのも、
旅から帰ってきて缶ビール片手にぐだくだするのも、
ぜーんぶここなのです。

いろんな団体の方々がこのブレヒトの芝居小屋の最期を惜しんでくださり、
有難いことに移転までにブレヒトの芝居小屋を使って公演がしたいという依頼がたくさん舞い込んできました。
私たちが地方公演で東京にいない間にも、ブレヒトの芝居小屋は毎日フル稼働しています!

そんな中、来年1月のスープ劇場企画『怒りをこめてふり返れ』の稽古も並行して進んでいます。





普段は読み稽古の場合、小稽古場と呼んでいるロビースペースを使うのですが、
貸出中のため稽古をするスペースがない日もあり(スープ劇場はスキマ産業(!)なので)、
そんな時は近くの区民館などを借りたりしています。




普段他所を借りるということをしないもので尚更
「あぁ~いつでも稽古ができる場所があるってなんて贅沢なことだったんだぁ~」
と今更実感したりしています…。

スープ劇場という企画は
「ブレヒトの芝居小屋に行けばいつでも芝居を観られる、そんな空間にしたい」
という想いから軽いフットワークでいろんな芝居ができるようにと発足したものです。
つまりブレヒトの芝居小屋があったからこそ出来た企画なんですね。
『怒りをこめてふり返れ』がブレヒトの芝居小屋でのスープ劇場企画のラストになります。
芝居小屋への敬意と、“今”、“ここで”、“私たち”ができること、やりたいこと、やらねばならないこと、
を詰め込んで一日限りの公演にぶつけます。
願わくば移転先でも規模は違えどこんな企画ができたらいいな…

さて、次にバトンを渡すのは冨山小枝!
『銀河鉄道の夜』カムパネルラ役でもう? 8年ですかね?
たあちゃんが私になる一代前にたあちゃんを演じていたのがさえさんです。
さえさんとはとある同盟仲間といっても過言ではないのですがちょっとここでは言えないな!?笑
さえさんよろしくお願いしまーす!!

TEEリレートークVol.7 「闇に向かって跳べ」(広渡常敏) 奈須弘子

2018-11-10 08:14:57 | 劇団員リレートーク


原口さんからバトンがきました奈須弘子です。
皆さん、こんにちは。

原口さんは現在『消えた海賊』で学校公演巡回中、
私は『銀河鉄道の夜』ですが、以前銀河で、
原口さんが船で沈んでしまう幼い姉弟のお姉さん役、
私が家庭教師の青年役で、共演したことがありました。
原口さんは、包容力と気遣い、姉らしさと子供らしさ、いろんな面がみえる温かいお姉さんでした。

あれから時は流れ、幾度かメンバーを変え繰り返されてきた銀河の学校公演も今年でまた一区切り、
毎年恒例だったブレヒトの芝居小屋でのクリスマス公演は、今年で最後になりました。





以前弟役たあちゃんだった、現在カンパネルラを演じる冨山小枝との最近の会話で、
『私たちクリスマス公演何年やった?』
『79年からだから…』
なわけないか…
『97年からだよ!、21年』
今年で36回目になる芝居小屋でのクリスマス公演。
『半分以上やってる⁉(笑)』
ということについ先日気づきました。

私にとって銀河はアンサンブルに入ってから、
最も多く上演した作品であり、
劇団にいるなかでほとんど、隣り合わせに一緒に歩んできた作品です。

劇団に入って一年目すぐ、同期生が銀河のスライド操作で、旅公演につきました。
緊張する長い初旅から帰ってきた同期生は、胃潰瘍になりすっかり痩せて帰ってきて心配しましたが、
翌年私が彼女のあとにスライドについた時には、私に色々教えてくれる心強い先輩に成長していました。
おかげで私は胃潰瘍にはなりませんでした。

