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「日本という国」小熊英二

2016年03月03日 21時32分18秒 | 読書(昭和史/平成史)


「日本という国」小熊英二

昨年12月、「生きて帰ってきた男」を読んだ。(→「生きて帰ってきた男 ある日本兵の戦争と戦後」小熊英二
とても良かったので、次に読んだのがこの作品。
これを読むと、戦後日本が、いかに米国の意向にそって動かされ、動いてきたか、ということが分かる。

P3
この国のこと、そのしくみや歴史を知り、いまの状態がどうやってできてきたかを理解する。そういうことは、めんどうくさいけど、必要なことだ。なんといっても、私たちはこの国に生きていて、この国が進む方向によって、自分の運命も左右されかねないのだから。

P70
高校の進学率が90%をこえて、事実上ほとんどの人が高校へ行く、つまり受験競争のなかにまきこまれるようになったのは、1960年代の高度経済成長をへた70年代前半くらいからだった。

P119-120
アメリカ軍が日本に駐留したり、米軍基地を維持する費用の日本分担金は、1時は廃止されていたものの、1978年からは「思いやり予算」という名前がついて復活した。こうして米軍基地の日本人従業員の労務費から、基地の光熱費や施設整備費などまでを、日本政府がはらっている。

サンフランシスコ講和会議について
P124
ソ連・ポーランド・チェコスロバキア・・・調印を拒否
インド・ビルマ・・・会議を欠席
北朝鮮・韓国・中国・・・会議に招待されなかった
フィリピン・南ベトナム・・・賠償請求権を放棄せず
インドネシア・・・国内の反対にあって批准されなかった

憲法9条に対する、吉田茂の見解
P139
・・・当分アメリカに(日本の防衛を)やらせておけ。憲法で軍備を禁じているのは誠に天与の幸いで、アメリカから文句が出れば憲法がちゃんとした理由になる。その憲法を改正しようと考える政治家は馬鹿野郎だ。

賠償について
P141
ビルマ・インドネシア・フィリピン・南ベトナムの4ヶ国と個別交渉を行い、1955年から59年にかけて賠償をしはらった形式をとった。日本が正式に賠償をはらったのは、この4ヶ国だけだ。

カンボジア、ラオス、マレーシア、シンガポール・・・1950年代後半から60年代にかけて経済援助や技術協力を行うことで賠償問題を「解決」した。

韓国・・・1965年日韓条約を結んださい、韓国に経済援助を行うことで、賠償問題は解決ということにしてもらった。

中国・・・1972年の日中共同声明で、中国に賠償を放棄してもらい、日本は中国に経済援助を行った。

なぜ在日米軍基地は減らないのか?
P176
在日米軍の基地は、駐留経費の約7割を日本政府が負担しているから、「米国内におくよりも日本に軍隊を駐留させる方が安上がりになる」と。

【ネット上の紹介】
いまの日本は、福沢諭吉の「鼻毛抜き」から始まった?私たちの足元を考えるうえで不可欠の、近・現代史をわかりやすく。

[目次]
第1部 明治の日本のはじまり(なんで学校に行かなくちゃいけないの
「侵略される国」から「侵略する国」へ
学歴社会ができるまで)
第2部 戦後日本の道のりと現代(戦争がもたらした惨禍
占領改革と憲法
アメリカの“家来”になった日本
これからの日本は)