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ちゃ~すが・タマ(冷や汗日記)

冷や汗かきかきの挨拶などを順次掲載

まほろば-全国障害者問題研究会第40回全国大会(奈良)の挨拶2つ

2006年11月16日 18時25分12秒 | 研究会
 憲法と不可分に結びついて成立した教育基本法

 それが今、変えられようとしている。それを推進する人は「美しい国へ」というが、現実は弱肉強食の国ではないか。「国や郷土を愛する態度」と政府はいうが、政府自体が誇りを持てる国にしているのか?そうではないだろう。

 一人の人間として、今の社会を考え、よりよい社会にしていきたいと思う。そんな思いで、この夏開催された全国障害者問題研究会第40回全国大会にのぞんだつもりである(7月28日~30日)。全国の障害のある人たちとその関係者を迎えて、挨拶をした。全国大会から、もう4ヶ月以上もたっているが、あえて、今、憲法と教育基本法の精神に立ち戻るという思いで、再録しておきたい。

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歓迎のあいさつ

 全国障害者問題研究会第40回全国大会にご参加のみなさん、ようこそ奈良に来ていただきました。開催地の準備委員会を代表いたしまして心よりの歓迎の挨拶をさせていただきます。
 奈良は、「まほろば」とも言われます。大会速報の名前も「まほろば」ですが、「まほろば」とは、「よいところ」「すぐれている所」を表す言葉だと言われています。みなさん方の思い出の中の「奈良」も、観光の旅、修学旅行など若き日の想い出と共にあるのではないでしょうか。
1993年に上映された、山田洋次監督の「学校」は、夜間中学校を舞台とした映画ですが、その中でも、夜間中学校の修学旅行の思い出として奈良が出てきます。西の京の薬師寺、東大寺大仏殿、鹿とのたわむれた奈良公園内の飛火野、そして記念写真をとった若草山などなどが映し出されていたことは、みなさんのご記憶にもあると思います。修学旅行にきた、年齢のいった夜間中学校の生徒達は、不登校、非行、勤労青年、不就学、在日など様々な事情をもった人たちでしたが、しかしその修学旅行先の奈良はまさに「まほろば」であったのではないでしょうか。映画「学校」の後半部分は、田中邦衛ふんする猪田幸雄さんの生涯をめぐって、「幸福」とは何かを問うホームルームとなっています。この「幸福」をめぐる議論は、私にはとってつけたような印象がありました。しかし、よく考えてみると、山田洋次監督はこの場面で憲法第13条の幸福追求権のなかみを示したかったのではないかと思います。
 憲法第13条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と定めています。私たち、一人ひとりが、「夢と希望」をもち「幸せ」を追究して発達する権利があり、それが最大限尊重されなければならないということ表明したものです。すべての人が幸せに生きる権利があり、その生きている実感、幸せの実感を持てる場が、「まほろば」なのではないでしょうか。
 1981年の国際障害者年から、25周年の今年、現代の障害者問題の課題を考えるこの全国大会の3日間において、生きている実感、幸せの実感がもて、明日への展望が開けるような議論が行われ、そして、大会後には、全国に「よきところ」「すぐれているところ」を広げていけるように、みなさんと一緒に努力していきたいと思います。
 充実した全国大会になるよう、ともにがんばりましょう。


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「平和と民主主義・いのちと発達・夢と願い」を歴史に刻む取り組みを!」

 全国障害者問題研究会第40回全国大会に、全国各地から参加されたみなさんに、大会準備委員会を代表して、心からの歓迎のご挨拶を申し上げます。
 古都・奈良は、世界遺産となっている建造物や自然環境をもち、歴史と伝統を重んずる土地柄でもあります。この地には、いにしえの時代からの富と権力をめぐる抗争、病や疫病の発生、さまざまな苦しみの中で、歴史の中に「平和」と「生命(いのち)」への希求・願いが刻まれています。
 いにしえの奈良時代の歌人・山上憶良の貧窮問答歌には、当時、搾取され続けながら生きていく農民の姿が次のように詠まれています。
 「(前略)里長が声は 寝屋戸まで 来立ち呼ばひぬ 斯くばかり 術無きものか 世間の道 世間を憂しとやさしと思へども 飛び立ちかねつ鳥にしあらねば」(鞭を持った里長の取り立ての声が寝室にまで聞こえてくる。世間を生きてゆくということはどうしようもないものなのだろうか。この世の中をつらく身も痩せるように耐え難く思うが、鳥でもなし、どこかに飛んでゆくこともできない。)」
 山上憶良の歌は、現代の国民生活の現状にも通じるものがあります。「痛みに耐える」としてすすめられてきた構造改革によって、医療、社会保障、福祉、教育といった「いのち」と「くらし」の分野が急速に掘り崩されています。障害のある人の分野においても、それは先鋭に現れています。障害のある人に、「自立」の名の下に、「自立できない」暮しが強いられ、障害のある人の「夢と願い」が「飛び立ちかねつ鳥にしあらねば」とあきらめさせられている現状があるといえないでしょうか。
 いにしえの時代から、いくたの戦禍を経て、自由と民主主義を獲得してきた現代、特に憲法で謳われた「基本的人権」「幸福追求権」「健康で文化的な生活」などの思想は現代史の到達点を示すものと言えます。その意味で、今日、人間としての生存と発達の権利の保障への取り組みは非常に重要なものであり、障害のある人たちの発達の権利を徹底してねばり強く追究していくことが課題となっていると思います。障害のある人の権利を求める国際的な流れは、国連において障害者権利条約を形づくるという歴史的な段階にまで到達しています。このような国際的な流れを力にしながら、私たちの夢や願いを求め続けていきましょう。
 この第40回全国大会において、障害のある人たちを中心においた発達保障の実践を交流しあい、語り合い、学び合い、人間の尊厳を確立するためのいっそう大きな連帯の基盤を創り出していきましょう。この大会が、みなさん方それぞれにとって、新たな歴史的一歩を踏み出す契機となり、さらに力をあわせて歴史を創っていくものとなることを期待いたします。