私が野外公演を幾つか経験したのも銀河です。
京都梅小路で本物の機関車を使っての野外公演。
あの機関車の存在と、哀愁ある汽笛の音は、今も心に響いています。
横須賀で豪雨の中でやった野外公演。男の人でも寒さで身体全身ブルブル震えていて、
それを必至に止めようとしながら舞台の盆にじっと座る姿。
私も手が震えて早替えのワイシャツのボタンが一人で止めれず、
同じくびしょ濡れの入江龍太に手伝って貰いました。
そして最後までそこに居合わせ見届けその場を一緒につくってくれた、
恐らく私たちより寒さを体感しただろう観客のみなさま。

本当にたくさんの公演を重ねてきて、話しは尽きないのですが、
一番最近の出来事では、劇団の制作であるA.Oさんがなんとスライドで奮闘しています!(学校公演の数回のみ)
制作の時とかなりモードも違い、
普段は私たちの写真をよく撮ってくれるのですが、逆に今はレアなその姿を皆に撮られています。

生徒さんの純粋な眼差しに見つめられながら、お互い掘り返し掘り返されろ!
銀河はまだまだこんなもんじゃないと、一回一回の学校公演を身体に刻む。
「あの闇の中にほんとうの幸いがつまっているかもしれないんだ」
計り知れない闇と未知の未来に向かって、クリスマス公演まで走ろう。
ブレヒトの芝居小屋と『銀河鉄道の夜』に、ありがとうの感謝と愛を込めて。

芝居小屋ならではの空間で生まれた東京演劇アンサンブルの『銀河鉄道の夜』。
クリスマス公演に一人でも多くの方が御来場して一緒に汽車を走らせてくれるのを、
心よりお待ちしております。



次回のリレートークは、三年前銀河でたあちゃんをやっていた、永野愛理です。
今は『消えた海賊』のマルガリータ役で、新しい言葉を生み出そう! という勇敢な女性海賊です。

最後にもうひとつ、今日は銀河の旅公演がお休みの合間、明日東松島高校での芸術鑑賞教室のため、東松島に向かっています。
演目はB.ブレヒトの『例外と原則』。
公家・浅井・竹口・私、そして今回は照明兼音響の二刀流、真壁の5人のみで行う一回限りのリーディングです。
そして第二部として、2014年に上演したデーア・ローアー作『無実』の時に、
ケルティックハープを演奏して頂いた坂上真清さんによるハープコンサート! 久しぶりの再会、とても楽しみです。



東松島高校では毎年夏に生徒さんと芝居をつくるワークショップもやっていて、
今回のリーディングには4名の生徒さんも出演してくれます!
明日はどんな公演になるのか、ハラハラどきどきワクワクとともに行ってきます!



TEEリレートークVol.6 「旅公演をやり続ける中で」 原口久美子

2018-11-03 23:27:08 | 劇団員リレートーク


皆さまお疲れ様です。
お疲れさまですというのもなんですが
『消えた海賊』の郡山での公演を終え、十和田に移動中のバスの中で
このブログを書いています。



東京演劇アンサンブルは現在『消えた海賊』と『銀河鉄道の夜』2班で秋の旅公演中。
海賊班は今年は北は青森から南は熊本まで。
よく、「どうやって移動してるの」と聞かれますが、
トラックとマイクロバスで日本国中走りまわっております。
私なんかは乗ったらすぐに寝てしまうのですが
本番終わってからのけっこうな長距離移動、運転手さんは本当に大変です。

旅公演、中でも芸術鑑賞教室いわゆる学校公演は
本公演や芝居小屋でのイベントと並ぶ、
私たちの劇団の柱となる大切な仕事の一つです。

未知なるものに向かう真っ直ぐな目を持つ高校生や中学生に
芝居を観せることは、とても神経を使うしナイーヴな仕事ですが、
この上ない楽しさと喜び、様々な経験を与えてくれる場でもあります。

