goo blog サービス終了のお知らせ 

新・臨床検査の光と影

人の命を測る臨床検査に光を!

後期高齢者の反乱

2008-07-15 10:50:06 | 後期高齢者医療

  Dsc02455     「後期高齢者医療制度」のからくり(11)

  「かかりつけ医」制度、機能不全に陥る!

 厚労省は、75歳以上の後期高齢者が、慢性疾患で外来診察を受けるときには、「かかりつけ医」を決めて受診するよう勧めています。

 1割負担の、1か月600円で受診できる、と云うのです。

 但し、予め決められた13の慢性疾患のうちの一つに限り、一人の「かかりつけ医」にしかかかれません。

 また、医療機関は「かかりつけ医」になるためには、自治体に届け出をしなければなりません。ところが、この届出数が惨憺たる状態にあります。

 青森ゼロ%、秋田0.3%、山形1.9%、沖縄2.1%、多い方では、長野35.2%、愛媛41.1%、鹿児島49%、という状態です。

 全国63.286ヶ所ののうち「かかりつけ医」の届け出をした診療所は、8.876、僅か14%でしかありません。

 全国の都府県の30もの医師会が、この制度に、こぞって反対しているからです。理由は、600円の定額制の範囲内では、まともな診療ができない、必要なレントゲン写真を撮ったり、血液検査をすればするほど、「かかりつけ医」の持ち出しになり、そのうえ、二つ以上の慢性疾患がみつかったら、いちいち紹介状を書いて、他院への受診を斡旋するなど、面倒なうえに「祖診祖療」になる恐れがある、として反対しているのです。

 患者さんにしてみれば、今まで通り、自由に医師を選べますが「かかりつけ医」かどうかを確かめて、自分で判断しなければなりません。

 英国の「かかりつけ医」制度を真似たのですが、それは、親子何代にもわたって、「揺り籠から墓場まで」親身になってくれる「かかりつけ医」であって、75歳から死ぬまで、とは大違いな制度で、もはや機能不全か、破たんしているのでないでしょうか。もっとも、英国では、とっくに破たんしていますが、・・・。

           厚労省、勤務中にパソコンゲーム?

 おりしも、この制度を作った厚生労働省の職員が、勤務中に、公務用のパソコンを使って、ゲーム関連サイト等から、1日12万件アクセスして、お笑いや演芸やアニメやゲームなどに打ち興じているときては、開いた口が塞がりません。

 まさに「役人天国と、老人地獄絵図」そのものですね。

   試運転のSLが走ってきました。(書斎より・画面をクリック)

    


後期高齢者の反乱

2008-07-10 10:02:58 | 後期高齢者医療

      「後期高齢者医療制度」のからくり(10)

      一人の患者・病気は一つ・主治医も一人

 旧厚生省時代から、英国をはじめ、ヨーロッパ各国の「かかりつけ医」「家庭医」制度導入を企図してきましたが、日本医師会などの反対にあって、看板を「主治医制度」と書き換えてきたもので、意趣返しを図ったような感じがします。

 と云いますのも、この制度を再提案して推進しているのは、当時の元厚生官僚が、複数関わっていることが歴然としているからです。

 75歳以上の患者は一人に付き、一つの病気を、一人の医者に決めて外来受診する。しかも1か月の診療料を、患者一人が6.000円の範囲内に限定されます。

 血液検査やレントゲン撮影などで、6.000円を超えると、主治医の持ち出しになります。

 検査を控える、高度なX診断を、目をつぶって省略する?こんなことが起こると、多数の医師が呟いています。

  しかも、75歳以上の患者の病気の種類を、次の慢性疾患13疾患に限定しています。

         高齢者の慢性疾患を13に限定

 結核・甲状腺障害・糖尿病・脂質異常症・高血圧性疾患・不正脈・心不全・脳血管疾患・ぜんそく・気管支拡張症・胃潰瘍・アルコール性膵炎・認知症。

 複数の疾患を治療するためには、「主治医」が、他の疾患を扱う、他の複数の「主治医」に、複数の紹介状を書いて紹介しなければなりません。

 なぜ、75歳以上と線引きしたのか、なんの医学的な根拠もありませんが、75歳以上の高齢者が、たった一つしか慢性疾患をもっていない、これは幸せなことではありますが、ごく稀なことではないでしょうか。

 狙いは、後期高齢者の医療費を、無理やり抑制する手段でしかないことは間違いありません。

 政府に媚を売る御用学者や評論家が、屁理屈並べて賛成しているだけです。 


後期高齢者の反乱

2008-07-03 09:49:37 | 後期高齢者医療

            「後期高齢者医療制度」のからくり(9)

         天下り先、がっちり確保!

