出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

取引名簿

2009年03月18日 | 出版の雑談
印税の話の続きを書きたい気もするが、ごちゃごちゃ悩んでいるだけで大掛かりな変更ができるわけでもないのでやめる。つくづく日産のゴーンさんはすごいと思う。

とはいえ少しだけ書くと、「印税の一部を現物払い」で了承してくれたらいいなと思っている。いつまでも売れ続ける本になるときもあって、そういうときは重版分から実売計算にしてもらっているが、リスクは初版にある。ようするに初期費用を抑えたいわけで、初版の印税の一部が現物だと、とても助かる。もちろん、「全額現物で」などとは思っていない。

交渉したいのは数十部くらいの話なので、「そのくらい配れなくて(配る先がなくて)、本屋で見知らぬ人に買ってもらえると思う?」という気持ちもある。「この人の本なら売れる」という著者なら構わないんだが、そうでなくて「内容がいい!」というときに、そういう気持ちになる。ここで結局、「矜持」の話になるんだろうなあ。

話変わって、本日バイト先の本屋に行ったら、新しい取引先名簿があった。取次が作っている「出版社名簿」である。

今まで使っていたのは、本当にボロボロになっている。注文の端末もパソコンもないので、注文はすべて電話かFAX。ちなみに「FAXか電話か」は、店長の好みによるようだ。「取次をどこまで頼るか」も、同じ。

このバイト先は10店舗くらいのチェーン店なので、「今度、年賀か何かで新しい名簿を買ったろか」と思ったこともあった。別にパートのオバサンが店に気を使うこともないんだろうが、「勉強させてもらってる」という意識があるし、懇意の書店と言ったらここしかないので、なんとなくそういうことををしようかという気持ちにもなるのである。(ボロボロの名簿の他に、スタンプ台とか、住所印とか「書籍代」のハンコとか、いろいろ「販促品になりそうな」ものがある)

取次は支店によって違って2社なので何冊ずつかなとか、新しいのはいつ出るのかなとか考えているうちに、忘れていた。

で、本日その新しい名簿を見ながら仕事をしていたんだが、見るとうちが載っているではないか。バイト先の支店の取次は、うちとは取引がない。い、いつのまに?

というか、取引がないのでうちの場合「トーハン経由」の納品になるが、経由も取引のうちという感覚なのか。地方小とか鍬谷とか星雲社とかの扱いは、名簿にちゃんとそう書いてある。注文する側の気分で「時間がかかるかな」と一瞬思ったり、出版社の気分で「うち(バイト先の本屋)は通な品揃えだし、ちゃんとした本作ってると注文してくれるんだな」と思ったりする。

で、何にも書いてなければ、普通は取引があると思うだろう。

今までに受けた電話注文から想像すると、大阪屋は「取引開始前の早い時期から名簿に載っていた」と思われる。トーハン経由と聞いて「えっ?」と反応する書店と、最初からわかっている書店と、両方あった。

太洋社と中央社の名簿には載っていなくて、みなさん「どうにかならないか」と電話をくれる。「神田村とは取引がないか?」とか「トーハン経由でもいいから、ちょっとでも早く入れてくれないか」とか。逆にうちから「場所はどちらですか?」と尋ねて、搬入ルート上だったら直納したりすることもある。

うーん、ようするにバイト先の取次は栗田なんだが(笑)、どうだったっけ?

とりとめのない話で申し訳ないが、つまり「裏側のしていることは、本当にわからん」ということである。

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