翻訳者の散歩道

  ☆ 法律翻訳者の思考のあれこれ ☆
(「翻訳者になりたい人のためのブログ」を統合し「第ⅡBlog〇〇編」と表記)

灰となった都市国家カルタゴ-その3

2007年07月30日 | 歴史
ハンニバルは、一般的に知られている肖像画からは憂愁を含んだ端正な顔で、百戦錬磨した名将とは思えません。

そのハンニバルがスペインの所領から強力な傭兵部隊を発進させました。
歴史上有名な戦象隊を使い、冬のアルプス越えからイタリア半島に攻め入り、いたるところで無敵ローマ軍を撃破し、ローマ市民を脅威させたのです。

しかし、第2次戦争の末期にスキピオ(大)が率いるローマ軍にスキをつかれ、北アフリカ本土を襲われ、急遽戻ったザマで対戦、そこで大敗を喫してハンニバルの運命は暗転します。この敗戦がカルタゴの運命を決めることになるのですね。

その後、二次戦争の講和条約では、海外領土の放棄、賠償金の支払、戦象隊の引渡、軍船の焼却、戦争行為の禁止などが盛り込まれました。軍役を辞したハンニバルは、請われて財政官として賠償金支払のため不公平税制の是正など財政改革にすぐれた手腕を発揮します。
しかし、特権を奪われた同国人の貴族の恨みを買い冤罪をローマに通報されて、国外に亡命、ついには自殺に追い込まれます。「ローマが私の死を知ったらどんなに喜ぶだろうか」の言葉を残して。。。

これから先、カルタゴは坂道を転げ落ちるような経緯をたどります。
 隣国からの侵略に対し、戦争を禁じられているので反撃不可。
 ⇒ローマに調停を要請するも無視され、自衛戦争を起こす。
 ⇒これがローマに大軍を送り込む口実を与える。
 ⇒ローマに講和使節を送るも功を奏せず、 カルタゴの老若男女は武器を急造し(女性は長い髪を切って弩弓のバネをつくった!)ローマに宣戦布告。

 ・・・・・ローマ軍は史上例をみない非人道的な残酷さで殺戮。「動くものは殺せ」が合言葉。

殺戮、略奪後の市街地はローマ兵の放火により灰塵に帰するのでした。火煙は10日間も続き、灰の厚さは何と2メートル近くまでいったと言われており、
さらには、農作物が育たぬよう、また、二度と人間が住めむよう呪いをこめて塩を何回もまいたというから驚きです(@_@)

焼け跡にたったローマ軍司令官のスキピオ(小)は、その悲惨な光景に思わず涙を流したと言われています。 

いつの日か、私もカルタゴのの地に立って、昔の栄華に思いを馳せ、断層の中に残っているかもしれない灰に触れてみたい・・・
   
  (参考図書:アランロイド著「カルタゴ」、森本哲郎著「ある通商国家の滅亡」)


ハンニバルについては、過去の記事「火牛の計」でも触れておりますので、よろしければご覧下さい<(_ _)>


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