 さすがは「官僚政治」と云われるだけのものはあります。

 後期高齢者医療保険で動く金は、全国で10兆円、厚生官僚や総務省官僚が、そう易々と見逃すはずがありません。

 これに、各都道府県の役人たちが、我も我もと、この指とまれの大合唱です。

 東京都O区の収入役が、広域連合に、年収1.400万円で天下りすると、神奈川県では、事務局長以下50人が、1人年収800万円で天下り、こんな手合いで、全国47都道府県広域連合に天下る地方の役人は、1.311人、これ全て市町村民税で養うことになります。

 また、広域連合議会には、地方議会議長が日当15.000円、議員が10.000円で就任。

        10月から「金の生る木」に1.800人!

 10月から、新たにスタートする「全国健康保険協会」に、厚生労働省を筆頭に、悪名高い社会保険庁から、そして地方自治体から、総勢1.800人の役人たちが大挙して天下りすることになっています。

 かくして「後期高齢者医療制度」は、「金の成る木」と化して、群がる役人たちによって、役人天国の構図が出来上がります。

  こんなからくり、知ったうえでの自公強行採決だったのか?、「知らなかった」ではすまされませんし、だとしたら、その「罪」は、なお深く重い。

 厚労大臣にしても、国交大臣にしても、もはや官僚たちの操り人形と化して、彼らにそっぽを向かれたら、国会答弁もたちまち、立ち往生ですから、泥沼状態は深刻です。 


後期高齢者の反乱

2008-06-30 14:01:04 | 後期高齢者医療

     「後期高齢者医療制度」のからくり(8)

        怒りの増幅材料があふれて!

 「百年安心の年金・医療保険制度」と胸を張ったのは、坂口元厚生労働大臣でした。

 施行して、たった15日で、日本中から怒涛のような怒りがあふれ、たった15日で、「安心・安全」がみごとに崩壊し、政府はその対応に右往左往しました。

 一方、「後期高齢者の治療薬は、安いジェネリックを使え!」と通達をだした厚労省、これは発表された翌日には、桝添厚労大臣が撤回させられるあわてぶり。

 坂口元厚労大臣はのちに、「年金からの天引きは『手間がかからずに取れる』と、肝心の保険料を払う生活者の目線で考えなかったのが間違いだった」と率直に反省はしていました。テレビタックルに出演した時も「これほどの内容だったとは、私たち(国会議員)も知らなかった」と述懐していました。

 もっと早く気が付くべきだったですね。

 一方、「3月に亡くなった父親の死亡届を3月中に役所へ届け出たのに、4月15日、この仏様からも年金を天引きされた」遺族からの新聞投書は、この国の政府・役人たちの無神経さ、あれもこれも含めて、自公強行採決の中味だったのです。

 おりしも居酒屋タクシーを報じるテレビを見ながら、この国の政府に、温かさや思いやりの欠落していることが、いっそう腹立たしく情けなくなりました。 


後期高齢者の反乱

2008-06-26 09:20:34 | 後期高齢者医療

      「後期高齢者医療制度」のからくり(7)

         「終末期相談料」に怒り集中

 「後期高齢者」という呼び名に不快感や寂寥感を味合わされた「後期高齢者」に、さらに念入りにも「終末期相談料」がついたことで、逆なでの上積みだと、激しい怒りを買いました。

 すなわち、後期高齢者が終末期を迎えたときに、患者と家族と医者と、最後の治療方針について相談し、それをビデオに撮ったり、書面にして残すと、支援料として医者に診療報酬2.000円が支払われる仕組みのことです。

 生きるための支援か、早死にさせるための支援か、見方によっては、「早く死なしてやったら、診療報酬が受け取れる」、こう感じ取った後期高齢者は少なくない。 

 非難轟々に、翌日には、記者団のぶら下がりに、桝添厚労大臣は、二の足をほのめかしました。

 今月25日になって、中央社保協が、当面この制度を凍結することを了承する答申を出しました。

 これを受けて、厚労省は、「終末期相談料」制度凍結を受け入れ、医者は7月1日から請求できなくなりました。

 「後期高齢者終末期相談」分かっちゃいるけど、後期高齢者にとっては、いよいよ追い詰められたような脅迫感は免れません。