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「信長の原理」垣根涼介

2018年10月30日 20時44分01秒 | 読書(歴史/時代)


「信長の原理」垣根涼介

今さら、信長を主人公にした小説?と思われるかもしれない。
しかし最近になって、「光秀の定理」「室町無頼」と歴史小説を書かれてきた垣根涼介さんが、どう料理したのか気になる。
今回は、心理描写に重きを置き、信長をはじめ、各武将の感情の綾と軌跡も描いている。
前2作以上に、正面から歴史に向き合っている、と感じた。

信玄と謙信に対する信長の感想。
P170
 ――負けている。
 信長は、そうはっきりと感じる。
 おれはこの二人には、頭の良さでも、そして配下に対する優しさでも、精神の格調でも、負けに負けている。元来が、人としての素の部分でも既に大負けしている。

百姓の隠し田を見つけたときの明智光秀のコメント
P486
 仏の嘘をば方便といい、武士の嘘をば武略という
 これをみれば、土民百姓(の嘘)はかわゆきもの也


「光秀の定理」垣根涼介


「室町無頼」垣根涼介「室町無頼」垣根涼介


【10/27朝日新聞記事】

【ネット上の紹介】
吉法師は母の愛情に恵まれず、いつも独り外で遊んでいた。長じて信長となった彼は、破竹の勢いで織田家の勢力を広げてゆく。だが、信長には幼少期から不思議に思い、苛立っていることがあった―どんなに兵団を鍛え上げても、能力を落とす者が必ず出てくる。そんな中、蟻の行列を見かけた信長は、ある試みを行う。結果、恐れていたことが実証された。神仏などいるはずもないが、確かに“この世を支配する何事かの原理”は存在する。やがて案の定、家臣で働きが鈍る者、織田家を裏切る者までが続出し始める。天下統一を目前にして、信長は改めて気づいた。いま最も良い働きを見せる羽柴秀吉、明智光秀、丹羽長秀、柴田勝家、滝川一益。あの法則によれば、最後にはこの五人からも一人、おれを裏切る者が出るはずだ―。

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