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「くら姫 出直し神社たね銭貸し」櫻部由美子

2021年10月16日 07時39分11秒 | 読書(歴史/時代)


「くら姫 出直し神社たね銭貸し」櫻部由美子

時代小説の佳編。
働き者だが運の悪い十六歳の娘おけいは、カラスに似た閑古鳥に導かれて神社にやってくる。神社を守るのは、うしろ戸の婆と呼ばれる老女。その“出直し神社”には、人生を仕切り直したいと願う人々が訪れる。おけいは、老女を手伝うことになる。

P131-132
「お寺の本堂に入ると、正面に釈迦や阿弥陀などのご本尊がお祀りしてあるだろう。あのご本尊さまの裏側には、背中合わせに別の神仏像が置かれていることがある。宗派にもよるだろうが、西国の古刹にみられる風習だと聞いている。とにかくご本尊をお守りする神を、うしろ戸の神と呼ぶのだ」
(中略)
「うしろ戸の神というのは、本尊の仏さまと正反対のお顔を持つものなのだよ。たとえば慈愛の相を浮かべた観音菩薩の裏には、馬頭観音や摩多羅神など、憤怒の相をあらわした荒々しい像が置かれていたりする」

【感想】
以前、同著者の「シンデレラの告白」を読んだが、まさかこっちの方向に来るとは思わなかった。嬉しい驚きだ。
松田志乃ぶさんもそうだけど、日本を舞台にした時代小説を書ける方は、海外を舞台にしても書ける。逆もまた真なり、だ。

【参考リンク】
シンデレラの告白 
「シンデレラの告白」櫻部由美子

【ネット上の紹介】
下谷にある“出直し神社”には、人生を仕切り直したいと願う人々が訪れる。縁起の良い“たね銭”を授かりに来るのだ。神社を守るのは、うしろ戸の婆と呼ばれる老女。その手伝いをすることになった十六歳の娘おけいは、器量はよくないが気の利く働き者だ。ある日、神社にお妙と名乗る美女が現れる。蔵茶屋の商売繁盛を望む彼女が授かったのは大枚金八両。さらにうしろ戸の婆は、お妙に相談役としておけいを連れていくように言い、おけいには「蔵に閉じ込められたものをすべて解き放ってくるように」と耳打ちして―。読み応え抜群の時代小説。

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