青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

春のうららの黒保根に。

2024年05月08日 22時00分00秒 | わたらせ渓谷鉄道

(わたらせの桜満開@黒保根運動公園)

水沼駅に隣接する黒保根運動公園の桜。現在は桐生市に合併していますが、昔はここは勢多郡黒保根村。ここ水沼の駅前に村役場が置かれていました。わたらせ渓谷鉄道線に沿って、駅周辺に続く桜並木が見事です。この日は晴れ予報ということで勇んで出かけて来たんだけど、青空が見られたのはほんの少し。この時期は晴れていてもガスったり、中国の方から黄砂が飛んできたりとなかなかすっきりとした青空を望む事が出来ません。まあ、雨が降らなかっただけマシということか。満開を少し過ぎ、爛熟の桜に風が吹けば、はらはらと風に散る花弁。年配の夫婦がのんびりと歩く後ろ姿。黒保根の、麗の春です。

桜並木の中を、わたらせ渓谷鉄道の看板列車である「トロッコわたらせ号」がやって来た。DE10に、12系客車と京王5000系を肉抜きしてオープンエアにしたトロッコ客車の4両編成。観光列車なので、満開の桜を楽しむようにゆっくりと走って行く。トロッコ客車のお客さ んも、身を乗り出さんとばかりに満開の桜に触れ、わたらせの一杯の春を満喫しているようだ。かつて、産出された銅や精錬で使う硫酸を運んだ「あかがねのみち」は、すっかりと四季折々の花や紅葉を楽しむ関東屈指の観光路線となりました。JRではハイブリッド機関車に追われ、風前の灯火であるDE10が元気に活躍しているのもいいですね。元々、足尾線時代の貨物輸送は蒸気機関車の時代はタンクのC11、無煙化してからはDE10で行われていたそうなので、馴染みの機関車ではあるんですが。

そう言えば、終点の足尾から日足峠を抜けてバスで日光に出れば、下今市でもDE10がSLの補機として頑張っていますし、真岡鉄道でもSL列車のサポート役がDE10だったりするので、北関東は何気にDE10天国ですね。三セクや私鉄にDD51が譲渡された事例はないですけど、セミセンターキャブで軸重が軽く使い勝手の良いこの機関車は、線路規格の劣る国鉄ローカル線にはうってつけなんでしょう。どっちかと言えばヤードの入れ換え機や、ローカル線の小貨物をけん引する役割で製造されたのがDE10という認識なので、本人もこんな形で生きながらえるとは思わなかったろうなあ。

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