伊集院静作、横浜カセット文庫発行。
お転婆で男勝りの主人公が、戦争で亡くなった父親の代わりにおじいさんに大事に育てられ、結婚し穏やかで安定した人生を送ります。中年で夫を亡くし老境への入り口で、ふと出会った男に惹かれて行く。惑いながら、今までの来し方を振り返り、自分がいかに守られて来たかに思いをいたすのでした。しかし、本当の自分の気持ちに気付くにはさらなるきっかけが必要でした。男女の心の機微を穏やか . . . 本文を読む
伊集院静著、横浜カセット文庫発行
横浜カセット文庫のプロローグとエピローグのピアノの簡素な調べは心を打ちます。物語の内容にかかわらず、ひっそりと品よく響く調べは、作品の余韻を深めているように思います。
さて、本作は、太平洋戦争で大陸から引き揚げる途中で、両親や姉と生き別れた悲しい経験を持つ主人公の女性が、幸いにも引き上げ後に境涯に恵まれ一家をなしますが、夫に先立たれた後、一人娘が嫁ぐことになった。 . . . 本文を読む