長らく放置していた理由は、特に目新しいことが起こらなかったからである。新刊が出た後、普通に営業して普通に編集者もして、普通に納品の旅にも出て、普通に返本を受け取っていた。
さすがに出版業8年目に突入すると「毎日が勉強!」という感じではなくなる。別に目新しいことじゃなくても書けばいいだろと思うが、いいんですかね?(他人の「日記」読んで面白いか?)
ところが最近、この新しいことのなさについて考える機会があった。なんと、テレビ番組で私を取り上げたいという話が来たのだ。結論から言うと、企画はポシャった。
その番組は活躍している女性(番組風にいうと「輝いている」女性)を紹介するというもので、特に「どのように飛躍したか」を明らかにするという点がウリだという。女性云々というだけで敬遠したくなるが、会社と刊行物と自著の宣伝になるのは確かなので了承し、ディレクターがうちまで来た。
以前、女性とかナントカではなくて、ちゃんと出版業者としても似たような話が来たが、そのときもポシャった。私の仕事の仕方のイレギュラー度は一般視聴者にはわかりづらいので、違う出版社を取り上げることになったと言われた。確か、書店と直取引してるところとか本屋の後ろに編集部があるところがOAされていたと思う。わかりづらいというより、あまりのチンケさに没になったのだと思う。
今回も、「輝いてはいる(どんより生きてはいない)だろうが、活躍とまで言えるか?」と思ったんだが、まずは会ってみた。すると、番組モニターの人たちから、取り上げてほしい女性として私の名前が挙がっていたのだという。1冊本を書いて出すことの影響の大きさに、改めて感心した。
ディレクターはやはり出版業についてほとんど理解していなかったが、できれば出演したいので、私も張り切って自分の活躍?について語った。別に活躍しているつもりはないが、あの本の読者から面白いと言われた挙動をいくつか説明した。孤軍奮闘&他業種からの参入については、ディレクターも魅力ある題材と思ったらしい。
が、そんなのは、本に書いたようにちょっと前の話なのである。
女性向け番組にありがちなわかりやすさを求めるディレクターは、飛躍したのはいつかと聞いてきた。悪いが、飛躍したことは一度もない。当たった本もないし、創業当時から同じスタイルでやっている。強いて言えば、10点目を作っている頃に、ようやく「出版業を続けていける」気がしてきて、それは私にとっては飛躍なんだが、これまた視聴者にはどうでもいい話である。
実際、出版業を続けていくことは思ってたより大変だった。ましてうちのように「紙の本にこだわって、斜陽産業の中で生き残りたい」と思ってると周辺産業なんかにも興味がないので、新たな挑戦をせずに同じことを続けて会社をキープしないといけない。いや、別に頼まれてやってるわけじゃないし、自分でそうしたいんだから威張ることではない。
この「威張ることではない」と「続けることこそが大事」という点が、番組とは相容れない。女性向けなのでわかりやすくないとダメなのである。
大手取次と取引を始める出版社は始める時点である程度ふるいにかけられているので、続けているところが多いだろう。営業力だったり編集力だったり会社の体力だったりと、いろんな強さがあるだろう。うちだけが特殊なわけではない。が、取次で断られる人たちに「断られる前に」会うことが多かったので、どうもそのへんを強調したくなってしまったのだった。
おまけに、視聴者がその点を理解するかはともかく「すごいんだぞ」と言い張る番組を作るとしても、やはり出版業界独自のこと(流通とか再販とか?)を説明しないことには、ますますちんぷんかんぷんになるという。そりゃ、そうだ。
まして、「1発当てて一息ついた」というような本がなく、ただただ続けているだけ。だから、番組がほしい起承転結(最初は売れなかったが、こう頑張ったら売れた)や飛躍(最初は売れなかったが、これこれのきっかけで!)の話なんか、全然ないのである。
でも、私としては、続けていることに自信を持ちたい。それに、私のしていることが一般視聴者にウケることより、作る本が一般読者に受け入れられることのほうが、よっぽど重要だ。そうだそうだ、テレビに出られないことなんかどうでもいい。よしとしよう。
さすがに出版業8年目に突入すると「毎日が勉強!」という感じではなくなる。別に目新しいことじゃなくても書けばいいだろと思うが、いいんですかね?(他人の「日記」読んで面白いか?)
