MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ゴーストバスターズ』(2016年)

2016-09-03 00:21:14 | goo映画レビュー

原題:『Ghostbusters』
監督:ポール・フェイグ
脚本:ポール・フェイグ/ケイティ・ディポルド
撮影:ロバート・D・イェーマン
出演:クリステン・ウィグ/メリッサ・マッカーシー/ケイト・マッキノン/レスリー・ジョーンズ
2016年/アメリカ

「白いゴジラ」について

 本作で「オタク(nerd)」と呼ばれる人物は幽霊に関する本『私たちの過去からの来た幽霊(Ghost from Our Past)』の共同執筆者の一人であるアビー・イェーツや彼女の友人で「武器オタク」のジリアン・ホルツマンだけでなく、主人公でコロンビア大学で物理学を教えるエリン・ギルバートでさえケヴィン・ベックマンに対する彼女の「イケメン」のダメ男好きを見るならば、男性に対する「免疫」が微塵も無いことが分かり、結局は典型的なオタクなのである。
 そこへ地下鉄の職員として閑職でくすぶっていたパティ・トランも加わり、いわゆる「腐女子」たちが自分たちを認めない社会に貢献しようと挑戦する姿が描かれることになるのだが、「腐女子」と言ってもジリアンを演じたケイト・マッキノン以外は全員40歳を過ぎており(ちなみに1984年の『ゴーストバスターズ』のビル・マーレイは当時33歳、ダン・エイクロイドは32歳、アーニー・ハドソンは38歳、ハロルド・ライミスでさえ39歳である)、このメインキャラクターたちの意外な「高齢化」は、決して簡単に「オタク」は社会に認めてはもらえないことを暗示しているように見えるのである。
 前作同様のCGによる半透明のゴーストの描き方のみならず、風船風のゴーストなどもポップで美しいのではあるが、日本人として見逃してはならないシーンは、自らゴーストと化したローワン・ノースを倒すために、霊柩車を改造した「エクトワン」に取りつけた原子炉による放射能を使うところである。一緒に吸い込まれてしまったアビーを助けるために飛び込んでいったエリンの2人が無事地上に戻ってこれたものの、2人の髪の毛が白くなっているのを見た時、アメリカ人の放射能に関する知識が相変わらず甘いことに愕然としてしまう。
 つまるところ放射能で生まれたゴジラに対して、放射能で倒されるゴーストはさしずめ「白いゴジラ」と形容しておこう。


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