「室町無頼」垣根涼介
元々、アウトローの世界を描かせると巧い著者である。
今回は、室町時代のアウトロー達である。
(「ギャングスターレッスン」室町版、だ)
応仁の乱直前の京都、近江を舞台に、一揆とアウトローの世界を描いている。
久しぶりに、血湧き肉躍る作品を読んだ。
おもしろかった!
才蔵を棒術の達人に託すシーン。
「1年でモノになりそうか」
「ふむ……」
「できれば十月ほどで仕上げてもらえれば、ありがたいのだが」
老人は値踏みするように才蔵を見つめる。
「――死ぬほどの目に遭わせてもよいと、書いておったの」
兵衛はうなずく。
「ただ、出来れば、本当に死なぬように頼む」
「戯けたことを言う」老人はせせら笑う。
【おまけ】
さらに成長した才蔵の姿を見てみたい。
続編が出たら嬉しいのだが。
【ネット上の紹介】
腐りきった世を変えてやる。前代未聞のたくらみを一本の六尺棒で。超絶クールな大傑作エンタテインメント。応仁の乱前夜、富める者の勝手し放題でかつてなく飢える者に溢れ返った京の都。ならず者の頭目ながら骨皮道賢は権力側に食い込んで市中警護役を任され、浮浪の徒・蓮田兵衛は、ひとり生き残った用心棒を兵法者に仕立てようとし、近江の古老に預けた。兵衛は飢民を糾合し、日本史に悪名を刻む企てを画策していた……。史実に基づく歴史巨篇。