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読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

日本人の顔 小顔・美人顔は進化なのか

2013年05月27日 19時02分39秒 | ■読む
植原和郎著、講談社刊
著者は1927年生まれで、本書は1999年発行なので、執筆当時72歳です。東京大学理学部人文学科を卒業し、自然人類学(人類の進化や特徴を生物学的側面から研究する領域)を専門としているとのことです。
本書の初めに、頭蓋骨を見てその美しさを賞賛した先達や指導教官の思い出話から始まり、その後、頭蓋骨の専門的な、しかし後段の説明の前提となる不可欠な解説が続きます。また、そうした情報が、現実に個人の特定や年齢の推定に役立つ事、更には、類人猿との相違など、次第に話が広がって行きますが、縄文人と弥生人の話になる辺りから、俄然面白くなります。日本人のルーツがどこにあるかは、人骨の研究から、ある程度はっきりとしているようです。
すなわち、縄文人として知られる人々が日本列島全域に生きていたところに、弥生時代に、東北中国地方の寒冷地での生存に適合した人々が、かなりの数が、かなりの期間に亘って渡来したのだそうです。そして、そうした人々が大和朝廷を築いて、西日本から東に向かって縄文人を制圧しつつ支配階級と被支配階級に分離していったという感じです。(ここまではっきりとは述べていませんが)
明治期に日本に来た西欧の学者が、日本には2つのタイプあるると考えて、例に挙げたのが薩摩の人と長州の人が典型だとしています。前者が縄文人の末裔で後者が弥生人の末裔に当たると。
その上で、日本人はこの2タイプの中間の人々が派生すると共に、支配階級には独自の変化が生じ、それと同じ変化が現代の若者に顕著に現れており、良い兆候ではないと結論づけています。非常に納得できる結論です。
ところで、AKB48を見ていて、メンバーに関心は無いのですが、”普通の女の子の容貌”とは何だろうと気になっていました、共通しているのは、ぱっちりお目々に幅広な鼻です。また、全体に顔の輪郭が売れっ子の芸能人に比べてシャープさに欠けるように思います。そうした顔が好みかどうかはさておき、本書に即して判断すると、このような特徴は縄文人に色濃く見られるもののようです。そして、縄文人顔は、被支配層(すなわち庶民)の顔です。(私も縄文系であることは言うまでもありません)
顔の不思議に興味があって読み、初めこそ少し退屈でしたが、中盤以降は夢中になるくらい面白い書籍でした。
評価は5です。

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