学校公演は市民会館や文化会館などのホールだけでなく、
学校の体育館でも公演します。
体育館の天井の鉄骨から照明を吊るし
幕を吊ってセットを組む。
以前は脚を組んで平台を何十枚も使って舞台を作っていたことも。
体育館という生徒たちにとっては日常の空間が非日常に変わる。
仕込みを覗きに来た生徒さんの
「おおっ。凄~い」
という声を聞くと嬉しくなります。
どんな空間でもベストを尽くす。先輩達から引き継がれている
自慢の空間創りです。

会館での公演とはまた違い、生徒たちとの距離も近く
一人一人の顔がよく見える体育館での公演が
仕込みバラシは何倍も大変ですが
私は好きです。

『コーカサスの白墨の輪』『おんにょろ盛衰記』『ラリー ぼくが言わずにいたこと』
等いろんな作品で全国を旅してきました。それぞれにいろんな思い出があります。
『ラリー』をやっていた7年間の間には、東日本大震災があり
どう言ったらいいだろう。。。
何ができるだろう、何も出来ないんじゃないか。そんな戸惑いや不安の中
私たちを受け入れてくれた学校や生徒たちに背中を押されながら、
より意識的に芝居に向かうことで、ああ良いな、素敵だなと思える瞬間に
たくさん出会わせてくれたような気がします。





生徒たちの反応はもちろん様々です。学校によっても違うし、地域差もある。
時代によっても生徒たちは変化しています。
ヘコむこともたくさんあります。
何年やっても何ステージやっても
毎回毎回緊張するし、毎回毎回真剣勝負です。

正しそうなことをやらないこと。
理想と現実、その矛盾は矛盾のまま提示すること。
解釈を押しつけて、感じる心の邪魔をしないこと。

20数年間の旅公演の中で、精神的にも肉体的にも鍛えられ
おかげでずいぶん強くなりました(笑)

これからも自分自身変化することを恐れず
その一瞬一瞬、いま そして いま として進む旅公演を続けていきたいと思います。

そのためにはなんとしても、稽古場を探さなければなりません。

皆さまにご協力いただければ、本当にありがたいです。
今後ともご支援のほどよろしくお願いいたします。

前回のブログで、洪美玉に「ミシンの名人」と紹介していただきましたが
それほどでもありません。
ただ仕事に入る前に「今日もよろしくね」と声をかけ、
終わったら「どうもありがとう」と糸くずを掃除してあげる。
それでミシンたちはたいてい機嫌良く動いてくれます。
因みに、永野愛理は「なめんなよ」と叱咤しながらミシンに向かっていますが、
それでも動きます。
町田聡子は私がメンテしたミシンを30秒で動かなくします。。。
相性もあるんでしょうね(-.-;)



次回はアンサンブルの癒し系、奈須弘子です。
奈須ちゃん、ヨロシク。

TEEリレートークVol.5 「アットホーム過ぎやしないか?」 洪美玉

2018-10-27 11:36:22 | 劇団員リレートーク


ああー、この劇団の扉を叩いてから19年も経ったのだ。
芝居やめようと思っていた時、この劇団のブレヒト作品「セチュアンの善人」を見た。
衝撃だった。



試験を受けに行った時、現在劇団代表、入江洋祐が道まで私を迎えに来て下さっていた。
方向音痴の雰囲気を漂わせていたのだろうか(笑)
新入生歓迎会、小教室と呼ばれる公演の時にはロビーになる空間、溢れんばかりの劇団員。
集団に慣れていなかった私にとっていささか苦痛だった。
大勢で飲む、食べるのに慣れていなかったのだ。
そしてその日のうちに厨房で洗い物。
あれっ? 歓迎会ではなかったのか?
あまりにもアットホームな雰囲気に拒否反応が起きていた…。
きょ、距離が近すぎる…。

今では信じられない。
私の今の芝居小屋への誘い文句は
「初日と楽日はお客さんフリーで飲んだり、食べたり出来るから、
厨房で劇団員が腕をふるって美味しい料理が出るよ!」である。
さすがに歳をとってきて、貧乏暇なしになってきて劇団でダラダラ飲むことは少なくなった。
でも場があることによって人が集い、時間のリミットが無いことで語り合い、
(時にはぶつかり合いにも発展するのだが…)多くの大切な出会いをくれました。



