ちゃ~すが・タマ(冷や汗日記)

冷や汗かきかきの挨拶などを順次掲載

『真の自立をめざして-奈良・障害者自立支援法違憲訴訟の闘い』

2010年08月31日 16時05分23秒 | 
毎日新聞 2010年8月22日 地方版
冊子:「奈良・障害者自立支援法訴訟の闘い」発行--勝利めざす会 /奈良
 ◇原告小山さんの手記や経過掲載
 今年3月、奈良地裁で和解が成立した障害者自立支援法訴訟を支援した「障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす奈良の会」が、冊子「奈良・障害者自立支援法訴訟の闘い 真の自立をめざして」を発行した。原告の小山冨士夫さん(53)=奈良市=の手記、訴訟の経過や意義、今後の課題などを盛り込んでいる。

 小山さんが「二度と障害者を苦しめることがないようにしてください」と訴えた意見陳述を掲載。池田直樹弁護団長は「障がいのある人の地域で生きる権利を勝ち取っていくためには、今後とも絶えることのない運動が不可欠」としている。福祉関係者、大学教授らもメッセージを寄せた。

 訴訟は同法で定める原則1割の応益負担は違憲だとして、小山さんが昨年4月に提訴。今年1月に原告団と国が、同法を廃止し、新しい福祉法制を実施すると基本合意したことを踏まえ、今年3月29日に和解が成立した。

 小山さんは、裏表紙に「国が本当に約束を守ってくれるか、ちゃんと見とどけます」とのメッセージを添えた。「国の方向性がはっきりしないので心配だ。多くの人に読んでもらい、活動の輪に入ってほしい」と訴えている。

 冊子はA6判、128ページ。1000円(送料別)。問い合わせは同会(080・1424・9315)。

高橋和子『高機能自閉症児を育てる-息子・Tの自立を育てた20年の記録』小学館新書

2010年08月29日 20時32分22秒 | 
飛行機の中で読んだ本-高橋和子『高機能自閉症児を育てる-息子・Tの自立を育てた20年の記録』小学館新書
サクセスストーリーではない。自立的な人生をどう自分で一歩を踏み出せるか今後はどうか気になるところ。大阪の通常学級での生活の悲惨なはじまりは、通常学級唯一論の中での一般的なことだったとおもえるのだが、その後、通常学級の教師がかわって受け止めや対応も改善し、教訓となることが多い。

はじめに

第1章 自閉症と診断されるまで
Tの誕生/3ヶ月健診は順調/パンがゆ騒動/ほかの親子を観察/手遊びを嫌がった/10ヶ月のときの砂場実験/受診拒否状態になる/嘔吐を伴うかんしゃくが続いた/1歳半健診/大変なことになっているんじゃないか/3歳になっても話せるようにはならない/員リアルアプローチとの出会い/2歳8ヶ月で自閉症と診断される/行政支援を受けたいと思った時の問題点

第2章 幼稚園時代
幼稚園を探す/最初に出会った幼稚園/入園1ヶ月後の変化に驚く/トイレトレーニング/算数の才能が開花/街中を上手に歩く練習/卒園のころ
幼児期の支援
「障害を受け入れる」とひゃ/社会の中で生きていく力を育てるために/幸せな大人になることと、学力とは関係がない/「やりとり」を大切にする/パラレルトークで子どもの気持ちをくみ、セルフトークで気持ちを伝える/ひとつひとつがうれしい進歩/「やりとり」ができるようになったら/子どもをよく理解する方法/数字表を書き続けた3ヶ月/妥協ライン攻防戦

第3章 小学校時代
就学問題/枚方で通常学級に入学/コミュニケーションのとれない学校/叩いて叱った担任/事態打開のための3回の説明会/10人あまりの先生が異動になった/人やシステムを動かすには/トラブルが起きたときには
児童期の支援
1.学校で説明するときには
2.コミュニケーションへの支援

第4章 中学校での史枝園とアルクラブ活動
中学校生活を支援する/いじめにつながる執拗なからかい/成績のこと/高校選び
子ども同士のコミュニケーションへの支援
アルクラブ発足/子ども活動/啓発活動/現在のアルクラブ活動/アルクラブOB会

