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読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

一杯の紅茶の世界史

2011年02月18日 21時37分29秒 | ■読む
磯淵猛著、文春新書刊
著者略歴によれば、磯淵さんは1951年生まれで、大学を卒業後商社勤務を経て1979年(昭和54年)に紅茶専門店ディンブラを開業したとのことです。若干28歳です。私より3才年上なので、私が25歳の頃です。思い返せば、昭和40年代の高度経済成長に続くオイルショックから立ち直り始めた頃だと思います。昭和40年代は、欧米の文化をむやみとありがったものでした。、学生時代の記憶では、入った喫茶店で紅茶を頼んだら、オレンジペコだの何だの聞いたこともないような種類のメニューを出されて目を白黒させました。また、京都に旅した真夏の非常に暑い日に、堪らず飛び込んだリプトンの直営店で飲んだアイスレモンティの美味しさにビックリしました。それまでは、ホットしか飲んだことが無く、紅茶の渋さとレモンの酸っぱさの絶妙なハーモニーに、ビックリ。
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URL => http://www.tvz.com/tea/isobuchi/profile/index.html
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さて、本書は、紅茶一筋に(だと思います)著者が、イギリスの歴史を縦糸として、中国などの東南アジアのお茶の歴史、ヨーロッパへの伝播、現代の紅茶事情を横糸として、立体的かつ興味深く描いています。
驚くべきは、中国を初めとする、いわゆる原産国では、昔から緑茶をもっぱらとしており、遠くへ輸送するお茶が、ウーロン茶や紅茶などになった事です。特に紅茶は、この時代にあって遠く喜望峰を回る航路で運ばれたため、半年もの期間が掛かりました。赤土直下の猛暑をくぐり抜けたものであってみれば、緑茶などとは全く異なった代物になってしまうのは当然です。まあ、紅茶の起源はいくつか説があるようですが。
そして、お茶がヨーロッパに伝わった当時は、中国への憧れから、お茶への執着が強く、非常な贅沢品であったとのこと。そして、植民地支配を通じて、インドでのお茶の栽培を成功させるに及んで、イギリスの一般大衆にとっても無くてはならない飲み物となったそうです。
本書を読んで、お茶の歴史の骨格が理解出来ました。その他にも数多のエピソードがありますが、本書の最後の頃に、次の事柄が紹介されています。英国王立化学協会が、2003年6月24日「完璧な紅茶のいれ方」を発表し、その中で、美味しいミルクティの作り方として、紅茶の中にミルクを入れるのか、ミルクの中に紅茶を入れるのかについて、判定を下したエピソードが紹介されており、実に愉快です。読み手への配慮が行き届いた良書です。
評価は5です。

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