芝居の話全然ないじゃない?と思われるかもしれませんが、引き続き芝居に関係ありません(笑) でも実はあるんだなー。
芝居小屋は芝居だけではなくたくさんのイベントを企画してきた。
私が入る以前もあったと思うけど、
今から14年前、劇団創立50周年に憲法大集会をやったのは私にとってのエポックメイキングである。



その精神を引き継ぎたい、この劇団だからこそ出来るイベントを企画してきた。
イスラエル、パレスチナ、在日朝鮮人、沖縄、清算していない日本の植民地主義、日本軍性奴隷、福島、日の丸、君が代問題などなど…。
この国が、世界が抱える問題を当事者にこの小屋に足を運んでもらいながら実施してきた。
イベント終わって、即解散ではなく話せる時間が持てる。
昨今、政治的内容だと借りるのを拒否される公共施設とは対極のブレヒトの芝居小屋。
私にとって、どの立場に身をおいて世界を見つめるのかという視点を育てる種をまいてくれた貴重な、貴重な場所です。





いつまでもいられるとたかをくくっていましたが、来年6月に完全退去!
贅沢な空間でした。
事務仕事バリバリしている人も、
一生懸命ウォーミングアップしている人も、
ちょっと調子悪い人、
機嫌悪い人も、
ぼーっとしている(飲み過ぎか?)人も、
おしゃべりに夢中な人も受け入れる場所。
なかなかこのような場所に出会うのは困難だと思いますが、人が場を育てるのですよね、きっと。
ブレヒトの芝居小屋=ブレヒトラウム、新しい空間、余地、スペースを作り出すため、応援基金へのご協力を引き続きよろしくお願いします。

ここでの本公演は残すところあと2回となりました。
(12月13日から16日まで芝居小屋で産声をあげた『空の村号』私は13、16に出演します。
チケット予約はこちらから
1月12日は一日限りのスープ劇場『怒りを込めて振り返れ』もあります。)
いつも来てくださっている方も初めての方も是非最後のブレヒトの芝居小屋空間を味わいにいらして下さい。

次回は大先輩、原口久美子です。きりっとして、でも可愛らしい(怒られますかね…)先輩です。
ポツリと言うダメ出しに納得させられます。
ミシンの名人!修理、メンテナンス、劇団の古株ミシンは原口さんにひれ伏します。





ブレヒトの芝居小屋 スープ劇場Ⅹ 『怒りをこめてふり返れ』

2018-10-22 12:47:11 | 劇団員リレートーク


ブレヒトの芝居小屋 スープ劇場Ⅹ
『怒りをこめてふり返れ』

◆2019年1月12日(土) 14:00開演
ブレヒトの芝居小屋

作/ジョン・オズボーン
訳/水谷八也
演出/三木元太
照明/真壁知恵子
音響/仙石貴久江
宣伝美術/岡島茂夫・奥秋圭
制作/太田昭

キャスト
ジミー・ポーター  和田響き
アリソン・ポーター 永野愛理
クリフ・ルイス   雨宮大夢
ヘレナ・チャールズ 山﨑智子
レッドファーン大佐 三木元太



イングランド中部の大きな町にあるアパートの屋根裏部屋。
労働者階級出身の青年ジミーは、妻アリソンと、同世代の友人クリフと共に三人の奇妙な生活をしていた。
政治・宗教・性、全てが停滞し、閉塞した社会への苛立ちをジミーはぶちまけ、
その激しい怒りは中産階級出身の妻へと向けられる。
ある日訪れた友人ヘレナに説得され、
アリソンはジミーに妊娠していることも告げずに両親のもとへと戻ることにするのだが……。

