諸田玲子著
「恋ほおずき」
主人公江与
若く美しい彼女は
中條流婦人療治
の看板を掲げている
中條流は表向き妊婦や子供のあつかうことになっているが
平たくいえば堕胎医
彼女のもとには
色んな事情を抱えた女性がたずねてきます
江与は話を聴き
そしてその事情ならばと堕胎のため
ほおずきの根っこのせんじ薬を渡します
しかし、老中水野忠邦は堕胎医をご法度にすることを検討していた
同心清之助がその調査にあたることに
立場が間逆な2人
子堕ろしは人殺しだ
命の芽を摘み取ることだ
摘み取らねば木が倒れる場合は、いたしかたございません
それは生きている者の勝手な言い分だ
あなたさまは、子を流さねば生きられぬ者の
苦しみをご存じないゆえ、さようなきれいごとをおっしゃるのです
なにゆえ中條でなければならぬ
女・・・・だからでございます
重いテーマの話なのですが
江与の優しさ、まっすぐな生き方にひきつけられます
そして彼女の周りの人たちが
この本を柔らかく読みやすいものにしてくれます
いい本でした