「後期高齢者医療制度」のからくり(10)
一人の患者・病気は一つ・主治医も一人
旧厚生省時代から、英国をはじめ、ヨーロッパ各国の「かかりつけ医」「家庭医」制度導入を企図してきましたが、日本医師会などの反対にあって、看板を「主治医制度」と書き換えてきたもので、意趣返しを図ったような感じがします。
と云いますのも、この制度を再提案して推進しているのは、当時の元厚生官僚が、複数関わっていることが歴然としているからです。
75歳以上の患者は一人に付き、一つの病気を、一人の医者に決めて外来受診する。しかも1か月の診療料を、患者一人が6.000円の範囲内に限定されます。
血液検査やレントゲン撮影などで、6.000円を超えると、主治医の持ち出しになります。
検査を控える、高度なX診断を、目をつぶって省略する?こんなことが起こると、多数の医師が呟いています。
しかも、75歳以上の患者の病気の種類を、次の慢性疾患13疾患に限定しています。
高齢者の慢性疾患を13に限定
結核・甲状腺障害・糖尿病・脂質異常症・高血圧性疾患・不正脈・心不全・脳血管疾患・ぜんそく・気管支拡張症・胃潰瘍・アルコール性膵炎・認知症。
複数の疾患を治療するためには、「主治医」が、他の疾患を扱う、他の複数の「主治医」に、複数の紹介状を書いて紹介しなければなりません。
なぜ、75歳以上と線引きしたのか、なんの医学的な根拠もありませんが、75歳以上の高齢者が、たった一つしか慢性疾患をもっていない、これは幸せなことではありますが、ごく稀なことではないでしょうか。
狙いは、後期高齢者の医療費を、無理やり抑制する手段でしかないことは間違いありません。
政府に媚を売る御用学者や評論家が、屁理屈並べて賛成しているだけです。