第5章 義務教育後の進路
洛南高校で/保護者からのクレーム/京都大学へ/日本初の大学での発達障害学生支援チームとシステム
将来の方向と生活支援の仕方
「化学の研究者になりたい」/生活支援が優先/高機能自閉症者の義務教育後の進路について
引用・参考文献
巻末資料
おわりに

『新採教師はなぜ追いつめられたか-苦悩と挫折から希望と再生を求めて』(高文研)

2010年08月19日 22時03分21秒 | 
新幹線の中で『新採教師はなぜ追いつめられたか-苦悩と挫折から希望と再生を求めて』(高文研)を読んだ。
東京と静岡の新採教師の自死をめぐって、現在の教育現場の問題を捉えている。
小学校の担任として、新採として常に見張られている閉塞の状態の中で、特別な支援の必要な子どもや親の行動を引き金に、子どもや保護者との関係の中で支えなく、胸が押しつぶされていく新任教員の姿に胸が痛む。自死した娘の無念さをその親がたんたんと語る-「それでも娘は子どもが好きだった」という。
職場の人間関係がぎすぎすしているといのは、新採となって連休や夏休みに研究室を訪れる卒業生からよく聞く話である。
なぜ、こうも若者をいじめるのか…とはいえ、ぼくも学生達をいじめたり、暴言を吐いたりしているのだが…。子どもと教育に関して幻想をもってはいけない、教育現場は危険職場なのだと常々強調しているが、その反映かもしれない。ゆるく、しかし、じわっと厳しさが伝わるように励ましたい。
挫折したり、開き直ったり、泣いたり、わめいたり、悩んだりという経験をいっぱい学生時代もってほしい。教育学部はそういう人間形成のための仕組みをほとんどなくしている。すくなくとも、みんなが自分をないがしろにするような過剰適応にならないように戒めていきたい。

井上ひさし『ブラウン監獄の四季』(講談社文庫)

2010年08月14日 15時01分41秒 | 
井上ひさしのテレビとの関係史-青春物語である。
とくに、NHKとの関係-「ひょっこりひょうたん島」などなど。テレビ界も青年時代だった。いろんな人たちが、創意工夫をこらして番組をつくっていた時代のこと。
NHKにかってに下宿をきめこんだり、台本の執筆のおくれをなんやかんやといったりというように、おおらかな時代を回想している。
しかし、今は、時間「管理」が徹底しており、番組もできればいいというようなものになってしまっているという批判がある。おそらく、70年代くらいから、社会全体が変わってきたのだろう。職人的な仕事と生活の楽しみ方を再度評価したい。
初版は、1979年。

目次
監獄入りを果たすまで
紅白のタイムマシンに乗って
改名は三文の得
原稿遅延常習者の告白
下痢と脂汗の日々
わが人生の時刻表
NHKに下宿したはなし
喫茶店学
書前・書中・書後
ある悪徳ライターの反省
一盗一窃のひけめ
赤ん坊を背負った作曲家
ザ・ドーナッツ、考査室と戦う(その1,その2)
テレビポルノ批判の再批判
怪電話の怪婦人に与う
巷談俗説による日本放送協会論(その1,その2、その3)

佐々淳行『わが上司 後藤田正晴』(文春文庫)

2010年08月14日 14時44分07秒 | 
警察官僚の戦後史

第1章 警察戦国時代と後藤田正晴
第2章 「守護神」なき悪戦苦闘
第3章 内閣安全保証室の誕生
第4章 官邸の日々
第5章 総理官邸の「危機管理」
第6章 ポスト後藤田の「危機管理」

後藤田正晴を評して「決断するペシミスト」という。後藤田が政界に入って以降も含めて、後藤田と共に歩んだ佐々淳行の戦後危機管理の自分史だということで、自分が前面に出ている。内務省の解体から、それを引き継いだ戦後警察庁のやってきたこと、異色のキャリアの立場から跡づけられている。「俺が俺が」を受け流して、戦後史の中に位置づけてみるとおもしろいかもしれない。