原題:『消失的情人節』 英題:『My Missing Valentine』
監督:チェン・ユーシュン
脚本:チェン・ユーシュン
撮影:チョウ・イーシェン
出演:リウ・グァンティン/リー・ペイユー/ダンカン・チョウ/ヘイ・ジャアジャア
2020年/台湾
「間違った」観賞方法について
郵便局に勤めるヤン・シャオチーはアラサーとなり若い局員に煙たがられる存在になりつつあったが、ようやくダンス講師のリウ・ウェンセンと出会い、バレンタインデーにデートをすることになるものの、何故か目覚めた時にはバレンタインデーの翌日になっており、残された写真や鍵などを手掛かりにその謎解きにかかる。
そこに現れるのがウー・グアタイという同級生なのだが、グアタイは憶えていてもシャオチーは憶えていない。シャオチーは何においても人よりも一秒早く、逆にグアタイは人よりも一秒遅い人生を歩んでいたのだが、ある日、グアタイがバスに乗っていると時間が止まり、グアタイはそれまで失っていた時間である一日分を一人で消費することになり、逆に、シャオチーは自動的に一日失ってしまう。
グアタイは全く動かないシャオチーを連れて海岸に行って写真を撮ったりしているのだが、この作品の楽しさとは演出以上にグアタイを演じているリウ・グァンティンと彼にいいようにいじられるシャオチーを演じたリー・ペイユーとの撮影現場の楽しさを思わず想像して楽しくなってしまっており、それは必ずしも映画の鑑賞方法として正しくはないのではあるが、決して脚本は悪くはないのだからその「間違った楽しさ」は肯定しても良いのではないのかと思うのである。