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読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

利休にたずねよ

2012年12月22日 05時54分30秒 | ■読む
山本兼一著、PHP研究所刊
山本さんの著作「火天の城」は良かった。(映画化された作品は不出来でしたが)不覚にも、同作家と気付かずに読み進んでいました。「火天の城」より一層密度濃く、深みのある作品です。
今まで千利休を扱ったドラマや映画があったと思いますが、私は全く関心がありませんでした。”お茶”に対して関心がなかったことが理由かと思います。妻の母がお茶を教えていたことから、薄ぼんやりと眺めていましたが、七面倒な作法に縛られた世界だなぁ、という程度の理解しかありませんでした。
しかし、その一方で、長年焼き物や美術品を鑑賞してきたので、本書の中心テーマである”美”に大きな興味があります。美しいものには力がある。引きつけられてしまう磁力を感じます。その美しさが際立っている程、丁度、巨大な天体が小さな星々を引きつけるような、圧倒的な力を秘めているのだと思います。その一方で、美しさに気付かない人にとっては何の価値も持たないものです。そして、美しさは、等し並みに論じられない、摩訶不思議なものでもあります。誰もが共感できるものと、相容れない偏りを持つ場合もあります。だからこそ美の求道者は、困難な一人道を歩むことになるのでしょう。
さて、本作は、生まれながらに際立った美意識を持つ、後の千利休が、秀吉に切腹を命じられ、切腹して果てようとするところから始まります。そこから時間軸を遡り、利休本人や縁のある人々の思念を描いて行きます。そのようにして利休の生き様、有り様を多面的に描き出して行くという稀な手法を採用しています。それにしても、本作を描くには相当の研究とご苦労があったことと思います。フリーライターとしての経歴が、独自の視点を涵養し取材力を養ったのかと思います。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/山本兼一
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評価は5です。

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