「怒れる若者たち」を生み出す契機となった歴史的傑作!
現代日本の若者たちに「生きるとは何か」を問う。

◆チケット
一般=1500円
ケンタウルスの会会員=1000円
ブレヒトの芝居小屋
西武新宿線『武蔵関』駅北口より徒歩6分


~*~スープ劇場とは~*~
私たちが長年本拠地として活動してきたブレヒトの芝居小屋。
この空間は、私たちの想像の泉が湧き出る源泉であり、ここに人が集まり、ここで作品が生まれてきました。
「ブレヒトの芝居小屋に行けば、芝居が観られる」
さらにそんな空間にしていきたいという思いで、“ブレヒトの芝居小屋 スープ劇場”という企画をスタートさせました。
終演後には、出演者とお客さんとで1杯のスープを飲みながら、作品の話をして、交流もしてみようというものです。
みなさま、芝居の感想を語り合いましょう。

~*~*~*~*~*~*~

『ブレヒトの芝居小屋』からスタートしたこの企画も10回目を迎えます。
このブレヒトの芝居小屋は2019年3月を持って閉鎖、劇団は移転することとなりました。
私たちの命の空間で、みなさまをお迎えできる残り少ない公演の一つです。
一日限りのこの作品と共に、ブレヒトの芝居小屋での時間を過ごしませんか?


★チケット予約受付中★
MAIL ticket@tee.co.jp
TEL 03-3920-5232
まで、予約枚数と氏名をご連絡ください。
ご予約お待ちしております。

TEEリレートークVol.4 「小屋の思い出~若気の至り」 町田聡子

2018-10-17 21:41:43 | 劇団員リレートーク
前回の松下くんの投稿を受けて。

ブレヒトの芝居小屋のタッパの高さは貴重ですよね。
劇団に入りたての頃、高校演劇部の顧問であり、演出家でもあった恩師が「あの劇場はいんだよ~。なんせタッパあるもの~。」と口にしていたことをよく覚えています。まだよそを知らなかった当時の私にはあまりピンときていませんでしたが、その実にうらやましそうに言う先生の表情から『タッパ』という言葉と、その価値についてだんだん意識するようになりました。


松下くんの投稿では雨の話がありましたが、演劇って役者以外のところにも生まれるし、時に生み出すように仕掛けをつくります。それはとても大変ですが、そういう一瞬の風景というかハッとしたりぐっときたことについて、個人個人のこだわりについて感じたことを聞いたり話すのがとても好きです。それはお客様に限らず劇団員同士でも。例えば桜が舞い上がって踊るさまだったりスモークがあがって消える姿だったり、その果てをどこまでどう味わうかは観る者の自由なんですよね。そしてその味わう時間をとれるほどの空間、高さがあるというのは、生物(なまもの)である演劇をやるには本当に理想的な贅沢な小屋なんだなぁと思います。


様々な演出効果の仕掛けを仕込む天井の『キャットウォーク』は、照明班でもある私にとって馴染みの深い場所です。自分自身が落ちかけた経験もあるため、今ではその高さがイヤというほどわかるのですが、上で作業するたび思い出すことがあります。これもう時効だと思うんですが……。劇団入ってすぐにチェーホフの『かもめ』の公演がありました。ある日満席で入れなかったのか忘れましたが、ちょっとノリの軽い先輩が「上から見れば~~」とやさしく声をかけてくれました。そして連れて行かれたのがキャットウォーク!はっ?上って、真上?!とは当時思わず。わーい!と無邪気に『かもめ』の円形舞台の真上からずっと見下ろす形で芝居を観ていたわけです。大御所の先輩たちだらけである本番を、です…。ほんっと、何もなくて、良かった……。(バレなくて…良かった…。)でもとにかくすごく夢中になって観ていたことと、当時の芝居への好奇心に溢れていた自分の感情は、今でも大切にしたい思い出です。


