出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

書店と取次は?

2009年07月14日 | 出版の雑談
今年も共同出展という形で参加できた、東京国際ブックフェア。昨年の反省を活かす…というか昨年の経験から期待値を設定していたので、満足であった。が、本日は、うちがどうしたという話でなくて、単純な感想を書く。

平日2日は業界向け、土日は一般のお客さんが多いということは知っていた。招待状にも、土日が一般公開日だと書いてある。書店向けのチラシを用意してあったんだが、やはり木金に減っていたし、土日は普通のお客さんが多かった。

そこで気になったのは、木金と土日で「あまり展示が違ってない」ことである。これは、どの業界エキジビションでも同じなんだろうか。モーターショーか建設関係か福祉機器展くらいしか行ったことないが、一般客と業界向けの両方とも見るなんてことは滅多にないので、よくわからない。

わからないが、ちっとは変えたら面白いのに、とは思う。ブックフェアに関して言えば、タイムセールをするとかアテンド要員を増やすという違いはあっても、ほとんどのブースが4日間同じことをしていた。(人のことに文句を付けているわけではない。うちも同じだ。)

もっと小さい規模のイベントでは、もう少し小回りを利かせていたのがあった。区の主催による区内の事業者の展示会。平日はキッチリと受発注を意識していたし、土日は子ども向け体験会や販売会ばかりだった。ブックフェアでもそういうことしたら、面白いだろうと思う。

印刷製本会社なんかの展示は、我々には勉強になるけど、土日も同じことをしてる。最近は自費出版したい人も多いみたいだし、「一般向け&業界向け価格ってのは存在するが」という前提で、セミナーなんかやってあげたら喜んでくる人いるんじゃなかろうか。デジタルパブリッシング系もしかり。いや、「実際に個人一般と取引するか」は置いとくとしても。

それで気がついたんだが、出版社だけでなく、印刷製本会社、物流業者、権利関係の団体?、編集プロダクション、ソフトハウスやいろんな機械の会社、学校などなど、いろんな業界関連企業がいるのに、取次がいない。昔はいたんだろうか。

こないだ王子の見学会に行ったとき、何か忘れたが工程の関係で質問が出て、「そういう話は説明会をしてくれるといい」という見学者側からのコメントに対して、「しょっちゅう開いている」と、来ないほうが悪いというニュアンスの答が返ってきた。あんな「キレイに作ったビデオ」なんか(桶川も同じだが)、ずっとブックフェアで流してればいいのに。

あと、「15分限定、何でも質問会」とかしたら、小さい版元がずらっと行列を作るんじゃなかろうか。いや、ちゃんとした相談は、改めてアポを取ってきちんとするという前提で。

上に書いた「一般向けも業界向けも同じ」ということの絡みで言えば、子どもやお母さん向けに「あなたに本が届くまで」なんていうショーをやってもらいたい。本好きの男性も来るだろう。そして、見た人は「そうか、本(書籍)ってこういうことだったのか。そりゃ、取り寄せても1日じゃ来ないな」とわかるかもしれない。書店で「2週間かかる」と言われるのと違って、好意的に受け取ってくれるかもしれない。

そういえば、書店もいない! 版元と取次と書店が業界3者という感じなのに。

出展料が高すぎるからだろうか。でも、そうなると、業界あげてのお祭りとして機能するように、もう少し工夫できる気がする。少なくとも、版元の割引販売はやめて、出店してくれる書店があるならそこで割引販売できるように掛け率変えるとか。実際の店舗みたいな品揃えはできないだろうから、ブックフェア限定仕入れをしてもらって、その版元に出展料をちょっとカバーしてもらうとか。売るのは本屋さんでいいと思う。そうすると、版元は売り場を作らなくていいから、もっとちっさいスペースでいいし、寄ってくれたお客さんに本を売るんじゃなくて会社を売り込める。

つまり、このブックフェアは、日頃業界人が語ってる「業界」のエキジビションになってない。「読者(購買者)向けのアピールをみんなでする」ことを、ちょっとでいいから協力してやったほうがいいと思う。出展するしないは企業の勝手だからしょうがないし、出展社もそれぞれ思惑があるとしても。

いや、つらつら書いたけど、毎回ちゃんと見て回ってるわけではないし、ちゃんと行ったのは去年と今年だけだ。「なかなかそうもいかない」いろんな事情があるんだろうと思う。

もし来年も出展したら、(どうせ暇なので)いろんな人にこの疑問をぶつけてみよう。そうしよう。


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