図書館戦争シリーズ 3「図書館危機」有川浩
シリーズ3巻目、面白さ持続している。
全部で5章。
第一章:図書館で痴漢行為が発生。しかも被害者が毬江。これには、小牧がキレて激怒。
囮作戦を展開することになる。はたして、犯人を捕まえることが出来るか?
第二章:昇任試験を受けることになる。柴崎はともかく、郁は合格できるのか?
それより、意外なことに手塚が弱っている。実技があって、子どもを相手に読み聞かせとかする必要があるから。
子どもが苦手な手塚はどうするのか?
第三章:いわゆるこのシリーズの中心テーマ・『禁止用語』と『言葉狩り』を真っ正面から取り上げる。
この難しい問題を、分かりやすく、楽しく読めるよう工夫して、作品にする・・・高難度の技だ。
私はこの章、いちばん好き。
第四章+第五章:笠原郁が警護作戦の為、故郷・茨城県に出向くことになった。
両親に仕事を隠している郁はピンチ。
さて、本来のテーマ以外に、もうひとつテーマが浮上してきた・・・『母と娘の確執』、である。
(過去にもこのテーマを取り上げた作家は何人かいると思うが、思い浮かばない)
どちらかというと、マンガ作品の方が印象に残っている。
「愛すべき娘たち」よしながふみ
「母親の娘たち」樹村みのり
ノンフィクションだと信田さよ子さんが取り組んでいる。(実は、未読なので、いずれ読むつもり)
それにしても、テーマとは関係ないけど、女子同士のいじめ、いびりの描き方が非常に巧い。
これは、2作目でも感じた。
今回は、さらにそれを拡大して、丁寧に描いている。
笠原郁の『対処』も上達して、それによって郁の成長を知ることが出来る。
P277、食堂での郁の『演説』が見事。拍手をおくりたい。
【参考リンク】
→言葉狩り
→ポリティカル・コレクトネス
→ちびくろサンボ
【ネット上の紹介】
思いもよらぬ形で憧れの“王子様”の正体を知ってしまった郁は完全にぎこちない態度。そんな中、ある人気俳優のインタビューが、図書隊そして世間を巻き込む大問題に発展。加えて、地方の美術展で最優秀作品となった“自由”をテーマにした絵画が検閲・没収の危機に。郁の所属する特殊部隊も警護作戦に参加することになったが!?表現の自由をめぐる攻防がますますヒートアップ、ついでも恋も…!?危機また危機のシリーズ第3弾。