現在、東京ステーションギャラリーで催されている『坂田一男 捲土重来』は岡崎乾二郎監修によるものである。日本における唯一のキュビスムの画家と言ってもいいのだが、画壇から距離を置いて岡山県で活動していたために人口に膾炙していないのである。
1921年にフランスに渡った坂田はフェルナン・レジェ(Fernand Léger)に師事しており、だから坂田のスタイルもキュビスムを継承しているのである。
(『コンパス』1949年)
しかしレジェがポップな作風に移行していったことに対して、坂田の作風は暗くなっていくのだが、坂田はオトン・フリエス(Achille-Émile Othon Friesz)にも師事しており、つまり坂田の作風はキュビスムから日本画風のフォーヴィスムへと変化しているように見えるのである。
(『力学的構成』1956年)
しかし坂田のほとんどの作品には制作年が記されておらず、どのように変化を遂げたのかよく分からない。