自分が役者として立つ場所としては、私にとっては恐ろしい空間だったといえます。若い頃さんざんタリさんに怒鳴られた時の感情とセットになっているのかもしれませんが、それだけでなく。昔、芝居小屋で何度も主演経験のある先輩に「なぜかうちの芝居小屋で芝居するのが一番緊張するんだよね。」と聞いたときにはホッしました。私もそう思っています。観客数の大小とか芝居の評価とか関係ないんですよね。本番でも稽古でも、この小屋で芝居しているとものすごく人と接近してる感じがするのです。その『人』とは誰なんでしょう。観客でも共演者でもなく、やっぱり自分自身なのかなと思います。めちゃくちゃ自分を見てる自分を感じるって怖くないですか?

と、すみません、変な文章になってきてしまいましたが、とにかく隙のない空間でした。
来年新しい場所に行ったら当然今までとは違う空間と時間が始まってゆくのだと思います。


「それがなんであるかを見るのは、みんなだよ。もちろんぼくも見るがね。」(フルガンツィオ『消えた海賊』より)

不安もいっぱいですが新しい物事との出会いと何を作り出せるかを楽しみにがんばっていきたいと思います。
引き続き応援よろしくお願いします❗

TEEリレートークvol.3 「いえいえ、僕は運転はそんなにうまくないですよ。」  松下重人

2018-10-12 15:50:00 | 劇団員リレートーク
前回の三木元太の投稿を受けて。

旅公演の車両がぜんぶ駐車している写真を見て、こんなスペースが芝居小屋の隣にあるなんて! とつくずく思う。
元太は僕の運転をほめたけれど、僕は決して運転はうまくはない。今だって、運転することは怖い。
ただ、心がけていることはある。
それは、劇団に入ってトラックやバスを運 転をするようになった時、言われたことだ。
「運転は意識的にやれ。芝居と一緒だ。」
「隣に乗っている人の頭が揺れないようにアクセル、ブレーキ、ハンドルを操作しろ。」
それを今も「心がけている」というのはある。
進んだり、止まったり、曲がったり、車線を移る時、車は揺れる。
人も揺れる。
それをなるべく少なくする。
長い旅だから体への負担はなるべく減らしたいし、
その移動中は安心して休息にあてることが出来て、仮眠がとれて、読書もできて・・・というのが理想かな。
タイヤが地面の凹凸を拾ったときはしょうがないにしても、なるべく揺らさない。
高速道路の車線変更はウインカーの点滅9~13カウントくらいで移るとどうも体は揺れないみたい。
そして、体が負担を感じないスピード、かな。



元太のアップには小教室に飾ってある岡島さん(劇団の舞台美術家、故人)の絵もアップされてあった。
ああそうだ、あの絵を見ながら岡島さんも話してくれたんだ。
「シゲ、芝居っつうのはなあ、意識的にやらないとダメなんだよ。
なんでそういう風にやったか、ちゃんと説明できなきゃダメなんだよ。
あの絵は俺が書いたんだけど、なんでああいう風に書いた か、ちゃんとぜんぶ言えるんだぞ、俺は。」
しかし、これは岡島さんだけが言っていたことではない。
演出家の広渡さんもしょっちゅう言っていた。
よほど、なんとなくな芝居が多かったのか、ガミガミ言っていた。
「芝居は意識的にやるんだ!」 これも僕の心がけの一つだ。



