関川夏央『砂のように眠る 私設昭和史1』(中公文庫版)
関川夏央は,1949年新潟県生まれ。ノンフィクション作家,しかも,フィクションやマンガの原作も書き,エッセイストで批評家でもある。『海峡を越えたホームラン』で第七回講談社ノンフィクション賞,『「坊っちゃん」の時代』(谷口ジローとの共著)で第二回手塚治虫文化賞,『昭和が明るかった頃』で第一九回講談社エッセイ賞,「毎時以降の日本人と,彼らが生きた時代を捉えた幅広い表現活動」により第四回司馬遼太郎賞を受賞。
たしか,『昭和が明るかった頃』は読んだことがある。内容は忘れてしまったが,戦後史として面白かったので,この本も読んでみる気になったのだろう。
不思議な本である,それぞれ関川の過ごしてきた時期の自分を私小説風につづった部分とそれと重ねてその時代に広く影響を与えた本の評論を配置して,それぞれ共鳴させている。
目次
はじめに
クリスマスイブの客
山の民主主義―『山びこ学校』が輝いた時代
みぞれ
日本の青春―石坂洋次郎に見る「民主」日本
思い出のサンフランシスコ
『にあんちゃん』が描いた風景―日本の貧困、日本の理想
春の日の花と輝く
める青年作家の帰国―『何でも見てやろう』という精神
ここでなければどこでも
一九六九年に二十歳であること―『二十歳の原点』の疼痛
時をへてもみんな嘘つき
田中角栄のいる遠景―『私の履歴書』と乾いた砂
おわりに
「戦後」時代略年表
新潮文庫版解?須賀敦子
自著解? 関川夏央
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