原題:『現代ポルノ伝 先天性淫婦』
監督:鈴木則文
脚本:鈴木則文/掛札昌裕
撮影:赤塚滋
出演:池玲子/三原葉子/宮内洋/三枝美恵子/藤木孝/小池朝雄/渡辺文雄/サンドラ・ジュリアン
1971年/日本
女と寝ないポルノ映画の主演男優について
主人公の尾野崎由紀はミッションスクールに通う高校生であるが、久しぶりに寮から実家に帰ってくると京都にあるクラブ「絹」の女将である母親の絹枝はプロボウラ―の安川と暮していた。しかし翌朝シャワーを浴びてる最中に安川が入り込んできて由紀は処女を奪われる。
学校を中退してゴーゴークラブで働くようになった由紀はヤクザの幹部の大場清と暮らすようになるが、他の組のヤクザとの抗争で重症を負い、インポテンツになってしまったため、由紀は行きずりの男たちと関係を持ちながら新しいパトロンの梶村仁の世話になるようになり梶村は雇った2人のヤクザを使って大場を痛めつけ2年ほどの同棲生活を終わらせる。
母親の絹枝も新しいパトロンの戸間口武の世話で東京のクラブのマダムとして働くようになり、由紀もそこで働くようになる。そんな時に由紀は偶然乗ってしまった車の持ち主である若手建築家の本間洋一郎と知り合い、最初は新手のコールガールと疑われるものの、その後偶然カフェで再会し付き合うようになる。出張で京都に行っていた洋一郎に会いに行くと、洋一郎がパリに留学していた時に付き合っていて日本にまで彼に会いに来ていたサンドラと鉢合わせしてしまう。
その後、突然サンドラが帰国した後に、洋一郎は父親で「松村コンツェルン」を営む松村権一郎に由紀の写真を見せて結婚することを決めたと言うのだが、松村は反対する。実は松村自身が以前から由紀を狙っていたのである。松村は由紀にクスリを飲ませて体を動かないようにして強姦し、さらに戸間口の子供を身ごもっていた絹枝も襲おうとして逃げた絹枝は窓から転落し、病院で由紀に看取られて亡くなってしまう。
母親のために復讐を心に誓った由紀は松村の秘書を装った愛人に収まり、松村の娘婿の明人に由紀と松村の関係を知らされた洋一郎は行方不明になってしまい、由紀が告げ口したことで明人は妻の綾乃と彼女の愛人である戸間口の密会を知り、戸間口の家に赴くと2人に睡眠薬入りのブランデーを飲ませてガスの栓を開けたまま戸間口の家から立ち去ってしまう。そんな明人を部屋に誘い、明人と情事に耽っていた時に松村が部屋にやって来る。激怒した松村はライフル銃で明人を撃ち、腕に軽く負傷して激怒した明人が松村を絞殺し、「松村コンツェルン」をまさに乗っ取ろうとする直前、尾野崎家のお手伝いだった山田鈴子の知らせを受けて由紀の部屋にやって来た洋一郎は由紀と死んだ父親と一緒にいる明人を見てライフル銃を手に取り明人を銃殺する。
おそらく洋一郎は逮捕され遺産を受け取った由紀がラストはクラブ「由紀」を忙しく取り仕切っている姿が映されて終わるのであるが、驚くべきことはこの復讐譚が翌年公開される『エロ将軍と二十一人の愛妾』にもそのまま引き継がれていることなのであるが、ここで一つだけ指摘しておきたいことは本間洋一郎を演じた宮内洋がメインキャラクターの一人であるにも関わらず全く女性と絡むシーンが無いことである。宮内が「仮面ライダーV3」になるのは1973年からで、普通ならば無理強いにセックスシーンを作るくらいなのにポルノ映画の主演男優でありながら女性との絡みが無かった理由がよく分からない。