東京都美術館では「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」が催されている。
「種をまく人のたとえがある風景(Landscape with the Parable of the Sower)」(1557年)
というピーテル・ブリューゲル1世(Pieter Bruegel the Elder)とヤーコブ・グリンメル
(Jacob Grimmer)の共作の作品がある。「種をまく人のたとえ」とはマタイ福音書13章
1~23節に書かれていることで、種を道端に蒔けば鳥に食べられ、石の上に蒔けば根付か
ないために枯れてしまい、茨の間に蒔けば茨に邪魔をされて伸びないから枯れてしまうという
話である。
ここではこの話の解釈するつもりはなく、キャプションに「画面中央を流れる川の
岸辺には小船の周りに人々が集まっており、ここでキリストがこのたとえ話をしている
様子が描かれている」と書かれていたのであるが、実物を何度見てもどこにキリストが
描かれているのか分からなかった。それよりも左下に描かれている、種を蒔いている人の
種が鳥に食べられたり、石や茨の間に蒔かれている様子を指摘した方がいいと思う。