ところが最近、この新しいことのなさについて考える機会があった。なんと、テレビ番組で私を取り上げたいという話が来たのだ。結論から言うと、企画はポシャった。
その番組は活躍している女性(番組風にいうと「輝いている」女性)を紹介するというもので、特に「どのように飛躍したか」を明らかにするという点がウリだという。女性云々というだけで敬遠したくなるが、会社と刊行物と自著の宣伝になるのは確かなので了承し、ディレクターがうちまで来た。
以前、女性とかナントカではなくて、ちゃんと出版業者としても似たような話が来たが、そのときもポシャった。私の仕事の仕方のイレギュラー度は一般視聴者にはわかりづらいので、違う出版社を取り上げることになったと言われた。確か、書店と直取引してるところとか本屋の後ろに編集部があるところがOAされていたと思う。わかりづらいというより、あまりのチンケさに没になったのだと思う。
今回も、「輝いてはいる(どんより生きてはいない)だろうが、活躍とまで言えるか?」と思ったんだが、まずは会ってみた。すると、番組モニターの人たちから、取り上げてほしい女性として私の名前が挙がっていたのだという。1冊本を書いて出すことの影響の大きさに、改めて感心した。
ディレクターはやはり出版業についてほとんど理解していなかったが、できれば出演したいので、私も張り切って自分の活躍?について語った。別に活躍しているつもりはないが、あの本の読者から面白いと言われた挙動をいくつか説明した。孤軍奮闘&他業種からの参入については、ディレクターも魅力ある題材と思ったらしい。
が、そんなのは、本に書いたようにちょっと前の話なのである。
女性向け番組にありがちなわかりやすさを求めるディレクターは、飛躍したのはいつかと聞いてきた。悪いが、飛躍したことは一度もない。当たった本もないし、創業当時から同じスタイルでやっている。強いて言えば、10点目を作っている頃に、ようやく「出版業を続けていける」気がしてきて、それは私にとっては飛躍なんだが、これまた視聴者にはどうでもいい話である。
実際、出版業を続けていくことは思ってたより大変だった。ましてうちのように「紙の本にこだわって、斜陽産業の中で生き残りたい」と思ってると周辺産業なんかにも興味がないので、新たな挑戦をせずに同じことを続けて会社をキープしないといけない。いや、別に頼まれてやってるわけじゃないし、自分でそうしたいんだから威張ることではない。
この「威張ることではない」と「続けることこそが大事」という点が、番組とは相容れない。女性向けなのでわかりやすくないとダメなのである。
大手取次と取引を始める出版社は始める時点である程度ふるいにかけられているので、続けているところが多いだろう。営業力だったり編集力だったり会社の体力だったりと、いろんな強さがあるだろう。うちだけが特殊なわけではない。が、取次で断られる人たちに「断られる前に」会うことが多かったので、どうもそのへんを強調したくなってしまったのだった。
おまけに、視聴者がその点を理解するかはともかく「すごいんだぞ」と言い張る番組を作るとしても、やはり出版業界独自のこと(流通とか再販とか?)を説明しないことには、ますますちんぷんかんぷんになるという。そりゃ、そうだ。
まして、「1発当てて一息ついた」というような本がなく、ただただ続けているだけ。だから、番組がほしい起承転結(最初は売れなかったが、こう頑張ったら売れた)や飛躍(最初は売れなかったが、これこれのきっかけで!)の話なんか、全然ないのである。
でも、私としては、続けていることに自信を持ちたい。それに、私のしていることが一般視聴者にウケることより、作る本が一般読者に受け入れられることのほうが、よっぽど重要だ。そうだそうだ、テレビに出られないことなんかどうでもいい。よしとしよう。
これは微妙に違うと思います。
プロは、「普通の人に読んでもらう」ために自社の経験を駆使するわけで、「プロには認められないけど、普通の人には認められる」ってことはあまりないと思います。普通っていうか、それぞれの見込み読者層に当てはまると思います。やはり、似たような傾向の本を出している版元に持ち込むのが王道ではないでしょうか。
でも「シロウトが介入しにくい」かっちゅうと、私みたいな例もありますので、悲観することはないと思います(^^
「日本でいちばん小さな出版社」、買って読みました。私の勤める会社もかなり小さな出版社です。取次を通さないで直販のみです。営業力が弱く書店さんも閉店されるところも増えており厳しい状況ですが、低空飛行ながら専門的なジャンルなので熱心な読者の方に支えられてなんとかやってます。
返本の話も苦労話も励みになります!
ブログもどうぞ続けてくださいね。
あの本やこのブログでエラそうに書いてますが、本当は何にもスゴくないです。
>熱心な読者の方に支えられて
やはりこれが基本なんですね。こうしてコメントをいただけると、だんだん慣れてきてしまった自分に喝を入れ直すことができます。どうぞよろしくお願いします。