芝居小屋はタッパがある。
そのタッパの先にキャットウォークという人が立って移動可能なスペースがある。
照明なんかはそこから吊り込むんだけれど、道具だってそこから吊ることもある。
『おじいちゃんの口笛』の初演の時、「ブラインドに表面に水を伝わらせる」というのがあった。
「フェードインの時はざあざあ降っていて、それがだんだんと水量が減っていき、そして止む。」
というのが演出の広渡さんのイメージだった。
さて、どうするよ! と舞監のウッシーを交えて相談し、
細かい穴を開けた塩ビ管を吊って、
塩ビ管を回転させて、水の出加減は手動で調節できるようにした。
そこからブラインドに水を垂らす。
「ウッシー、あれ、どうなった!」と大きな声がする。
「シゲっ・・・?」 「ええ?(まだ、接着剤が乾いてないよう。)
・・・ああ、出来ましたが・・・あのお・・・い や、今出します!」
で、出してみたのさ。
塩ビ管の穴からブラインドまでの水のガイドとしてくっつけた5センチくら いのビニールの棒のようなものがまだ接着しておらず、
水を出したらポロポロ取れちゃって・・・ 失敗。
あーあ、皆の落胆ときたら・・・。
「なんだ!出来てないじゃねーか!」
「いつ出来んだよ!」
「今、やれ!」
演出家の怒号が飛ぶ。
で、稽古そっちのけでその製作になる。
キャットウォークまで何遍も往復するものの、結局その日はうまくいかず、
それからの日々は他の作り物も含めて、帰宅は午前様。
結局完成したのは、ゲ ネの時だった。
キャットウォークに登ってスタンバイ。
きっかけのちょい前に塩ビ管を回す。
水がブラインドを 打つ音がする。
ざあざあじゃなくて、さらさらと。
これならセリフも聞こえるだろう。
しぶきも 跳ねている。
しばらくして塩ビ管を半分ほど戻す。
雨は小降りになる。
塩ビ管を完全に戻す。
雨が 止む。
ブラインドには雨の雫がいく筋も伝っている。
「雨が上がったわ。」 とトーラさんが言う。
人生の最後、ニルスさんの心にキラリと「生きる」という喜びが宿ったかのようだった。
広渡が言った。
「いいねえ!・・・ざまあみろ。」 (・・・いや、それは俺のセリフだろ?)



元太が言うように、僕たちは演劇という営為を劇団員が分担しながら作り出しています。
それは 先達が夢見た「バラバラにされた個人ではなくて、人の集まりを作ること」だったと思います。
移転先は、今ほどの環境は望めないかもしれません。
でも、「Less is more(少ないことはより以上なんだ)」の精神で、またやって行こうじゃないかと思います。
これまで多くの方々が応援してくださったり、ご賛同くださいました。
心より感謝申し上げます。
誠に手前勝手なことではございますが、今後とも応援をお願いいたします。

2018年10月10日
松下重人

TEEリレートークvol.2 根拠地 三木元太

2018-10-07 18:44:44 | 劇団員リレートーク
東京演劇アンサンブルのブログをいつも読んでくださり、ありがとうございます。
前回のブログ、和田響きに『メルヘン』と呼ばれた、三木元太です。


本公演『トゥランドット姫』が終わったかと思うと、劇団は息つく暇もなく秋旅公演が始まりました。
『銀河鉄道の夜』『消えた海賊』2作品が、学校公演を中心に全国を廻っております。
日帰りもあれば、3週間行きっぱなしもある今秋。
旅の出発は常に『ブレヒトの芝居小屋』からです。



マイクロバス&トラックがズラリ
松下重人先輩の運転は上手なんですよ~!

旅公演中は衣装や大道具・照明・衣装・運転等、各作業を分担して自分たちでやります。
役者としても日々勉強する時間が必要ですが、良い舞台を観客に届ける為には、この作業たちのクオリティも大事になります。
会場に入って仕込みからバラシまでの時間はまだ良いのですが、その時間以外に、照明機材の修理をしたり公演後の衣装の洗濯等。
これらが意外と、結構時間がかかったり大変なんですよ。。。
遠い旅先から夜遅く帰ってきて、それから仕事をしている人たちを見ると、『ご苦労様です、ありがとう』とつくづく思います。



2班分の衣装洗濯。洗濯機何回分だ!?

