出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

旅の延長

2010年08月11日 | 注文納品
大阪屋に納品に行ったら、1枚の紙を渡された。受品口で紙をくれるのはトーハンだけなんだが、盆休みの時期ということもあって、あまり気にせず受け取った。が、休みのスケジュールにしては文字がぎっしりだなと思って見ると、なんと、文京と呼ばれている、本社にある受品口の閉鎖のお達しである。

各社とも最近、というか随時、物流システムを改良しているようで、何年か前に、トーハンの「桶川行ってくれ」説明会に呼ばれたこともある。そのときは小さい出版社が大勢来ていたようで、年配の社長クラスの「とんでもない!」合唱に、トーハンの若い人は「あくまでもお願いですから」とたじたじと答えていた。私は黙って聞いていただけだが、年配の社長たちに倣ったのは当然である。

大阪屋と取引開始してもらうとき、「搬入場所は…文京じゃないとダメですよね」と突っ込まれたが、こちらも当然!という顔でやり過ごした。しかし、それはコネの力があったためである。

紙にある「埼玉県戸田市…」の文字を見て「ゲッ!」と思わず声が出たが、窓口のお兄さんは微妙な笑みを浮かべるのみ。ここでお兄さんに何か言ってもしょうがないのはわかっているが、とりあえず「他の出版社はどうするんでしょうね?」とつぶやくと、「郵送とか・・・?」という返事。私のことを哀れんでいるのかと思ったが、もしかするとお兄さんも戸田とやらに飛ばされるのか?

その後、いつものとおり王子の日販に行って帰ってきたんだが、もう戸田とやらのことで頭がいっぱいであった。

うちの場合、物流倉庫に頼むのは論外である。そんなコストはかけられない&かけたくないし、出版業で本作り以外で楽しいことと言ったら、納品の旅。これはゆずれない。

ヤマトとかを使うんだろうか。しかし、それにしてもコストがかかる。売上に対していくらかけられるかということではなく、「今までかけていなかったコストが生まれる」ことが許せない。まして、お達しの紙には書店さまへの納品スピードアップを目指して云々と書かれているが、「うちが」よりスピードアップするかというとまったく関係ない。というか、何かで送っていては、持って行くより時間がかかるではないか。

口座開設以前のように、仲間渡しでトーハンに入れちまいたいくらいである。もしかして、戸田まで送ったりしてるより早いかも。けれどもさすがにそれは無理であろう。

あまりのショックで、もう大阪屋はやめてしまおうかという気になりそうだ。が、コネのことや、関西方面の書店さんたちからの注文や、ようやく在庫切れにならなくなったアマゾンなどのことを考えると、どうにかせねばと思う。宅急便っていくらだっけ? 最悪、運送会社?

どうせなら、大阪屋じゃなくて日販が引っ越してくれるなら、もう諦めもついて納品の旅は飯田橋までで済むのに。。。

いろいろ悩んでいたら、大阪屋の文京受品口で知り合った出版社の人のことを思い出した。私の本を読んで「そうか、原チャリか!」と思って三輪車を買ったと言っていた。今もたまにトーハンや王子で会うことがある。あの人と、他にも誰か探し出して、共同納品みたいなことをできないか。今週は私、来週はあなた…みたいにアレンジできたら、月に1回くらいの車の搬入で済むかもしれない。いや、車だと時間も高速料金もかかるな。

それはそうと、埼玉と聞いただけでなんとなく桶川の近くを想像してしまったが、戸田ってどこだっけ? 確か外環に戸田何とかってのがあった記憶が。。。とにかく地図で調べてみねば。

あれ、意外と近くじゃん。しかし、なんとも微妙な距離である。板橋から川を渡ったところ。王子から10キロくらいか。

そこで、三輪車の人のことをまた思い出した。彼は栗田にも行くと言っていた。そのときには気にしなかったんだが、確か板橋のほうだった記憶が。。。またまた地図で調べると、なんというか、距離的には王子と戸田の中間である。きっと彼は、私のように悩むこともなく、あの三輪車で戸田まで行くつもりに違いない。

そうか、紙をもらったときには絶対不可能と思っていたが、「コストをかけずに納品する」のは可能である。彼を見習えばいいのである。

おそらく、帰ってくる頃には、ケツが痛くなっているであろう。王子でトイレ&食事休憩が必要であろう。ほぼ1日、搬入で潰れてしまうかもしれない。あ、それならそれで、晴れている日には、ボートで一発!でいいのか(笑)


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