【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「シンデレラの告白」櫻部由美子

2015年11月24日 23時14分19秒 | 読書(小説/日本)

シンデレラの告白 
「シンデレラの告白」櫻部由美子

各地で魔女裁判が行われた15世紀末、社交界ではシンデレラを名乗る美女が話題となり、
時を同じくして貴族たちの不審死が相次ぐ……。
このような紹介文を読むと、それだけでわくわくして読みたくなる。

本作品は「当たり」、である。
すごく面白かった。
中世ヨーロッパの世界がいきいきと表現されている。
それだけでも、読んで良かった、と思える。

寡婦となったティナ夫人、その2人の娘たち。
彼女たちが、田舎を出て、大都市ルテシアに出てくるところから物語が始まる。
そこに、「シンデレラ」と名乗る謎の美女・・・彼女は本当にシンデレラなのか?
おとぎ話が好きな方は、読んでみて。
継母、ガラスの靴、カボチャの馬車、といった必須アイテム、と言うか、オマージュがちりばめられている。

今回、新たな才能の誕生に立ち会った気分。
早くも、次作を待っている。

【推測】
ルテシア=パリ、と思う。
なぜなら、ラテン語でLutecia=フランス、だから。
じゃあ、なぜ「サンドリヨン(Cendrillon)」としないのか?
おそらく、一般的な知名度の問題でしょう。

【参考】
中沢新一氏によると、『シンデレラは人類的な神話である』、と。
講談社選書メチエ<br> 人類最古の哲学―カイエ・ソバージュ〈1〉 

【蛇足】
登場人物たちを、もう少しキャラ立ちさせても良かった、ように思う。
少し、ストーリー中心に回しすぎたような・・・。
著者が、荻原規子さんのように、魅力的な作品を多数著せる作家として成長してほしい。

【ネット上の紹介】
教皇の勅書に従い、各地で魔女裁判が行われた15世紀末。寡婦となったティナ夫人は、住み慣れたハイデンの荘園を出て大都市ルテシアへと向かう。「ハイデンの鬼姉妹」とあだ名されるほどの醜女ながら、誰よりも強く優しい心の持ち主である二人の娘たちとともに――。ルテシアでは、彼女を妻に迎えたいという謎めいた商人と、病に伏す幼い娘が夫人の到着を心待ちにしていた。そのころ、社交界ではシンデレラを名乗る美女が話題となり、時を同じくして貴族たちの不審死が相次ぐ……。女の幸せが器量に大きく左右された時代。本当の幸せと美しさを問う、ファンタジックミステリー。

この記事についてブログを書く
« ポンポン山 | トップ | 「わたしが外人だったころ」... »

読書(小説/日本)」カテゴリの最新記事