そして多少のお酒を交えながら、その日の公演の感想や芝居の反省の話題。
ああ、この芝居小屋でまったりしている時間、すきだなぁ



ロビーにずっと飾ってある、岡島さんの絵
カッコイイです

劇団が引っ越すことになり、どんな場所に引っ越すかを会議や食事の場や喫煙所、至る所で話します。
夢もたくさん話しますが、やはり何が必要か、どんなスペースがいるか、実務的なことが出てきます。
劇団事務所・稽古場兼アトリエ・道具や衣装を収める倉庫・トラック達をとめる駐車場……
厨房や駐輪場も、やっぱり欲しい!!

残り少ない『ブレヒトの芝居小屋』での時間を惜しみながらも、新しい場所探しも旅公演の合間をぬいながら進行中。
どなたか素敵な場所を紹介していただけませんか?

TEEリレートークvol.1 ブレヒトの芝居小屋と僕 和田響き

2018-09-28 16:11:08 | 劇団員リレートーク
皆さま、こんにちは!劇団員の和田響きです!
少しずつ気温も冬めいてきましたね。
昨今は気候がめちゃめちゃですから、皆さまもどうか体調にはお気をつけください。
ちなみに僕は元気です!


今回の記事はタイトルでもあります、ブレヒトの芝居小屋についての想いなどを、湿っぽくならない程度に!綴っていきたいと思いやす。

僕は20歳の時に東京演劇アンサンブルに入団しました。声優プロダクションを辞め、アテもなくボーッとしている時に父に紹介されたのがこの劇団です──が、やはりそんな事を延々と書いてもしょうがないと思うので、やっぱり辞めます。

えー、僕の思うブレヒトの芝居小屋の好きなところトップ3!!

(とても盛り上がる素敵なBGMとSEが流れる)
ブログってのはいいもんですね、言ったもん勝ちなところがあって。
えー、気を取り直して。


第3位!
研究生公演『命を弄ぶ男ふたり』の時に「カッコ良く!」「もっとカッコ良く!」と稽古場で散々怒られながら歩いた板目! 
僕の人生ではじめて「お客さんに見られている!」なんて感じながら歩いた場所です。ゆっくり、綺麗に歩くのって大変!今でもいつも思います!


第2位!
小教室の換気扇下のピンク電話前

中でタバコ吸える時は大概そこにいますね!ついに劇団でも「換気扇」という免罪符が無きゃ喫煙者は肩身が狭くなりました!


第1位!
駐車場側の木のベンチのある喫煙所!


外かよ、という突っ込みは無しでお願いします。水を差すのはやめていただきたい。

辛い時、悲しい時、稽古がかったるいとき、いつもそこに逃げ込みました。天気の良い日にはぼんやり流れる雲を見つめました。先輩に「緊張したり、どうしようもない気持ちになったらどうしますか?」なんて聞いて「空を見る」なんて顔に似合わないメルヘンな答えが返ってきたのもその場所でした。僕にとってのかけがえのない場所です!



こうしてまとめてみると、自分の好きな場所にあるものは結局は人との思い出です。場所を作るのは「人」なんですね。
東京演劇アンサンブルの移転先は条件以外はまだ未定ですが、次の新しい場所も、新しく入る劇団員や、その場所にはじめてくるお客様、沢山の人の思い出が刻まれる場所になることを願います。



それと皆さん来年の1月12日(土)はスープ劇場がありますよ!?14時開演!作品はジョン・オズボーン作『怒りをこめてふり返れ』です!1ステージ限りなのでチケットが無くなる前に予約しないと危ないですよー!?
僕はアホほどしゃべります!それと雨宮大夢さんという先輩も出演します!演出は「空を見る」といった先輩です!また東京演劇アンサンブルの希少野生動植物種「山﨑智子」や学校公演の男子生徒のアイドル「永野愛理」も出演します!
クリスマス公演『銀河鉄道の夜』も含め、まだまだブレヒトの芝居小屋は企画が目白押し!さぁ移転までの間、芝居小屋を使い倒しましょー!!
それでは皆さま、またブレヒトの芝居小屋で!


アンサンブルのまんじゅう三姉妹でお別れです。